寺社・文化財

東寺講堂の立体曼荼羅

別の表記・呼び方羯磨曼荼羅

薄暗いお堂の中、横に長い壇の中央に金色の大日如来が座り、右に穏やかな菩薩、左に炎を背負った明王の像が並び、壇の隅に甲冑姿の四天王が立つ東寺講堂の立体曼荼羅を描いた切り絵風のイラスト

要点

  1. 国宝は菩薩5体・明王5体と守護神6体の平安の像。中央の五智如来は室町・江戸に再興された像で重要文化財

  2. 絵の曼荼羅の中心に描かれる大日如来を須弥壇の中心に置き、曼荼羅の世界を仏像の並びに置き換えた

  3. 須弥壇の上は5つのグループに分かれ、中央の如来の左右に菩薩と明王、四隅を四天王が固める

  4. 1486年に焼けた講堂は5年後に再建され、同じころ焼けた金堂の再建は1603年まで待たれた

曼荼羅を仏像で表した立体曼荼羅

東寺(南区九条町)は、延暦15年(796年)に平安京の官寺として建てられ、弘仁14年(823年)に弘法大師空海に託された寺です。境内は南大門・金堂・講堂・食堂(じきどう)が南北の軸線上に並び、講堂は金堂の北に建っています。空海は密教を伝える中心の建物として、まず講堂の建立に取りかかりました。

曼荼羅は密教の教えを分かりやすく表したもので、胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅があります。空海は、この曼荼羅の世界を仏像の並びで目に見える形にすることを考えました。これが羯磨曼荼羅(かつままんだら)で、一般に立体曼荼羅と呼ばれています。曼荼羅の中心に大日如来が描かれるように、須弥壇(しゅみだん)の中心に大日如来を置き、そのまわりに如来・菩薩・明王・天の仏像を配しています。

講堂の諸尊は承和6年(839年)に開眼供養されました。空海が高野山で入定(にゅうじょう)した承和2年(835年)の4年後のことです。

仏像の並び方

21体は東西に長い須弥壇の上に、五つのグループに分かれて並んでいます。中央の大日如来に向かって右が東、左が西です。

東寺講堂の立体曼荼羅の配置(模式図)

北を上にした東寺講堂の須弥壇の平面図。中央・東・西に円で示した三つの仏像群と、両端の梵天・帝釈天、四隅の四天王の位置を描いている。
上が北(お堂の奥)、下が南(正面)です。
  • 中央:五智如来(ごちにょらい)。智拳印(ちけんいん)を結ぶ金剛界の大日如来を、阿閦(あしゅく)・宝生(ほうしょう)・阿弥陀・不空成就(ふくうじょうじゅ)の四如来が囲む
  • 向かって右(東):五大菩薩。金剛波羅蜜多菩薩(こんごうはらみったぼさつ)を中心に、金剛薩埵(こんごうさった)・金剛宝・金剛法・金剛業の各菩薩
  • 向かって左(西):五大明王。不動明王を中心に、降三世(ごうざんぜ)・軍荼利(ぐんだり)・大威徳(だいいとく)・金剛夜叉(こんごうやしゃ)の各明王
  • 東西の端:東に梵天(ぼんてん)、西に帝釈天(たいしゃくてん)
  • 須弥壇の四隅:四天王。手前(南)の東に持国天・西に増長天、奥(北)の西に広目天・東に多聞天

国宝と重要文化財の内訳

立体曼荼羅の仏像のうち、平安時代の15体が国宝です。梵天・帝釈天と四天王の6体は守護神で、中央の如来・菩薩・明王を守る形に置かれています。

五大菩薩の中尊・金剛波羅蜜多菩薩坐像は創建当初の像ではなく、室町時代の作とみられます。2012年(平成24年)に、国宝「木造五大菩薩坐像」4体の附(つけたり。本体と一緒に指定される付属の品)として加えられました。

