寺社・文化財

京都国立博物館と明治古都館

別の表記・呼び方京博・帝国京都博物館

芝生と丸い噴水の向こうに、中央に大きな三角の破風をもつ赤煉瓦と白い石の明治の洋風建築が建ち、その脇に横長の低いモダンな展示館が水面に映る様子を描いた和紙コラージュ風の挿絵。手前に鉄柵の門と小さな来館者

要点

  1. 明治古都館が展示を休み通常非公開なのは、免震改修などの基本計画を進めるため

  2. 展示は平成知新館で行い、名品ギャラリーでは館蔵品と寄託品を取り交ぜて並べる

  3. 2014年に平成知新館が開館し、本館は同じ年に明治古都館と改称

  4. 高校生以下は名品ギャラリーも庭園も無料、特別展は展覧会ごとに別料金

1897年の開館と名前の移り変わり

明治21年(1888年)、寺社に伝わる宝物21万点以上を対象にした大がかりな調査が始まりました。これと並行して、すぐれた美術工芸品が集まる京都と奈良に博物館を新しく建てる準備が進み、明治22年(1889年)5月に帝国博物館・帝国京都博物館・帝国奈良博物館を置く官制が定められました。

敷地は明治23年(1890年)10月に七条御料(しちじょうごりょう)と呼ばれた土地に決まり、陳列館(今の明治古都館)が明治28年(1895年)10月に竣工、明治30年(1897年)5月に開館しました。名前はその後、京都帝室博物館(1900年)、京都市に下賜されて恩賜京都博物館(1924年)、国に移されて京都国立博物館(1952年)と変わっています。

東京奠都のあとの京都

明治古都館と表門

明治古都館は、宮内省内匠寮(たくみりょう)の技師・片山東熊(かたやまとうくま)の設計です。片山は赤坂離宮(迎賓館)や東京国立博物館の表慶館も手がけた建築家で、フランスのルネサンス・バロック様式を取り入れた煉瓦造の平屋に、玄関ホール・中央ホールと大小10室の陳列室、中庭を左右対称に並べました。

大和大路通に面した表門(西門)と、そこから七条通の南門へ続く塀も同じときに建てられ、本館とあわせて1969年(昭和44年)3月12日に重要文化財になりました。かつては特別展の会場で、2014年秋の「鳥獣戯画と高山寺」展もここで開かれています。同じ2014年に「特別展示館(本館)」から明治古都館へ改称され、今は免震改修などの基本計画を進めるため展示を行っておらず、通常は非公開です。表門も出入りには使えません。玄関ホールと中央ホールはインターネットのVR映像で見られますが、2026年10月22日からシステムメンテナンスのため一時停止しています。

京都国立博物館の主な建物

建物建てた年設計文化財の種類
明治古都館(旧帝国京都博物館本館)明治28年(1895年)10月竣工片山東熊重要文化財
表門(西門)、札売場及び袖塀(北・南)明治28年(1895年)片山東熊(本館とともに建設)重要文化財
技術資料参考館昭和5年(1930年)—登録有形文化財(2008年)
平成知新館平成25年(2013年)竣工、2014年9月開館谷口吉生なし
技術資料参考館も通常非公開です。平成知新館は旧平常展示館(1965年竣工、森田慶一設計)を建て替えたものです。今の入口の南門は2001年の竣工です。
国宝・重要文化財・登録有形文化財・市指定の違い

平成知新館と名品ギャラリー

今の展示の中心は、2014年(平成26年)9月に開館した平成知新館です。設計は東京国立博物館の法隆寺宝物館なども手がけた谷口吉生で、展示室全体を免震構造で守っています。名品ギャラリー(平常展示)では、陶磁・考古・絵画・書跡・工芸・彫刻の分野ごとの部屋に館蔵品と寄託品を取り交ぜて並べています。展示替えの間隔は分野で違い、絵画・書跡は月に1回ほど、工芸品は1か月半ほど、陶磁・考古・彫刻は3か月ほどです。

同じ建物で年2回ほど特別展が開かれ、その間は名品ギャラリーが休止し、前後の準備期間は庭園だけの開館になります。2027年春には開館130周年を迎え、記念の特別展「大狩野派」が4月20日から開かれます。

寺社からの寄託品

京博は、文化財保護法に定める有形文化財を集めて保管し、公開するとともに、調査研究を行うことを目的とする施設です。収蔵品には館が持つ館蔵品のほか、寺社などから預かっている寄託品があります。館蔵品はインターネットのデータベースで9,000件を超える作品を検索できますが、所蔵者が館以外の寄託品はそこでは公開されていません。

