寺社・文化財

建仁寺と法堂

白砂の庭の奥に建つ、二重の屋根をもつ大きな禅寺のお堂と、その天井いっぱいに墨で描かれた2匹の龍、手前の石畳の参道に並ぶ古い門と二階建ての門を描いた和紙コラージュ風の挿絵。参道を小さな親子が歩いている

要点

  1. 京都で最初の禅寺で、臨済宗建仁寺派の大本山。寺号は創建時の元号「建仁」から

  2. 法堂の天井には小泉淳作が描いた双龍図(2002年完成)

  3. 法堂の答申理由は、江戸中・後期の禅宗様の仏堂で最大の規模と、時代をよく示す細部

  4. 寺に置かれた風神雷神図屏風は複製で、本物は京都国立博物館が預かる

1202年に栄西が開いた禅寺

建仁寺は、鎌倉幕府2代将軍の源頼家(みなもとのよりいえ)が寺域を寄進し、栄西(えいさい)を開山として建仁2年(1202年)に建てられました。中国・宋の百丈山(ひゃくじょうざん)にならった寺で、当時の元号を寺号とし、山号を東山(とうざん)といいます。京都で最初に開かれた禅宗の寺です。

ただし創建のころは、真言・止観の2院を構えて天台・密教・禅の三宗を兼ねて学ぶ道場でした。宋から来た禅僧の蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が正元元年(1259年)に11世として入ってから純粋な禅の道場となり、室町時代には京都五山の第三位として栄えました。天文の大火で法堂などを失い、慶長4年(1599年)に安国寺恵瓊(あんこくじえけい)が方丈を移したことから復興が始まりました。明治には塔頭(たっちゅう)の統廃合で余った土地を国に納め、境内は半分近くに縮小しています。

栄西と茶

栄西は2度宋に渡り、茶の種を持ち帰って栽培をすすめ、『喫茶養生記(きっさようじょうき)』を著して喫茶を広めたことから、日本の茶祖として尊ばれています。境内の茶碑の東には、茶の将来800年を記念して平成3年(1991年)に植えた「平成の茶苑」があり、毎年5月に茶摘みが行われます。栄西の誕生日の4月20日には、南宋・元の大寺院の茶礼に起源をもつ四頭茶会(よつがしらちゃかい)が開かれ、2012年に京都市の登録無形民俗文化財になりました。

法堂と双龍図

法堂は、仏殿の役目も兼ねる「拈華堂(ねんげどう)」で、明和2年(1765年)に上棟しました。裳階(もこし)を付けた五間の禅宗様の堂で、須弥壇には本尊の釈迦如来坐像と、迦葉(かしょう)・阿難(あなん)の両尊者が祀られています。享保12年(1727年)に再建を発願してから、寄附や借財、境内地の開発などで長く資金を集め、財政難を乗り越えて建てられました。

2026年10月16日、文化審議会は法堂を重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申しました。答申の理由は、江戸時代中・後期に建てられた禅宗様の仏堂の中で規模が最大で、木鼻(きばな)や蟇股(かえるまた)などの細部も時代の特徴をよく示すことです。官報で告示されてはじめて正式な指定になります。

天井いっぱいの双龍図(そうりゅうず)は、創建800年を記念して小泉淳作(こいずみじゅんさく)が1年10か月かけて描き、2002年4月に完成しました。それまで龍を描かない素木(しらき)のままだった天井に、縦11.4m・横15.7m、畳108枚分の大きさで、阿吽(あうん)の口をした2匹の龍が描かれ、阿形の龍は玉をつかんでいます。

風神雷神図屏風と方丈の襖絵

建仁寺でよく知られるのが、俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」です。今は京都国立博物館に寄託されていて、寺では高精細の複製の屏風が展示されています。方丈は文明19年(1487年)の建物で、慶長4年に安芸(広島県)の安国寺から移されたものです。その方丈の襖に描かれていた海北友松(かいほうゆうしょう)の絵は、今は掛け軸の形に仕立て直され、重要文化財になっています。

建仁寺の主な国宝・重要文化財

名称種別区分指定の年
風神雷神図屏風(俵屋宗達筆、二曲一双)絵画国宝1952年
方丈建造物重要文化財1899年
勅使門(矢の根門)建造物重要文化財1902年
十六羅漢像(16幅)絵画重要文化財1907年
雲竜図・花鳥図・竹林七賢図・琴棋書画図(もと方丈の襖絵)絵画重要文化財1919年
山水図(もと方丈の襖絵)絵画重要文化財1921年
寺が所有する主なもので、塔頭の文化財は含めていません。

