寺社・文化財

清水寺本堂と懸造

別の表記・呼び方懸造り・舞台造

崖にせり出した清水寺本堂の舞台を、縦横に組んだ欅の柱と貫が下から支えている様子の切り絵風イラスト。檜皮葺の屋根の本堂の下に長い柱の格子が並び、周りに紅葉と東山の山並み

要点

  1. 10度を超える焼失と再建をくり返し、いまの伽藍の多くは寛永の再建

  2. 「清水の舞台から飛び降りる」は、願をかけて実際に飛び降りた風習から生まれたたとえ

  3. 2017〜2020年に本堂の檜皮葺屋根と舞台の床板を新しくした

  4. 本堂へは段差のない道があり、ベビーカーでも車椅子でも回れる

18本の欅の柱と貫で支える懸造

清水寺の本堂は、東山の音羽山(おとわやま)の急な崖に建っています。建物の前半分を崖の外へ張り出させ、その下に長い柱を立てて支える建て方が「懸造(かけづくり)」です。張り出した部分が「清水の舞台」で、崖下の礎石から舞台の床までは約13m、4階建てのビルに相当します。

舞台を支えているのは、床下に立てられた18本の柱です。樹齢400年余の欅(けやき)を使い、大きいものは長さ約12m、周囲約2mあります。柱の縦横には何本もの貫(ぬき)が通され、格子状に組まれた木材どうしが支え合うことで、崖の上でも地震に強い構造になっています。この接合は「継ぎ手」と呼ばれ、釘を1本も使っていません。舞台の下のほうにある音羽の瀧のあたりからは、崖に立つ柱と貫の格子を見上げることができます。

舞台の床面積は約200平方メートルで、桧(ひのき)の板が張られています。舞台はもともと、本堂の奥に祀られる観音さまに雅楽や能、狂言などの芸能を奉納する場所で、いまも特別な法会のときには舞台奉納が行われます。

本堂は桁行(けたゆき)九間・梁間(はりま)七間で、屋根は檜皮葺(ひわだぶき)の寄棟造(よせむねづくり)。内部は手前から外陣(げじん)・内陣・内々陣に分かれ、いちばん奥に御本尊の十一面千手観世音菩薩が祀られています。懸造は、音羽の瀧の真上に建つ奥の院にも使われています。

懸造(かけづくり)の断面模式図

崖の上の本堂と、崖の外へ張り出した舞台を柱と貫の格子が支える懸造の断面図

1633年に再建された本堂

寺では清水寺の開創を778年としています。寺の始まりを記した『清水寺縁起』によると、奈良で修行した僧・賢心(けんしん。のちの延鎮〈えんちん〉)が音羽山の瀧のほとりで行叡居士(ぎょうえいこじ)から霊木を授かり、2年後に鹿狩りに来た坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が寺院の建立に協力しました。寺の名は、音羽の瀧の清らかな水にちなんで付けられました。

創建以来、清水寺は10度を超える大火災で堂塔を失い、そのたびに再建されてきました。現在の本堂は、1629年(寛永6年)の大火災のあと、徳川3代将軍・家光(いえみつ)の援助で1633年(寛永10年)に竣工したもので、境内の伽藍のほとんどがこのときの再建です。

本堂は1897年(明治30年)に古社寺保存法で特別保護建造物(当時の国宝)に指定され、現在の文化財保護法のもとでは1952年(昭和27年)11月22日に国宝となりました。このほか仁王門・三重塔・奥院(奥の院)・子安塔など15棟の建物が重要文化財です。

清水寺の国宝・重要文化財の建物(告示年別)

  • 国宝(本堂・1952年)1棟
  • 重要文化財・1908年告示2棟
  • 重要文化財・1952年告示1棟
  • 重要文化財・1966年告示12棟
京都市歴史的風致維持向上計画(2期)策定時の一覧によります。

約50年ぶりの屋根の葺き替え(2017〜2020年)

清水寺では2008年から、本堂と重要文化財8棟の計9棟を順に修理する「平成の大修理」が進められました。馬駐・子安塔・轟門・阿弥陀堂・奥の院などの修理を終えたあと、2017年春に本堂の工事が始まり、舞台ごと素屋根(すやね)で覆われました。

