寺社・文化財

南禅寺の三門と方丈

紅葉に囲まれた大きな二階建ての禅寺の三門と、松林の中を横切る赤煉瓦のアーチの水路橋、手前に白砂と横長の大きな石を据えた枯山水の庭を描いた和紙コラージュ風の挿絵。三門のアーチの下を小さな参拝者が歩いている

要点

  1. 国宝の方丈は御所から移した大方丈と小方丈からなり、もとの御殿が清涼殿か女院御所かは説が分かれる

  2. 三門は藤堂高虎が大坂夏の陣で倒れた家来を弔って再建した門で、歌舞伎で五右衛門が「絶景かな」と見得を切る舞台

  3. 水路閣は明治21年(1888年)の煉瓦造アーチ橋で、2025年に国宝

  4. 伽藍は勅使門から方丈まで東西一直線に並び、その南を水路閣が渡る

亀山法皇の開創と「五山之上」

南禅寺の地には、亀山上皇が弘安年間(1278〜1288年)に建てた離宮がありました。上皇は正応2年(1289年)にここで出家して法皇となり、正応4年(1291年)に無関普門(むかんふもん。大明国師)を開山に迎えて、離宮を禅寺に改めました。伽藍は2世の規庵祖円(きあんそえん)がおよそ15年をかけて整えました。

室町時代には、五山よりさらに上の「五山之上(ござんのうえ)」に列せられました。応仁元年(1467年)の兵火で諸堂を失いましたが、江戸時代の初めに以心崇伝(いしんすうでん)が復興に力を尽くしました。

室町幕府と花の御所

一直線に並ぶ伽藍

主な建物は、西の勅使門から三門、法堂(はっとう)、方丈へと東西の一直線に並びます。勅使門(重要文化財)は、慶長年間(1596〜1614年)に建てられた御所の「日の御門」を、寛永18年(1641年)に明正天皇から賜って移した門で、今は住持の晋山(しんざん)のときに限って開かれます。その南に中門があります。法堂は明治28年(1895年)の火災で焼け、今の建物は明治42年(1909年)の再建です。

法堂と方丈の南側では、琵琶湖疏水の分線が煉瓦の水路閣で境内を東西に渡り、方丈の東を北へ向かいます。

南禅寺の伽藍の並び(模式図)

上を北とした南禅寺の境内の図。西から勅使門・三門・法堂・方丈が東西の軸線に並び、その南側を水路閣が渡る。南禅院・金地院の位置と、蹴上駅への矢印も描いている。

三門と「絶景かな」

今の三門は、寛永5年(1628年)に藤堂高虎が、大坂夏の陣で倒れた家来の菩提を弔うために再建・寄進したものです。

三門の高さは約22mで、上層の楼を「五鳳楼(ごほうろう)」と呼びます。楼上の内陣には宝冠釈迦座像と十六羅漢がまつられ、天井の鳳凰や天人の絵は狩野探幽・土佐徳悦の筆とされます。

三門は、歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」で、石川五右衛門が楼上から「絶景かな」と見得を切る場面の舞台としても知られます。

大方丈と小方丈

方丈(国宝)は、大方丈と、その背後に接続する小方丈からなり、建物は桃山時代・天正年間(1573〜1591年)のものです。大方丈は慶長15年(1610年)の御所の造営を機に旧殿を賜って移したもので、もとの御殿は清涼殿とする説と女院御所とする説があります。小方丈は寛永年間(1624〜1644年)ごろの増築という説があります。

大方丈の部屋の狩野派の障壁画(重要文化財)は、傷みが進んだため平成23年(2011年)12月に124面のうち84面を収蔵庫に移し、今は復元画が入っています。小方丈は、伝狩野探幽筆の「群虎図」(重要文化財)40面があり、「虎の間」と呼ばれます。

大方丈の前庭は、小堀遠州作と伝わる江戸時代初期の枯山水で、俗に「虎の子渡し」と呼ばれ、1951年(昭和26年)6月9日に名勝になりました。塔頭・金地院の庭園は特別名勝です。

水路閣と南禅院

水路閣は、琵琶湖疏水の分線を通す明治21年(1888年)の煉瓦造14連アーチ橋(長さ93.2m)で、境内の景観に配慮して田辺朔郎(たなべさくろう)が設計しました。琵琶湖疏水施設の一部として国宝に指定されています。

水路閣の南の南禅院は、亀山法皇の離宮の跡で、南禅寺発祥の地とされます。鎌倉時代末の池泉回遊式の庭園は1923年(大正12年)3月7日に史跡・名勝に指定され、庭の東南の隅には亀山法皇の御廟があります。

