寺社・文化財

二条城二の丸御殿

別の表記・呼び方二之丸御殿

二条城二の丸御殿の6棟が斜めに連なって並ぶ様子を斜め上から描いた切り絵風イラスト。本瓦葺の大小の屋根と破風が重なり、手前に檜皮葺の車寄と唐門、左側に池と松の庭園

要点

  1. 遠侍から白書院まで6棟が雁行形に連なり、奥へ進むほど将軍の私的な空間になる

  2. 国宝指定の年代が慶長と寛永にまたがるのは、家康の建物を1626年の行幸に向けて改修したため

  3. 御殿内で見る障壁画の多くは模写。原画は展示収蔵館で年4回入れ替えて公開

  4. 中高生・小学生は入城料だけで御殿に入れ、一般は観覧券が別に要る

6棟の名前と役割

城の御殿は、将軍や大名が暮らし、政務をとった建物です。江戸城・大坂城・名古屋城の御殿は失われ、城の御殿で国宝になっているのは二条城の二の丸御殿だけです。

6棟は、入口側(表)から奥へ、渡り廊下でつながりながら斜めに連なります。上から見ると雁(がん)の群れが飛ぶ姿に似ているため「雁行形(がんこうけい)」と呼ばれ、二の丸庭園の池に沿って並びます。棟ごとに役割が一つずつあり、表から奥へと序列がつけられています。来訪者が控える遠侍が最も大きく、奥へ進むほど将軍の私的な空間になります。御殿全体で部屋は33室、畳は800畳余りあります。

1939年(昭和14年)10月28日に旧法の国宝(現在の重要文化財にあたる)、1952年(昭和27年)3月29日に国宝に指定され、同じ年に東大手門など22棟が重要文化財になりました。

二の丸御殿6棟の並び(雁行形)の模式図

二条城二の丸御殿の配置の模式図。上が北。右下の南東から左上の北西へ、遠侍及び車寄、式台、大広間、蘇鉄之間、黒書院、白書院の6つの四角が階段状に斜めに連なり、遠侍の南側に車寄と唐門、大広間と黒書院の西側に池のある二の丸庭園が描かれている

二の丸御殿の6棟(表から奥へ)

棟(読み)役割屋根
遠侍及び車寄(とおざむらい・くるまよせ)来訪者の控えの間。虎の絵から「虎の間」とも呼ばれ、朝廷の使者を迎える勅使の間もある。車寄は御殿の入口にあたる部分遠侍は本瓦葺、車寄は檜皮葺
式台(しきだい)将軍への用件や献上物を取り次いだ場所。裏側に老中が控えた老中の間本瓦葺
大広間将軍が大名や公卿と公式に対面した主室(一の間・二の間)本瓦葺
蘇鉄之間(そてつのま)大広間と黒書院をつなぐ金箔貼壁の渡廊本瓦葺
黒書院(小広間)大広間に次ぐ公式の場。一・二の間は「桜の間」と呼ばれ、襖絵は狩野尚信本瓦葺
白書院(御座の間)将軍の居間・寝室と考えられる。水墨画で統一された落ち着いた空間本瓦葺
国宝・重要文化財・登録有形文化財・市指定の違い

慶長の建築から大政奉還まで

二の丸御殿の国宝指定の年代が「慶長7〜8年および寛永2〜3年」と2つの時期にまたがるのは、1603年に家康が入城したときの建物に、1624年(寛永元年)から秀忠のもとで始まった「寛永の大改修」で大きく手が加えられたためです。

改修は1626年(寛永3年)9月の後水尾天皇の行幸に備えたもので、障壁画もこのとき狩野探幽(かのうたんゆう)らが描きました。天守と本丸御殿は江戸時代のうちに落雷と大火で失われましたが、二の丸御殿は焼けずに残り、桃山時代の書院造の典型的な姿を伝えています。

1867年(慶応3年)10月13日、15代将軍徳川慶喜は二の丸御殿の大広間に在京の諸藩の重臣を集め、政権を朝廷に返すこと(大政奉還)について意見を聞きました。

天明の大火と焼けた京都

鶯張り・欄間・障壁画

御殿の廊下を歩くと、鳥の鳴き声のような音がします。「鶯張り(うぐいすばり)の廊下」と呼ばれ、音は床板を留める目かすがいと釘がこすれ合うことで生じます。大広間の三の間では厚さ35cmの檜(ひのき)を両面から透かし彫りにした欄間(らんま)が、大広間や黒書院では柱の花熨斗(はなのし)形の長押(なげし)金具が見どころです。