京博に預けられ、保管されている品には、建仁寺の国宝・風神雷神図屏風(寺では複製を展示)、山科区の安祥寺の国宝・五智如来坐像(2019年に国宝)、仁和寺に伝わる重要文化財の賢聖障子(けんじょうのそうじ)などがあります。寺で見られる品が複製でも、博物館では本物が展示されることがあります。

仁和寺金堂と紫宸殿

敷地の位置関係

敷地は西を大和大路通、南を七条通に面し、東は東大路通の東山七条の交差点の近くまで広がります。西の表門を入ると噴水の先に明治古都館が西を向いて建ち、平成知新館はその北西にあります。今の入口は七条通に面した南門で、通りをはさんだ南側が三十三間堂です。敷地の西側には豊臣秀吉が建てた方広寺の石垣(国の史跡)が残り、北には豊国神社と方広寺があります。

京都国立博物館の敷地と周辺(模式図)

京都国立博物館の敷地の図。西の表門の奥に明治古都館、その北西に平成知新館があり、七条通に面した南門の向かいに三十三間堂がある。
豊臣秀吉の京都改造と聚楽第

名品ギャラリーと特別展の観覧料

所在地は東山区茶屋町527。京阪七条駅から東へ徒歩7分、京都駅からは市バス206・208号系統で「博物館三十三間堂前」下車すぐです。休館日は月曜日(祝日・休日なら開館し、翌火曜日に休館)と年末年始(2026年度は12月28日〜1月1日)などです。車椅子やベビーカーのまま見学でき、無料の貸し出しもあります。

観覧料はその日の展示の種類で変わります。

  • 名品ギャラリー(平常展示):一般700円・大学生350円(2026年10月時点)。高校生以下と満18歳未満、満70歳以上は無料。次の会期は2026年12月22日〜27日と2027年1月2日〜3月22日
  • 庭園のみ開館の期間:一般300円・大学生150円(高校生以下などは無料)。屋外展示だけを見られる
  • 特別展:展覧会ごとに別料金。開催中の「源氏物語 王朝のかがやき」(2026年10月6日〜11月29日)は一般2,200円・大学生1,200円・高校生700円、中学生以下は無料
  • 障害者手帳などを見せた人と介護者1人は、どの期間も無料
子どもと無料で見られる京都の文化財

この項目のミニクイズ

  1. 京都国立博物館の平成知新館を設計した建築家は?

  2. 京都国立博物館が1924年に京都市へ下賜されたとき、名前は何になった?

  3. 京都国立博物館の重要文化財の表門(西門)が面している通りはどれ?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月22日

更新日:2026年10月22日

  1. 京都国立博物館「館の概要」
  2. 京都国立博物館「建物概要」
  3. 京都国立博物館「博物館ディクショナリー 京都国立博物館 特別展示館<旧帝国京都博物館 本館>」
  4. 京都国立博物館「博物館ディクショナリー 正門(重要文化財)」
  5. 京都国立博物館「休館日・開館時間・観覧料」
  6. 京都国立博物館「交通アクセス」
  7. 京都国立博物館「よくあるご質問」
  8. 京都国立博物館「コレクション」
  9. 京都国立博物館「屋外展示」
  10. 京都国立博物館「平成知新館 展示案内」(2026年3月)
  11. 京都国立博物館「京都国立博物館周辺マップ」
  12. 京都国立博物館「京都国立博物館開館130周年記念 特別展 大狩野派」
  13. 京都国立博物館「明治古都館VR・京博庭園ナビ 一時停止のお知らせ」
  14. 京都国立博物館「修理完成記念 国宝 鳥獣戯画と高山寺」(2014年)
  15. 京都国立博物館「五智如来坐像(京都・安祥寺所蔵)が国宝に指定されます」(2019年)
  16. 京都国立博物館「名品紹介 風神雷神図屏風」
  17. 文化庁「国指定文化財等データベース 旧帝国京都博物館 本館」
  18. 文化庁「国指定文化財等データベース 旧帝国京都博物館 表門」
  19. 文化庁「国指定文化財等データベース 旧帝国京都博物館 札売場及び袖塀(南)」
  20. 文化庁「国指定文化財等データベース 木造五智如来坐像」(安祥寺)
  21. 文化庁「国指定文化財等データベース 絹本著色賢聖障子〈狩野孝信筆〉」
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