南禅寺の国宝・重要文化財の建物

建物指定の種類と指定日造り
方丈(大方丈・小方丈)国宝(1953年11月14日)。1902年7月31日に重要文化財入母屋造・杮葺
三門重要文化財(1899年4月5日)五間三戸二階二重門、入母屋造・本瓦葺、両山廊付
勅使門重要文化財(1956年6月28日)四脚門、切妻造・檜皮葺
琵琶湖疏水施設 南禅寺水路閣国宝(2025年8月27日。同じ日に重要文化財にも指定)所有者は京都市
境内の塔頭・金地院にも、本堂(桃山時代)・茶室(八窓席、1628年)・東照宮(1628年)の重要文化財があります。
琵琶湖疏水と蹴上発電所

蹴上駅からの行き方と拝観料

南禅寺は左京区南禅寺福地町にあり、地下鉄東西線の蹴上駅から徒歩10分(「ねじりまんぽ」と呼ばれるトンネルを抜ける道が近道)、市バスなら「東天王町」か「南禅寺・永観堂道」から徒歩10分です。拝観時間は8時40分〜17時(12月〜2月は16時30分まで、受付は終了の20分前まで)で、12月28日〜31日は一般の拝観を受け付けていません(2026年10月時点)。

拝観料が決まっているのは方丈庭園・三門・南禅院です。三門は楼上に上がって京都の市街を見渡せます。障がい者手帳を見せると、本人と付き添い1人は無料です。水路閣は屋外にあり、境内を歩く途中で見られます。境内での飲食やスポーツ・遊びは禁じられています。

南禅院は工事のため令和9年(2027年)春まで拝観を停止していますが、2026年11月は期間限定で公開されます。紅葉の季節は混み合うため、11月の土日祝日(8日間)に、7時30分からの早朝特別拝観(事前申込)もあります。

  • 拝観料なし:水路閣など屋外の散策
  • 方丈庭園・三門:各一般600円・高校生500円・小中学生400円
  • 南禅院(2026年は11月1日〜30日のみ):一般500円・高校生450円・小中学生350円
  • 法堂の内部の特別公開(2026年11月16日〜29日、26日を除く):高校生以上500円、小中学生は無料
  • 早朝特別拝観(2026年11月):3,000円。方丈の御昼の間と三門楼上の内陣を僧侶の案内で見る

この項目のミニクイズ

  1. 南禅寺の三門は、石川五右衛門が楼上から「絶景かな」と見得を切る場面の舞台として知られます。この場面が出てくるのはどれ?

  2. 正応4年(1291年)、自らの離宮を禅寺に改めて南禅寺を開いたのは誰?

  3. 南禅寺の主な建物は、東西の一直線に並んでいます。西から順に正しく並べたものはどれ?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月22日

更新日:2026年10月22日

  1. 南禅寺「南禅寺の歴史」
  2. 南禅寺「三門(重要文化財)」
  3. 南禅寺「方丈(国宝)」
  4. 南禅寺「方丈庭園」
  5. 南禅寺「勅使門(重要文化財)と中門」
  6. 南禅寺「法堂」
  7. 南禅寺「南禅院」
  8. 南禅寺「拝観のご案内」
  9. 南禅寺「アクセス」
  10. 南禅寺「南禅院 拝観についてのお知らせ」
  11. 南禅寺「【南禅院庭園・法堂内陣】令和8年 秋の特別拝観のご案内」
  12. 南禅寺「秋の南禅寺 早朝拝観のご案内」
  13. 南禅寺「南禅寺の境内についてお願いとご注意」
  14. 文化庁「国指定文化財等データベース 南禅寺方丈」
  15. 文化庁「国指定文化財等データベース 南禅寺三門」
  16. 文化庁「国指定文化財等データベース 南禅寺勅使門」
  17. 文化庁「国指定文化財等データベース 琵琶湖疏水施設 南禅寺水路閣」
  18. 文化庁「国指定文化財等データベース 南禅寺方丈庭園」
  19. 文化庁「国指定文化財等データベース 南禅院庭園」
  20. 文化庁「国指定文化財等データベース 金地院庭園」
  21. 文化庁「国指定文化財等データベース 金地院本堂」
  22. 文化庁「国指定文化財等データベース 金地院茶室」
  23. 文化庁「国指定文化財等データベース 東照宮(金地院)」
  24. 京都市観光協会 京都観光Navi「南禅寺」
  25. 臨黄合議所 臨黄ネット「南禅寺」
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