年中行事

南座と顔見世――まねき上げと四条河原の芝居小屋の歴史

別の表記・呼び方南座・京都南座・顔見世・吉例顔見世興行・まねき上げ・まねき看板・勘亭流

夕暮れの四条大橋の東詰に建つ、櫓と唐破風のある劇場の正面。軒下に縦長の白木の看板がずらりと並び、手前の橋を小さな人影が行き交う

要点

  1. 2026年の顔見世は12月1日(火)〜24日(木)。9日・17日は休演

  2. まねき上げは例年11月下旬。2024年・2025年はともに11月26日だった

  3. 今の建物は昭和4年(1929年)竣工。平成8年(1996年)12月20日に登録有形文化財に登録

  4. 京阪祇園四条駅6番出口すぐ。未就学児も満4歳から1人1枚の切符が必要

四条河原の芝居小屋から南座へ

慶長8年(1603年)、出雲阿国(いずものおくに)が京でかぶき踊りを演じて評判になりました。舞台には五条河原のほか、北野社の境内に残る勧進能の舞台の跡が使われ、まわりを筵(むしろ)で囲って演じたとされます。始めた場所を四条河原とする説明もあります。やがて四条河原に櫓(やぐら)を構えた芝居小屋が並ぶようになり、元和年間(1615〜1624年)に京都所司代の板倉勝重が七つの櫓を公許したと伝わります。この頃が南座の起こりとされ、櫓を上げられるのは公許の芝居だけでした。

七つの芝居はしだいに数を減らし、文化・文政年間(1804〜1829年)には四条大橋の東で四条通をはさんで向かい合う、北側と南側の二座になりました。北座が明治26年(1893年)に廃座してからは、南側の芝居だった南座だけが残っています。南座は日本最古の歴史を持つ劇場とされ、元和年間に公許された七つの櫓の伝統を今に伝える唯一の劇場ともいわれます。最古とされるのは劇場としての歴史で、今の建物そのものではありません。

南座の歩み

年できごと
慶長8年(1603年)出雲阿国が京でかぶき踊りを演じる
元和年間(1615〜1624年)京都所司代の板倉勝重が四条河原の七つの櫓を公許したと伝わる
明治26年(1893年)北側の芝居(北座)が廃座し、南座だけが残る
明治39年(1906年)松竹合名会社が経営を始める
大正2年(1913年)11月に全面改築。12月の顔見世から東西合同になる
昭和4年(1929年)今の建物が完成
平成3年(1991年)前年からの改修を終えて新装開場
平成8年(1996年)国の登録有形文化財に登録
平成30年(2018年)平成28年(2016年)2月からの耐震補強・大規模改修を終え、11月の顔見世で再開場

今の建物と登録有形文化財

今の南座は昭和4年(1929年)に完成した、櫓を備えた桃山風の破風造りの劇場です。鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造の地上4階地下1階建てで、瓦葺き、建築面積は1,797㎡あります。平成2〜3年(1990〜1991年)の改修で、外観は竣工当時の姿に戻されました。

平成8年(1996年)12月20日に国の登録有形文化財(建造物)に登録され、登録番号は26-0001です。登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、その後、京都市の歴史的意匠建造物にもなっています。登録と国宝・重要文化財の指定との違いは別の項目にまとめています。

国宝・重要文化財・登録有形文化財・市指定の違い三条通の近代建築

顔見世とは?――役者が顔をそろえる最初の興行

江戸時代、役者と劇場の契約は1年ごとで、一座の顔ぶれは毎年10月に入れ替わりました。新しい一座が11月初めにそろって舞台に立つ最初の興行が顔見世で、名前もそこから来たとされます。宝暦6年(1756年)には、京にいた本居宣長が、南側の芝居で顔見世が始まった日のにぎわいを日記に書き留めています。

今の南座では、毎年12月に吉例顔見世興行が行われます。歳末の顔見世は戦中も一度も絶えなかったとされ、大正2年(1913年)の12月からは「東西合同」の形が続いています。

まねきとまねき上げ

まねきは、江戸時代の芝居小屋の宣伝方法の一つです。看板の上には庵形(いおりがた)と呼ぶ屋根の形が付き、俳優の名前は勘亭流(かんていりゅう)の文字で書かれ、名前の上にその俳優の紋が入ります。板は檜で、長さ一間(約1.8m)、幅一尺(約30.3cm)、厚さ一寸(約3cm)です。

