京都市京セラ美術館と岡崎の近代建築
別の表記・呼び方京都市美術館・大礼記念京都美術館

要点
「京セラ」は2017年に結んだ50年間の命名権による通称で、もとの名前は京都市美術館
昭和8年(1933年)の京都市美術館本館は、現存する日本の公立美術館の建物でいちばん古い
博覧会の跡地に明治から戦後にかけて美術館・図書館・ホールが集まり、一帯が重要文化的景観になった
コレクションルームは、京都市内に住むか通学する小中高生と、小学生未満は無料
博覧会の跡地にできた文教地区
明治28年(1895年)、琵琶湖疏水が直角に2度折れ曲がることで生まれた広い土地を会場に、平安遷都千百年紀念祭と第4回内国勧業博覧会が同時に開かれました。跡地には明治32年(1899年)に武徳殿、明治36年(1903年)に京都市紀年動物園ができ、明治37年(1904年)に平安神宮の参道を中心とする約4.3haが岡崎公園になりました。
その後も府立図書館、京都市美術館、戦後には京都会館や京都国立近代美術館が建ち、岡崎は京都を代表する文教地区になりました。岡崎一帯は平成27年(2015年)に重要文化的景観「京都岡崎の文化的景観」に選ばれています。
京都市京セラ美術館
昭和3年(1928年)に京都で行われた即位の大礼を記念し、関西の財界や美術界、市民の寄付で建てられ、昭和8年(1933年)に「大礼記念京都美術館」として開館しました。設計は、日本趣味を基調とすることなどを条件にした設計図案の公募で選ばれた建築家・前田健二郎です。和洋の様式を織り交ぜた意匠は、いわゆる帝冠様式(ていかんようしき)の代表例に挙げられ、現存する日本の公立美術館の建物ではいちばん古いものです。
戦後は駐留軍に接収され、昭和27年(1952年)の接収解除のときに「京都市美術館」と改称しました。京都市は再整備のためネーミングライツを取り入れ、2017年に京セラ株式会社と、約50億円の支援を受けて通称を「京都市京セラ美術館」とする50年間の契約を結びました。青木淳・西澤徹夫の設計で本館を残しながら改修し、新館「東山キューブ」を加えて、2020年5月26日に再開館しています。
本館は令和2年(2020年)8月17日に国の登録有形文化財になり、正門(北・南)・北門・東門・案内板(北・南)も同時に登録されました。このうち東門は明治後期の石造の門です。
府立図書館・京都会館・近代美術館
京都府立図書館は、第10代京都府知事の大森鐘一が日露戦争の戦勝記念事業として新築移転を進め、明治42年(1909年)に岡崎へ移りました。敷地は、博覧会の跡地で平安神宮の火除け地として使われていた場所です。設計は、のちに「関西建築界の父」と呼ばれる武田五一で、2001年に正面外壁を残して建て替えられました。
二条通の北側、岡崎公園の西に建つロームシアター京都は、昭和35年(1960年)4月29日に全国に先駆けた多目的な公立文化ホールとして開館した京都会館です。市民や企業の寄付も財源にして建てられました。設計した前川國男(まえかわくにお)は、まわりの岡崎の景観になじむよう、水平のラインを際立たせたデザインにしました。香山壽夫(こうやまひさお)の基本設計で再整備され、2011年にローム株式会社と結んだ命名権の契約により、2016年1月10日に「ロームシアター京都」として生まれ変わりました。
神宮道の西側、大鳥居の南西に建つ京都国立近代美術館は、昭和38年(1963年)に京都市勧業館の別館を改修した国立近代美術館京都分館として始まりました。今の建物は槇文彦(まきふみひこ)の設計で、昭和61年(1986年)に完成しています。風致地区の岡崎公園では、建物を平安神宮の大鳥居より高く建てられません。その制約のなかで、2階を小さくして天井の高いロビーをとり、疏水側を大きなガラスにするなどの工夫で、開放的な建物にしています。
京都市役所本庁舎
武田五一が顧問を務めた建物には、中京区の御池通に南面して建つ京都市役所本庁舎もあります。昭和2年(1927年)に建ち、昭和6年(1931年)に増築されました。設計は京都市営繕課です。鉄筋コンクリート造の地上4階・地下1階で中央に塔屋があり、中の階段ホールでは、イスラム建築を思わせるアーチをはじめ、東洋風の装飾があちこちに見られます。令和3年(2021年)に改修を終え、令和7年(2025年)3月13日に国の登録有形文化財として告示されました。
岡崎公園への行き方と開館時間
岡崎公園へは、地下鉄東西線の東山駅1番出口を出て三条通を東へ進み、神宮道を北へ。大鳥居をくぐった右側(東側)が京都市京セラ美術館の入口で、駅から徒歩約8分、京都府立図書館までは徒歩約10分です。京都駅からは市バス5系統で「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐです。
京都市京セラ美術館(左京区岡崎円勝寺町124)は10時〜18時で、月曜(祝休日は開館)と12月28日〜1月2日が休館です(2026年10月時点)。料金は展覧会ごとに違い、所蔵品を見せるコレクションルームは、一般が京都市内在住520円・市外730円、小中高生などは京都市内在住・通学なら無料(市外は300円)、小学生未満は無料です。展示室にはベビーカーのまま入れ、1階の東広間に授乳室があります。
京都府立図書館(左京区岡崎成勝寺町)は、館内でだれでも自由に本や新聞・雑誌を読めます。開館は火〜金曜が9時30分〜19時、土・日曜・祝日が9時30分〜17時で、月曜(祝日は開館)や毎月第4木曜などが休館です。京都市役所本庁舎(寺町通御池上る)の開庁時間は、土日祝と年末年始を除く8時45分〜17時30分です。
岡崎公園周辺の美術館・図書館・劇場の位置(模式地図)
この項目のミニクイズ
岡崎の「京都市京セラ美術館」。名前に「京セラ」が入っているのはなぜ?
昭和35年(1960年)に岡崎で開館した京都会館(今のロームシアター京都)。水平線を強く意識した意匠で設計した建築家は?
京都国立近代美術館が建つ岡崎公園の中では、建物の高さに決まりがあります。何より高く建てられない?
出典・確認情報
内容確認日:2026年10月22日
更新日:2026年10月22日
- 京都市京セラ美術館「ごあいさつ・沿革」
- 京都市京セラ美術館「建築」
- 京都市京セラ美術館「来館情報(時間・料金等)」
- 京都市京セラ美術館「交通アクセス」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 京都市美術館本館」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 京都市美術館東門」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 京都市美術館正門(北)」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 京都市役所本庁舎」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 京都岡崎の文化的景観」
- 京都府立図書館「府立図書館『岡崎』110年の歩み 岡崎公園編」
- 京都府立図書館「岡崎周辺 武田五一の建築巡り」(令和元年10月14日の講座案内)
- 京都府立図書館「明治・大正の建築に関連する本 武田五一をはじめとする関西の近代建築」
- 京都府立図書館「利用案内(開館時間・休館日)」
- 京都府立図書館「よくある質問 利用(図書館カード作成)に関すること」
- 京都府立図書館「アクセス(交通案内)」
- ロームシアター京都「ロームシアター京都について」
- 京都国立近代美術館「建築について」
- 京都国立近代美術館「美術館の歴史」
- 京都市「京都市役所本庁舎を紹介するリーフレットについて」
- 京都市文化財保護課「京都岡崎の文化的景観」(重要文化的景観選定記念パンフレット)