本堂の檜皮葺屋根の葺き替えは、前回が1964〜1967年(昭和39〜42年)で、約50年ぶりです。屋根の面積は約2,050平方メートルあります。江戸時代の記録に残る長さの檜皮を主に使って屋根を本来の姿に戻し、耐久性も高めるねらいでした。

屋根の葺き替えは2020年2月に終わり、続いて舞台の床板も木曽桧(きそひのき)の166枚に張り替えられて、同年12月3日に完了の法要が営まれました。

「清水の舞台から飛び降りる」の由来

「清水の舞台から飛び降りる」は、思い切って重大な決断をすることのたとえです。

背景には、観音さまに願をかけて高い舞台から実際に飛び降りる風習が有名だったことがあります。観音さまに命を預けて飛び降りれば助かり、願いもかなうという信仰で、『今昔物語集』など古代・中世の説話にも、清水の舞台から飛び降りて助かる話が見られます。

1990年代に見つかった江戸時代の寺の記録『清水寺成就院日記』には実際に飛び降りた人の例が記録されており、2015年から翻刻の出版が始まりました。

世界遺産「古都京都の文化財」のひとつ

清水寺は1994年、ユネスコの世界文化遺産「古都京都の文化財」を構成する17件のひとつとして登録されました。13万平方メートルの境内には、国宝の本堂と重要文化財を含む30以上の堂塔が建ち並びます。

清水寺の拝観時間と行き方

清水寺は東山区清水1丁目294にあります。開門は6時で、閉門は季節により変わり、夜間特別拝観の期間を除く多くの期間で18時、7〜8月は18時30分です(2026年10月時点)。本堂(舞台)の拝観は有料です。2026年11月21〜30日の夜間特別拝観は大人500円、小・中学生200円です。

JR京都駅からは市バス206系統か100系統で「五条坂」下車、京阪祇園四条駅・阪急京都河原町駅からは市バス207系統で「清水道」下車、いずれも徒歩10分。京阪清水五条駅からは徒歩約25分です。京都駅発の市バスは混みやすいため、四条河原町から八坂神社を通って歩く方法もあります。境内に駐車場はありません。

正面の参拝順路の左横に段差なく本堂へ続く道があり、ベビーカーのまま境内を一周できます。身障者対応トイレでおむつ交換もでき、車椅子でも茶わん坂の入口から入山して段差の少ない順路で回れます。

この項目のミニクイズ

  1. 清水寺の「清水の舞台」は、もともと何のためにつくられた場所?

  2. 清水寺の「清水の舞台」の床に張られている板は、何の木?

  3. 1629年の大火災のあと、現在の清水寺本堂(国宝)の1633年の再建を援助した将軍は?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月17日

更新日:2026年10月17日

  1. 音羽山清水寺「歴史」
  2. 音羽山清水寺「交通・参拝案内」
  3. 音羽山清水寺「よくあるご質問」
  4. 音羽山清水寺「積層する時間〜本堂工事の現場から〜 過去の確認、未来への歩み。」
  5. 音羽山清水寺「積層する時間〜本堂工事の現場から〜 これまでの400年、これからの400年。」
  6. 音羽山清水寺「積層する時間〜本堂工事の現場から〜 過去と現在が混在する修理」
  7. 文化庁「国指定文化財等データベース 清水寺本堂」
  8. 文化庁「日本遺産ポータルサイト 清水寺 本堂」
  9. 京都市「京都市歴史的風致維持向上計画(2期)資料編 別表1 国指定等文化財の一覧」
  10. 京都市観光協会「京都観光Navi 清水寺(ライトアップ&夜間特別拝観)」
  11. 京都市観光協会「京都観光Navi 主要観光地への快適なアクセス 東山(清水寺)」
  12. 国立国会図書館「国立国会図書館のランドマーク コラム 清水寺」
  13. 国際日本文化研究センター「NICHIBUNKEN NEWSLETTER No.95」
  14. 林野庁近畿中国森林管理局「檜皮(ひわだ)採取実演見学会が開催されました」
  15. 京都新聞「建造物編(2)国宝清水寺本堂(京都市東山区)」(2017年4月26日)
  16. 日本経済新聞「清水寺「創建当初の姿に」 屋根と舞台板工事終え法要」(2020年12月3日)
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