住所・通り

三条通の近代建築

京都・三条通の町並みの挿絵。手前の角に赤煉瓦に白い石の帯が入った明治の銀行建築が建ち、屋根に小さな塔が並ぶ。通りの先には煉瓦の郵便局の外壁や、昭和初めの白っぽいビル、低い町家が続き、歩道で小さな親子が建物を見上げている。

要点

  1. 明治の三条通は日本銀行や郵便局が並ぶ近代京都の中心だった

  2. 明治45年に四条通・烏丸通が広がって賑わいが移り、古い建物が残った

  3. 取り上げた6棟は、重要文化財・国の登録・市の登録と文化財の種類が分かれる

  4. 寺町通〜新町通は景観整備地区で、建物を変えるには市長の承認が要る

近代京都の中心だった明治の三条通

三条通を東へ進むと、鴨川の三条大橋に出ます。三条大橋は江戸から続く東海道五十三次の終点です。京都から見ればここが東海道の西の起点で、江戸時代の三条通は旅籠や問屋、両替商が並ぶ、京都のメインストリートでした。

明治に入ると、三条通には文化・教育・金融・情報の機関が集まり、寺町通と新町通の間に近代洋風建築と伝統様式の商家が並びます。とくに高倉通から東洞院通にかけては日本銀行や郵便局、繊維関係の大商社が立ち、近代京都の中心でした。明治45年(1912年)に四条通と烏丸通が広げられると賑わいはそちらへ移りましたが、それがかえって多くの歴史的建造物を残すことになりました。

旧日本銀行京都支店

三条通と高倉通の北西の角に建つ赤煉瓦の建物は、東京駅も手がけた辰野金吾と、弟子の長野宇平治が設計し、明治39年(1906年)6月に完成した日本銀行の店舗です。当時の名は日本銀行京都出張所で、明治44年(1911年)に京都支店となりました。煉瓦造2階建て(一部地下1階)で、三条通に面して左右対称の外観は赤煉瓦に白い花崗岩を配し、屋根には通気塔や採光窓が並びます。

昭和40年(1965年)に日本銀行京都支店が河原町通二条へ移ると、建物は昭和43年(1968年)に平安博物館となり、昭和61年(1986年)に京都府へ寄贈されて、昭和63年(1988年)から京都文化博物館の別館として公開されています。旧営業室はいまホールとして使われています。

国宝・重要文化財・登録有形文化財・市指定の違い

中京郵便局

三条通と東洞院通の北東の角に建つ中京郵便局は、明治35年(1902年)に逓信省(ていしんしょう)営繕課の設計で、京都郵便電信局として建てられたネオルネッサンス様式の局舎です。京都中央郵便局を経て、いまは中京郵便局として使われています。

昭和51年(1976年)に建て替えられたとき、旧庁舎の南面(三条通側)と東西の側面の一部の外壁と屋根が残されました。この外観は京都市の登録有形文化財です。

堺町通から寺町通までの4棟

堺町通と柳馬場通の間の北側(柳馬場通寄り)には、大正3年(1914年)に完成した旧日本生命京都支店の一部が残ります。いまあるのは通りに面した塔屋(とうや)を含む1スパン分で、設計は辰野片岡建築事務所、外壁を石張りにしています。富小路通との北西の角のSACRA(旧不動貯金銀行京都支店)は大正5年(1916年)頃の木骨煉瓦造(もっこつれんがぞう)3階建てで、1階のストライプ模様と正面中央の円形の飾りが目印です。

富小路通を東へ渡った南側には、明治23年(1890年)の家邊徳時計店(やべとくとけいてん)の煉瓦造の店舗が通りに北面して建ち、1階を3連のアーチで飾ります。内部には金庫室や螺旋階段があり、奥の木造の主屋とともに国の登録有形文化財です。御幸町通との南東の角の1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)は、昭和3年(1928年)に武田五一の設計で建てられた鉄筋コンクリートの建物で、正面の水平ルーバーにはF.L.ライトの影響が、バルコニーや玄関左右のランプカバーにはアール・デコの影響が見られます。

三条通(烏丸通〜寺町通)の主な近代建築

建物名(旧名)文化財の種類
中京郵便局(旧京都郵便電信局)京都市登録有形文化財(旧庁舎外観、昭和61年)
京都文化博物館 別館(旧日本銀行京都支店)重要文化財(昭和44年指定)
日本生命京都三条ビル旧棟(旧日本生命京都支店)国の登録有形文化財(平成9年)
SACRA(旧不動貯金銀行京都支店)国の登録有形文化財(平成9年)
家邊徳時計店(家邊家住宅)店舗国の登録有形文化財(平成17年)
1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)京都市登録有形文化財(昭和58年)
西(烏丸通側)から順。文化財の年は指定・登録の年。

三条通界わい景観整備地区

三条通沿いの寺町通から新町通までの約7ヘクタールは、平成9年(1997年)3月から京都市の「三条通界わい景観整備地区」になっています。地区内で建物などを新築したり模様替えしたりするには市長の承認が要ります。2022年9月の時点では、日本生命京都三条ビルなど7件が「界わい景観建造物」に指定されていて、ふだん使われている民家や店舗も含まれていました。

烏丸御池駅から寺町通まで歩く

地下鉄の烏丸御池駅5番出口から三条通を東へ約3分で京都文化博物館です。別館は入場無料(催しによっては料金が要ります)で、10時〜19時30分(催しにより変更あり)、月曜(祝日の場合は翌日)と12月28日〜1月3日が休館です(2026年10月時点)。京阪の三条駅からは三条通を西へ約15分です。

烏丸通から寺町通まで三条通を歩くと、ここで取り上げた6棟の外観を通りから順に見られます。

三条通(烏丸通〜寺町通)の近代建築の位置

三条通を横一本に描いた地図。烏丸通から寺町通までの南北の通りが縦に交わり、通りの北側に4棟、南側に2棟の近代建築の位置が示され、左上に烏丸御池駅への矢印がある。

この項目のミニクイズ

  1. 三条通と高倉通の角に建つ、京都文化博物館の別館。もとは何の建物?

  2. 三条通と御幸町通の角に建つ1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)。正面の水平ルーバーに影響が見られる建築家は?

  3. 中京郵便局は、建て替えのときに京都郵便電信局だった明治の局舎の一部を残しました。残されたのは?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月19日

更新日:2026年10月19日

  1. 京都市「三条通界わい景観整備地区界わい景観整備計画」
  2. 京都市「三条通界わい景観整備地区計画図」
  3. 京都市「三条京阪駅周辺地区 都市再生整備計画」(令和6年2月)
  4. 文化庁 国指定文化財等データベース「旧日本銀行京都支店」
  5. 京都府京都文化博物館「別館について」
  6. 京都府京都文化博物館「今昔物語(日銀時代)」
  7. 京都府京都文化博物館「建築小噺(洋館建築)」
  8. 京都府京都文化博物館「料金・開館時間」
  9. 京都府京都文化博物館「よくあるご質問」
  10. 京都市文化財保護課「京都市指定・登録文化財データベース 中京郵便局旧庁舎外観」
  11. 京都市文化財保護課「京都市指定・登録文化財データベース 旧毎日新聞社京都支局」
  12. 文化庁 国指定文化財等データベース「日本生命京都三条ビル旧棟(旧日本生命京都支店)」
  13. 文化庁 国指定文化財等データベース「SACRA(旧不動貯金銀行京都支店)」
  14. 文化庁 国指定文化財等データベース「家邊徳時計店(家邊家住宅)店舗」
  15. 文化庁 国指定文化財等データベース「家邊徳時計店(家邊家住宅)主屋」
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