寺社・文化財

東寺と醍醐寺の五重塔

東寺の五重塔と醍醐寺の五重塔が並んで立つ切り絵風の挿絵。手前に朱と墨色の高い五重塔、奥に落ち着いた色の少し低い五重塔があり、屋根の上には長い相輪が伸びている。

要点

  1. 国宝の五重塔は東寺と醍醐寺だけで、八坂の塔と仁和寺の塔は重要文化財

  2. 地震に強く落雷に弱いつくりの東寺の塔は4度焼け、いまの塔は徳川家光の支援で再建

  3. 醍醐寺の塔は15世紀の戦乱でも焼け残り、平安時代の姿を伝える

  4. 東寺は境内から塔を外から見るだけなら無料。初層の内部に入れるのは特別公開の期間だけ

木造の塔で日本一高い東寺の五重塔

東寺の五重塔は、文化財としての正式名称を「教王護国寺(きょうおうごこくじ)五重塔」といい、高さは約55mです。現存する日本の古い建築のなかで最も高く、木造の塔としても日本一です。塔の工事は天長3年(826年)ごろ、弘法大師空海が講堂に続いて始めました。

塔は落雷などで4度焼け、そのたびに建て直されてきました。いまの塔は5代目で、寛永18年(1641年)の焼失のあと、寛永20年(1643年)に完成したものです。再建は3代将軍徳川家光の支援によるもので、古い形にならった和様の建築です。重要文化財の指定は明治30年(1897年)12月28日、国宝の指定は昭和27年(1952年)11月22日です。

京都府最古の木造建築である醍醐寺の五重塔

伏見区の醍醐寺にある五重塔は、醍醐天皇の冥福を祈るため、皇子の朱雀天皇が起工し、次の村上天皇の時代、天暦6年(952年)に完成しました。京都府内に残る木造建築のなかで最も古く、昭和26年(1951年)6月9日、文化財保護法のもとで最初に国宝に指定された建物のひとつです。

高さは約38mで、屋根の上に立つ相輪(そうりん)だけで約13mあり、塔全体の3分の1を占めます。初層の内部には両界曼荼羅(りょうかいまんだら)や真言八祖(しんごんはっそ)の絵が描かれ、日本の密教絵画の源流として知られます。15世紀の戦乱で醍醐寺の下伽藍はほとんどの建物を失いましたが、この塔は残り、平安時代の姿をいまに伝えています。

心柱と初層の内部、雷に弱いつくり

五重塔の中心には、相輪を支える「心柱(しんばしら)」という太い柱が立っています。東寺では心柱を大日如来に見立て、空海が唐から持ち帰った仏舎利(ぶっしゃり)が心柱に納められていると伝わります。初層の内部は仏像を安置する空間で、東寺では心柱を囲むように四体の如来と八体の菩薩が置かれています。

東寺の塔は上の層と下の層の屋根の幅の差が小さく、仁和寺の塔も同じ特徴をもっています。細い見た目に比べて地震には強い一方、落雷には弱いつくりです。東寺の初層の壁には、火から塔を守る願いをこめた龍の絵が描かれています。

五重塔の断面の模式図

五重塔を縦に切った図。中央に太い心柱が地面近くから最上部まで通り、その上に相輪が立つ。五つの屋根が下から上へ少しずつ小さくなって重なり、いちばん下の初層だけに仏像を置く部屋が描かれている。

京都市内のほかの木造の塔

京都市内で国宝の五重塔は東寺と醍醐寺の2基ですが、ほかにも古い木造の塔が残っています。東山区の法観寺(ほうかんじ)の五重塔は「八坂の塔」と呼ばれます。いまの塔は4代目で、永享8年(1436年)の焼失のあと、永享12年(1440年)に足利義教(あしかがよしのり)の援助で再建され、重要文化財に指定されています。それ以前にも1179年と1291年に焼け、源頼朝や後宇多天皇の援助で建て直されてきました。

右京区の仁和寺の五重塔は寛永21年(1644年)の建立で、塔身32.7m、総高36.18mの重要文化財です。清水寺の三重塔は寛永9年(1632年)の再建で、こちらも重要文化財です。