伽藍の並びと祇園とのつながり

伽藍は、南の八坂通に面した勅使門(ちょくしもん)から北へ、池、三門、法堂、方丈がほぼ一直線に並びます。勅使門は鎌倉時代後期の四脚門で、柱や扉に戦乱の矢の痕があることから「矢の根門」とも呼ばれます。三門は大正12年(1923年)に静岡県の安寧寺から移したもので、御所を望む楼閣という意味で「望闕楼(ぼうけつろう)」と名づけられました。

北門は花見小路通の南の突き当たりにあり、門を出て北へ歩くと四条通です。北門の北東には祇園甲部歌舞練場があり、祇園甲部は南の境を建仁寺通とする花街です。

建仁寺の伽藍の並び(模式図)

建仁寺の伽藍の図。南の勅使門から北の方丈までが一直線に並び、北門の先に花見小路通と祇園甲部歌舞練場がある。

拝観の時間と2027年からの拝観料

建仁寺は東山区大和大路通四条下る小松町584にあり、京阪祇園四条駅から徒歩7分、阪急京都河原町駅から徒歩10分、市バス「東山安井」から徒歩5分です。拝観は10時〜16時30分受付終了(17時閉門)で、受付は本坊にあります(2026年10月時点)。拝観料は一般800円、小・中・高校生500円、小学生未満は無料です。2027年1月1日から一般は1,000円になり、小・中・高校生は500円のままです。4月19・20日と6月4・5日は拝観休止日で、ほかにも法要で休む日があります。

拝観では方丈や庭園、茶室「東陽坊」などが常に公開されています。小学生以下の子どもだけでの拝観はできません。境内での飲食や動画の撮影、三脚・自撮り棒の使用は禁止されています。

この項目のミニクイズ

  1. 2026年10月16日に文化審議会が重要文化財への指定を答申した建仁寺の法堂。答申で示された評価は?

  2. 建仁寺の方丈(重要文化財)は、慶長4年(1599年)にどこの寺から移されたもの?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月22日

更新日:2026年10月22日

  1. 大本山 建仁寺「トップページ」
  2. 大本山 建仁寺「建仁寺を知る」(建仁寺の歴史・栄西禅師)
  3. 大本山 建仁寺「建仁寺を巡る」(境内のご案内)
  4. 大本山 建仁寺「建仁寺の文化財」
  5. 大本山 建仁寺「建仁寺と茶」
  6. 大本山 建仁寺「四頭茶会」
  7. 大本山 建仁寺「アクセス」
  8. 大本山 建仁寺「[重要] 拝観料改定のお知らせ」(2026年9月14日)
  9. 大本山 建仁寺「【重要なお知らせ】ご参拝に際しての注意事項」
  10. 大本山 建仁寺「2026年11月の千光会(坐禅会)のご案内」
  11. 文化庁「文化審議会の答申(重要文化財(建造物)の指定)」(令和8年10月16日 報道発表)
  12. 文化庁「文化審議会の答申(重要文化財(建造物)の指定)別紙 概要」(令和8年10月16日)
  13. 文化庁「国指定文化財等データベース 紙本金地著色風神雷神図〈俵屋宗達筆/二曲屏風〉」
  14. 文化庁「国指定文化財等データベース 建仁寺方丈」
  15. 文化庁「国指定文化財等データベース 建仁寺勅使門(矢の根門)」
  16. 文化庁「国指定文化財等データベース 絹本著色十六羅漢像」(所有者 建仁寺)
  17. 文化庁「国指定文化財等データベース 紙本墨画竹林七賢図」(所有者 建仁寺)
  18. 文化庁「国指定文化財等データベース 紙本墨画花鳥図」(所有者 建仁寺)
  19. 文化庁「国指定文化財等データベース 紙本淡彩琴棋書画図」(所有者 建仁寺)
  20. 文化庁「国指定文化財等データベース 紙本墨画雲竜図」(所有者 建仁寺)
  21. 文化庁「国指定文化財等データベース 紙本墨画山水図」(所有者 建仁寺)
  22. 京都市観光協会「京都観光Navi 建仁寺」
  23. 京都市「京都をつなぐ無形文化遺産 五花街の紹介」
  24. 京都市「京都をつなぐ無形文化遺産 花街に伝わる伝統行事」
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