寺社・文化財

東福寺三門と知恩院三門

国宝の三門を表す和紙コラージュ風の挿絵。朱色の柱が並ぶ二階建ての大きな木造の門に、上下2段の瓦屋根と、左右に階段を納めた小さな切妻屋根の小屋が付く。手前に赤いもみじの枝、遠くには谷に架かる屋根付きの橋が見え、門の下を小さな親子が歩いている

要点

  1. 2つの三門は同じ五間三戸二階二重門で、上層へは左右の山廊の階段で上る

  2. 東福寺三門は禅宗の寺の門なのに構造は大仏様、浄土宗の知恩院三門は細部が禅宗様

  3. 知恩院三門は、南禅寺三門・仁和寺二王門とともに「京都三大門」と呼ばれる

  4. 両門の楼上には宝冠釈迦如来と十六羅漢が並び、ふだんは入れない

国宝の門7件と二重門の形

京都市内の国宝建造物44件には門が7件あり、うち4件は唐門、1件は東寺の蓮花門で、二階建ての三門は東福寺三門と知恩院三門の2件です。

2つの門の形式は同じで、どちらも五間三戸二階二重門・入母屋造・本瓦葺で、左右に山廊(さんろう)が付きます。五間三戸は正面の柱間が5つで、ふつうは中央の3間が出入口になる形、二階二重門は二階建てで下層と上層にそれぞれ屋根がかかる門です。山廊は門の左右に建つ一階建ての小屋で、上層へ上る階段を納めています。

五間三戸二階二重門のしくみ(模式図)

正面から見た五間三戸二階二重門の模式図。下層は5つの柱間のうち中央の3つが出入口で、その上に縁と手すりをめぐらせた上層と入母屋造の大きな屋根がある。上層の中に本尊と十六羅漢の位置を点で示す。左右に小さな山廊が付き、山廊の階段が上層に通じる。

「三門」は三解脱門の略

三門は、悟りに至るために通る三つの解脱の境地、空(くう)・無相(むそう)・無願(むがん)を表す「三解脱門(さんげだつもん)」の略です。「山門」とも書き、一般には寺の門を「山門」と書くことが多いのに対し、知恩院や東福寺の門は「三門」と書きます。

禅宗の寺では、三門は仏殿・法堂などとともに七堂伽藍の一つに数えられる正門です。浄土宗の知恩院の三門も、細部は禅宗様が基調です。

東福寺三門

東福寺は1236年に九條道家の発願で開かれた寺(今は臨済宗東福寺派の大本山)で、14世紀前半の三度の火災のあとに三門が再建されました。1969年(昭和44年)からの解体修理で見つかった墨書などから、屋根の瓦葺きや上層の造作が1405〜1413年ごろまで行われたことが分かり、指定上の年代は室町中期の1405年(応永12年)です。1585年の地震で傾いたときは豊臣秀吉が修復しました。

棟高は22m余り。禅宗の寺の門でありながら構造はむしろ大仏様です。木割が太く雄大な姿は日本建築の中でも異色で、禅宗の三門としては最古で最大の門です。1897年12月28日に古社寺保存法による特別保護建造物(旧国宝)になり、1952年3月29日、三門として初めて国宝に指定されました。上層の扁額「玅雲閣(みょううんかく)」は足利義持の筆で、楼上には宝冠釈迦如来(ほうかんしゃかにょらい)坐像と十六羅漢像が並び、天井や柱には明兆(みんちょう)とその弟子による極彩色の絵があります。楼上に入れるのは、有料の特別公開のときだけです。

知恩院三門

浄土宗総本山・知恩院の三門は、徳川2代将軍秀忠が1619年に建立を発意し、1621年(元和7年)に完成しました。高さ24m、横幅50m、屋根瓦は約7万枚で、現存する二階二重門のうちでは最大の規模です。1902年7月31日に特別保護建造物になり、2002年5月23日、本堂(御影堂)とともに国宝になりました。

外に掲げた「華頂山」の額は畳2畳以上の大きさです。上層は仏堂で、宝冠釈迦如来像と十六羅漢像(いずれも重要文化財)を安置し、天井や柱、壁には迦陵頻伽(かりょうびんが)や天女、飛龍が極彩色で描かれています。七不思議の一つの白木の棺と、造営奉行の五味金右衛門(ごみきんえもん)夫妻の木像もここにあります。楼上は通常は非公開で、特別拝観の期間などに公開されます。