京都市内の木造の塔の高さ

  • 東寺五重塔55 m
  • 八坂の塔(法観寺)46 m
  • 醍醐寺五重塔38 m
  • 仁和寺五重塔36.18 m
  • 清水寺三重塔30 m
各寺や京都市が公表している高さ(概数を含む)。

平安京の入口に立つ京都の目印

東寺は、平安京がつくられた2年後の796年、都の正門である羅城門の東に、西寺と対になる国の寺として建てられました。平安京の創建時の場所に今も残る寺は東寺だけで、五重塔は平安京の南の入口のすぐそばに立っています。塔は市街地の多くの場所から見え、京都の目印として知られてきました。

東寺・醍醐寺・八坂の塔の拝観

東寺は南区九条町1番地。近鉄東寺駅から徒歩約10分、JR京都駅八条口から徒歩約15分、市バスは「東寺東門前」すぐです。開門は午前5時から午後5時で、境内に入って五重塔を外から眺めるだけなら無料です(2026年10月時点)。金堂・講堂の拝観料は、通常期は大人800円、高校生400円、中学生以下300円です。五重塔の初層内部は通年公開ではなく、正月や春・秋などの特別公開の期間だけ入れます。初層・金堂・講堂のセット券は大人1,200円、高校生700円、中学生以下500円です。

醍醐寺は伏見区醍醐東大路町22。地下鉄東西線醍醐駅の2番出口から徒歩約10分です。五重塔のある伽藍の拝観は1か所600円(中学生・高校生400円)で、小学生以下は無料。三宝院・伽藍・霊宝館の3か所共通券は大人1,500円です(通常期。春の桜の時期は料金が変わります)。拝観時間は午前9時から午後5時(冬期は午後4時30分まで)です。

八坂の塔(法観寺)は東山区八坂上町で、市バス「東山安井」または「清水道」から徒歩5分。塔の内部拝観は有料です(公開日は法観寺に確かめてください)。外観は通りから誰でも眺められます。

この項目のミニクイズ

  1. 醍醐寺の五重塔(高さ約38m)で、屋根の上に立つ相輪が塔全体の高さに占める割合は?

  2. いまの東寺五重塔(1643年完成)は、どの建築様式の手法で建てられている?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月17日

更新日:2026年10月17日

  1. 東寺「五重塔」
  2. 東寺「拝観のご案内」
  3. 東寺「交通のご案内」
  4. 東寺「東寺の歴史」
  5. 文化庁「国指定文化財等データベース 教王護国寺五重塔」
  6. 文化庁「国指定文化財等データベース 醍醐寺五重塔」
  7. 文化庁「国指定文化財等データベース 法観寺五重塔(八坂塔)」
  8. 文化庁「世界遺産 古都京都の文化財 推薦書 教王護国寺(通称:東寺)内容説明」
  9. 文化庁「世界遺産 古都京都の文化財 推薦書 醍醐寺 内容説明」
  10. 文化庁「世界遺産 古都京都の文化財 推薦書 建造物・庭園目録(仁和寺)」
  11. 文化庁「世界遺産 古都京都の文化財 推薦書 建造物・庭園目録(清水寺)」
  12. 醍醐寺「伽藍」
  13. 醍醐寺「拝観時間・拝観料」
  14. 醍醐寺「アクセス」
  15. 仁和寺「境内のご案内」
  16. 清水寺「境内案内」
  17. 京都市観光協会 京都観光Navi「教王護国寺(東寺)」
  18. 京都市観光協会 京都観光Navi「法観寺(八坂の塔)」
  19. 京都市観光協会 京都観光Navi「醍醐寺」
  20. 京都市・京都観光推進協議会 きょうと修学旅行ナビ「法観寺」
  21. 京都市埋蔵文化財研究所「第304回京都市考古資料館文化財講座 北白川廃寺と法観寺」
  22. 京都市「清水寺周辺エリア(歴史的資産の調査資料)」
  23. 観光庁「地域観光資源の多言語解説文データベース 東寺 五重塔」
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