中央の大日如来坐像は、文明18年(1486年)の土一揆による火災で焼けたあと、明応2〜6年(1493〜1497年)に七条仏所の仏師・康珍(こうちん)らが再興した像です。光背の化仏(けぶつ)のうち1体は創建当初のものとみられます。まわりの四仏は、阿弥陀如来の頭部(平安時代後期)を除いて江戸時代の作で、大日如来の附として重要文化財に含まれます。

東寺講堂の仏像と文化財の指定

グループ体数指定(指定年)
五智如来5体重要文化財(1993年)
五大菩薩5体国宝(1954年)
五大明王5体国宝(1952年)
梵天・帝釈天2体国宝(1954年)
四天王4体国宝(1954年)
国宝・重要文化財・登録有形文化財・市指定の違い

室町時代に再建された講堂

東寺の案内によると、講堂の工事は弘仁14年(823年)に始まり、諸尊の開眼供養と同じ承和6年(839年)に完成しました。その講堂も文明18年(1486年)の土一揆による火災で焼けましたが、同じころ焼けた金堂の再建が慶長8年(1603年)まで待たれたのに対し、講堂は5年後の延徳3年(1491年)に、いち早く再建されました。これが今の講堂です。

建物は桁行9間・梁間4間、入母屋造・本瓦葺で、昭和15年(1940年)10月14日に重要文化財に指定され、昭和28〜33年(1953〜1958年)に解体修理が行われました。堂内の仏像は長く秘仏で、金堂と講堂の扉が開かれて公開されたのは昭和40年(1965年)のことです。

拝観料と須弥壇の北側の特別公開

東寺は南区九条町1番地。近鉄東寺駅から徒歩10分(約0.6km)、JR京都駅八条口から徒歩15分(約1.1km)で、市バスは「東寺東門前」などが最寄りです。開門は5時〜17時、金堂・講堂の拝観は8時〜17時(受付は16時30分まで)です(2026年10月時点)。

金堂と講堂は通年公開の有料拝観で、拝観料は通常期で大人800円、高校生400円、中学生以下300円です。五重塔初層の特別公開期間は初層と合わせた料金(大人1,200円、高校生700円、中学生以下500円)になります。食堂などの拝観は無料です。

2026年10月31日から12月13日までは講堂の須弥壇の北側が特別に公開され、立体曼荼羅のまわりをぐるりと一周して見られます。同じ期間は夜間特別拝観(18時〜21時30分、受付は21時まで。大人・高校生1,000円、中学生以下500円)もあります。

この項目のミニクイズ

  1. 東寺講堂の須弥壇で、中央の大日如来に向かって右側(東)に並ぶ仏像のグループは?

  2. 東寺講堂で大日如来のまわりに座る四仏のうち、頭部が平安時代後期のものとされる像は?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月19日

更新日:2026年10月19日

  1. 東寺「講堂」
  2. 東寺「立体曼荼羅」
  3. 東寺「天、菩薩、明王、如来」
  4. 東寺「東寺の歴史」
  5. 東寺「よくあるご質問」
  6. 東寺「拝観のご案内」
  7. 東寺「交通のご案内」
  8. 東寺「2026秋期特別公開」
  9. 文化庁「国指定文化財等データベース 木造五大明王像(講堂安置)」
  10. 文化庁「国指定文化財等データベース 木造五大菩薩坐像(講堂安置)」
  11. 文化庁「国指定文化財等データベース 木造〈梵天坐像/帝釈天半跏像〉(講堂安置)」
  12. 文化庁「国指定文化財等データベース 木造四天王立像(講堂安置)」
  13. 文化庁「国指定文化財等データベース 木造大日如来坐像〈康珍作/講堂安置〉」
  14. 文化庁「国指定文化財等データベース 教王護国寺講堂」
  15. 文化庁「国指定文化財等データベース 教王護国寺金堂」
  16. 文化庁 文化遺産オンライン「木造大日如来坐像〈康珍作/講堂安置〉」
  17. 文化庁 文化遺産オンライン「世界遺産推薦書 古都京都の文化財 C 教王護国寺」
  18. 観光庁「地域観光資源の多言語解説文データベース 講堂の中:立体曼荼羅」
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