勘亭流は歌舞伎独特の書体です。太い線を内向きに丸め、字の中の余白を詰めて書くのは、客席が空席なく埋まるようにという願いからです。南座のまねきの文字は、大正11年(1922年)から50年余り筆をとった竹田耕清が、大きな看板でも目立つよう肉太ですき間の少ない形に仕上げたもので、一門では「まねき文字」と呼び、南座のまねきだけに使っています。墨には、照りを良くする清酒と、風雨に耐えるためのニカワを混ぜます。

11月上旬に京都市内の妙傳寺で「まねき書き」があり、11月下旬に劇場正面へ掲げるのが「まねき上げ」です。まねきは松の葉や短冊とともに飾られ、最後に塩まきの儀で看板を清めます。2026年のまねき上げの日は、10月29日の時点ではまだ発表されていません。

近年のまねき上げ

年まねき上げの日まねきの枚数
2024年11月26日(火)59枚
2025年11月26日(水)65枚
2026年未発表(10月29日時点)―
2026年10月29日時点。枚数は出演者の数などで年ごとに変わります。

2026年の顔見世と子ども連れの決まり

2026年は「京の年中行事 當る未歳(あたるひつじどし) 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」として、12月1日(火)から24日(木)まで行われます。昼の部は午前10時30分から午後3時15分頃まで、夜の部は午後4時から午後9時10分頃までの予定で、9日(水)と17日(木)は休演です。昼の部の12日・19日・20日と夜の部の18日は貸切です。

チケットは11月9日(月)10時からWebと電話で、11月11日(水)10時から窓口で発売されます。未就学児でも満4歳からは1人1枚の切符が必要です。上演中に子どもが声を立てたり泣いたりしたときは、ロビーで休みます。

2026年の吉例顔見世興行の料金(税込)

席料金
特別席28,000円
1等席26,000円
2等席A13,000円
2等席B10,000円
3等席8,000円
4等席6,000円
2026年10月29日時点の発表。日程・出演・演目は変更になる場合があります。

今どこで見られる?/行き方

南座は東山区の四条大橋東詰、四条通の南側にあります。京阪祇園四条駅の6番出口からすぐ、阪急京都河原町駅の1番出口から徒歩3分で、市バスは「四条京阪前」で降りてすぐです。劇場の中に入るには各公演の切符が要りますが、櫓のある正面や、11月下旬から掲げられるまねきは四条通の歩道から見上げられます。

南座の西側、川端通に面して「阿国歌舞伎発祥地」の石標があります。昭和28年(1953年)に松竹が建てたものです。四条通をはさんだ北側、川端通四条上ル東側には「北座跡」の石標が立ち、向かい合った二つの芝居の名残を伝えています。南座の東側を通る大和大路通を南へ5分ほど歩くと、京都ゑびす神社です。

京都ゑびす神社と十日ゑびす――『商売繁盛で笹持ってこい』ぽんとちょう先斗町

この項目のミニクイズ

  1. 元和年間に京都所司代の板倉勝重が四条河原で公許したと伝わる、芝居の櫓の数は?

  2. 「顔見世」という興行の名前は、江戸時代のどんな習わしから生まれた?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月29日

更新日:2026年10月29日

  1. 松竹「南座の歴史」
  2. 文化庁 国指定文化財等データベース「南座」(登録有形文化財)
  3. 京都府立京都学・歴彩館(旧 総合資料館)「資料紹介コーナー『京の芝居 其の壱 -南座顔見世興行を中心として-』」
  4. 松竹 歌舞伎美人「京の年中行事 當る未歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」(南座 2026年12月)
  5. 松竹 歌舞伎美人「南座」(劇場案内・アクセス)
  6. 松竹 歌舞伎美人「観劇マナーについて」
  7. 松竹 歌舞伎美人「南座『吉例顔見世興行』でまねき上げ」(2024年11月28日)
  8. 松竹 歌舞伎美人「南座『吉例顔見世興行』まねき上げ、祝幕もお披露目」(2025年11月28日)
  9. 松竹 歌舞伎美人「南座『吉例顔見世興行』大入り願うまねき書き」(2025年11月11日)
  10. 松竹 歌舞伎美人「京都・南座の『まねき書き』始まる」(2007年11月7日)
  11. 松竹 歌舞伎美人「京都南座『まねき書き』始まる」(2009年11月14日)
  12. 京都市「京都のいしぶみデータベース HI022 阿国歌舞伎発祥地」
  13. 京都市「京都のいしぶみデータベース HI130 北座跡」
  14. 京都市観光協会 京都観光Navi「南座」
  15. 都七福神事務局「ゑびす神 京都ゑびす神社」
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