部屋の格の違いは、床の高さ、天井の形、座敷飾(床・棚・書院)で表されています。主要な部屋には将軍が座る上段の間があり、壁や襖には狩野派の彩色障壁画、天井には彩色画、長押には飾り金具が施されています。

障壁画は約3,600面が残り、うち1,016面が1982年(昭和57年)に重要文化財(美術工芸品)に指定されています。御殿内で今見られる障壁画の多くは、原画を守るために1972年(昭和47年)以降に制作された模写で、原画は2005年(平成17年)開館の「二条城障壁画 展示収蔵館」で保存・公開されています。一度に公開できるのは平均30面ほどで、年4回入れ替えて展示します。

大広間の西に広がる二の丸庭園

大広間の西側には、池と滝をもつ二の丸庭園が広がります。池の中央に蓬莱島(ほうらいじま)、左右に鶴と亀の島を配し、奥に三段の滝を落とす池泉廻遊式の庭で、1626年の行幸に合わせた改修には小堀遠州(こぼりえんしゅう)らが関わったといいます。大広間・黒書院・行幸御殿の3方向から眺められるように工夫され、1953年(昭和28年)に特別名勝に指定されました。

観覧の時間と料金

二条城は中京区二条通堀川西入二条城町541、堀川通に面しています。地下鉄「二条城前」駅で下車してすぐです。開城時間は8時45分〜16時(閉城17時)、二の丸御殿の観覧受付は8時45分〜16時10分です(2026年10月時点)。休城日は12月29〜31日で、二の丸御殿は12月26〜28日、1月1〜3日と、1月・7月・8月・12月の毎週火曜日(祝日の場合は翌日)に観覧を休止します。

入城料は一般800円、中高生400円、小学生300円、小学生未満は無料です。一般が二の丸御殿に入るには観覧券が必要で、入城券とのセットが1,300円、入城後に追加する場合は500円。中高生・小学生は入城料で二の丸御殿も観覧できます。京都市内に住んでいる、または市内の小中学校に通う小中学生は入城無料で、入口で住所や学校名を確認されます。展示収蔵館は別に100円です。

二の丸御殿の内部は撮影禁止で、城内は指定場所以外での飲食もできません。御殿の外観と唐門、二の丸庭園は入城料だけで見られます。

この項目のミニクイズ

  1. 二条城二の丸御殿の廊下を歩くと鳥の鳴き声のような音がする「鶯張り」。この音が出る仕組みは?

  2. 二条城二の丸御殿の部屋で今見られる狩野派の障壁画の多くは、どういうもの?

  3. 国宝・二条城二の丸御殿の6棟のうち「蘇鉄之間(そてつのま)」はどんな建物?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月18日

更新日:2026年10月18日

  1. 文化庁「国指定文化財等データベース 二条城 二の丸御殿遠侍及び車寄」
  2. 文化庁「国指定文化財等データベース 二条城 二の丸御殿式台」
  3. 文化庁「国指定文化財等データベース 二条城 二の丸御殿大広間」
  4. 文化庁「国指定文化財等データベース 二条城 二の丸御殿蘇鉄之間」
  5. 文化庁「国指定文化財等データベース 二条城 二の丸御殿黒書院(小広間)」
  6. 文化庁「国指定文化財等データベース 二条城 二の丸御殿白書院(御座の間)」
  7. 文化庁「国指定文化財等データベース 世界遺産 古都京都の文化財 構成資産 二条城」
  8. 文化庁「文化遺産オンライン 世界遺産 二条城」
  9. 京都市元離宮二条城事務所「二の丸御殿・庭園」
  10. 京都市元離宮二条城事務所「城内の文化財と施設」
  11. 京都市元離宮二条城事務所「二条城の歴史」
  12. 京都市元離宮二条城事務所「二条城年表」
  13. 京都市元離宮二条城事務所「二条城の概要」
  14. 京都市元離宮二条城事務所「二条城障壁画 展示収蔵館」
  15. 京都市元離宮二条城事務所「入城料等」
  16. 京都市元離宮二条城事務所「ご利用案内」
  17. 京都市元離宮二条城事務所「交通アクセス」
  18. 京都市観光協会「京都観光Navi 元離宮二条城」
辞典トップへ戻る