国宝でない京都の大門

南禅寺三門(重要文化財、1628年)は、藤堂高虎が大坂夏の陣で倒れた家来の菩提を弔うために再建した高さ約22mの門で、上層にも宝冠釈迦如来と十六羅漢がまつられています。仁和寺二王門(重要文化財、1641〜1645年)は高さ18.7mで、同じころの知恩院・南禅寺の三門が禅宗様なのに対し、和様でまとめられています。東本願寺の御影堂門(重要文化財、1911年)は正面3間と間口は小さいものの、高さは27mあり、木造の二重門として日本一の高さです。

仁和寺二王門は、知恩院・南禅寺の門とともに「京都三大門」と呼ばれ、南禅寺の三門は「日本三大門」の一つに数えられるともいわれます。

通天橋の紅葉と秋期拝観

東福寺は紅葉の名所で、方丈と開山堂を結ぶ通天橋(つうてんきょう)から谷の紅葉を見下ろす眺めが知られています。黄金色に染まる三ツ葉楓は、開山の聖一国師(しょういちこくし)が宋から持ち帰った唐楓だと寺に伝わります。2026年の秋期拝観(11月14日〜12月6日)の通天橋・開山堂は大人1,000円・小中学生500円(300円とする案内もあるため寺に確認)で、この期間の通天橋は8時30分から入れます。

東福寺・知恩院への行き方と拝観料

東福寺(東山区本町15丁目)は、JR奈良線・京阪本線の東福寺駅から徒歩約10分。有料なのは本坊庭園(方丈)と通天橋・開山堂で、三門はその外にあり、無料で見られます。

知恩院(東山区林下町)は、地下鉄東西線東山駅から徒歩8分、京都駅から市バス206系統「知恩院前」下車徒歩5分。開門は6時〜16時で、有料なのは友禅苑と方丈庭園です(2026年10月時点)。伽藍は上・中・下の3段に分かれ、三門は下段、本堂は中段にあり、三門前から御影堂前まで無料シャトルバス(9時〜16時、13時〜14時を除く)が走ります。2026年秋の夜間ライトアップ(有料)では、楼上の回廊だけを公開します。

この項目のミニクイズ

  1. 知恩院や東福寺の門は「山門」ではなく「三門」と書きます。この「三」が表すものは?

  2. 国宝・知恩院三門に掲げられている、畳2畳以上もある大きな額に書かれた文字はどれ?

  3. 国宝・東福寺三門の様式の説明として正しいのは?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月18日

更新日:2026年10月18日

  1. 文化庁「国指定文化財等データベース」(国宝・重要文化財(建造物)、京都府、国宝で検索)
  2. 文化庁「国指定文化財等データベース 東福寺三門」
  3. 文化庁「国指定文化財等データベース 知恩院三門」
  4. 文化庁「国指定文化財等データベース 南禅寺三門」
  5. 文化庁「国指定文化財等データベース 仁和寺 二王門」
  6. 文化庁「国指定文化財等データベース 真宗本廟東本願寺 御影堂門」
  7. 京都市文化財保護課「京都市内文化財件数」(令和8年4月1日現在)
  8. 東福寺「国宝 東福寺三門ガイド」
  9. 東福寺「拝観案内」
  10. 東福寺「国宝三門 特別公開」(2025年秋)
  11. 東福寺「アクセス」
  12. 東福寺「縁起」
  13. 知恩院「三門」
  14. 知恩院「拝観情報」
  15. 知恩院「交通アクセス」
  16. 知恩院「よくあるご質問」
  17. 知恩院「秋のライトアップ2026」
  18. 南禅寺「三門(重要文化財)」
  19. 仁和寺「境内のご案内」
  20. 真宗大谷派(東本願寺)「境内のみどころ」
  21. 観光庁「地域観光資源の多言語解説文データベース 二王門(仁和寺)」
  22. JAANUS(日本建築・美術用語辞典)「goken-sanko 五間三戸」
  23. JAANUS(日本建築・美術用語辞典)「nijuumon 二重門」
  24. JAANUS(日本建築・美術用語辞典)「sanrou 山廊」
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