寺社・文化財

京都市内の史跡・特別史跡

京都の史跡を表した和紙コラージュ風の挿絵。手前に竹の生えた土塁と堀が続き、奥に池に映る金色の楼閣の庭と、礎石が並ぶ古い宮殿跡の草地があり、小さな親子が説明板の前に立っている。

要点

  1. 西寺跡・鳥羽殿跡・山科本願寺跡は公園の中で見られる

  2. 全体の半分あまりは寺の庭園と寺社の境内

  3. 特別史跡は鹿苑寺(金閣寺)庭園・慈照寺(銀閣寺)庭園・醍醐寺三宝院庭園の3件

  4. 指定がいちばん早いのは西寺跡(1921年)、新しいのは大徳寺境内(2016年)

名勝・天然記念物との違い

国は、貝塚・古墳・都城跡・城跡・旧宅など、歴史上・学術上価値の高い遺跡のうち重要なものを「史跡」に、特に重要なものを「特別史跡」に指定します。庭園や峡谷などの名勝地は「名勝」、動植物や地質鉱物は「天然記念物」で、この3つをまとめて「記念物」と呼びます。

同じ場所が史跡と名勝の両方に指定されることがあり、その場合はそれぞれ1件と数えます。京都市内の特別史跡3件はいずれも庭園で、同時に特別名勝でもあるため、特別名勝12件の中にも入っています。龍安寺方丈庭園や天龍寺庭園は、史跡でありながら特別名勝という庭です。

区別・中身別の件数

京都市文化財保護課の2026年4月1日現在の集計では、市内の史跡・特別史跡は58件(特別史跡3件を含む)で、全国1,923件(特別史跡66件を含む)の約3%にあたります。向日市などにまたがる乙訓古墳群、大津市にまたがる延暦寺境内と琵琶湖疏水も、それぞれ1件に数えます。

右京区では、妙心寺の境内と塔頭などの庭園だけで7件あります。中身で分けると、寺の庭園が19件、寺社の境内が12件、御所・離宮などの跡が8件、寺院跡・古墳・窯跡が8件、人物ゆかりの旧宅と墓が6件、御土居や船岡山、琵琶湖疏水のような土木の遺構・地形が5件です。

京都市内の史跡・特別史跡の件数(区別)

  • 右京区14件
  • 左京区11件
  • 北区8件
  • 伏見区4件
  • 中京区3件
  • 東山区3件
  • 西京区3件
  • 上京区2件
  • 下京区2件
  • 南区2件
  • 山科区2件
  • 2区以上・他県にまたがる4件
乙訓古墳群は西京区、延暦寺境内は左京区に数え、御土居・平安宮跡・嵐山・琵琶湖疏水は「2区以上・他県にまたがる」に入れています。

一覧(1)北区・上京区・中京区・下京区・南区ほか

北区は金閣寺の庭のほか、大徳寺の境内と庭園だけで5件あります。平安宮跡は、1990年の豊楽殿跡の指定などを経て、いまは1件の史跡にまとまっています。

京都市内の史跡・特別史跡(1)北区・上京区・中京区・下京区・南区ほかの21件

名称区種別指定年何の跡か
鹿苑寺(金閣寺)庭園北区特別史跡(特別名勝)1925年足利義満が西園寺家から得た北山の山荘を寺にした鹿苑寺の庭
大徳寺境内北区史跡2016年宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)が開いた臨済宗大徳寺の境内
大徳寺方丈庭園北区史跡(特別名勝)1924年立石で枯滝を表した、方丈の前の白砂の庭
大仙院書院庭園北区史跡(特別名勝)1924年多くの石で山水を表した、大徳寺の塔頭・大仙院の枯山水
真珠庵庭園北区史跡(名勝)1924年一休の庵室に始まる塔頭の苔庭と、通遷院の茶庭
孤篷庵庭園北区史跡(名勝)1924年小堀政一(遠州)が寛永17年(1640年)に建てた庵の茶庭
船岡山北区史跡1968年子日(ねのひ)の遊びや葬送の地で、応仁の乱では戦場にもなった丘
賀茂別雷神社境内北区史跡1993年上賀茂神社の境内と、社家町・明神川沿いの一部
賴山陽書斎(山紫水明処)上京区史跡1922年頼山陽の住まい・水西荘に残る書斎
伊藤仁斎宅(古義堂)跡ならびに書庫上京区史跡1922年儒学者・伊藤仁斎の家の跡と、仁斎の時代の2階建ての書庫
旧二条離宮(二条城)中京区史跡1939年慶長8年(1603年)に徳川家康が築いた城。明治17年(1884年)に離宮となった
神泉苑中京区史跡1935年平安京造営のとき、宮城の南に営まれた禁苑
高瀬川一之船入中京区史跡1934年角倉了以が開いた高瀬川で、舟の荷を上げ下ろしした船溜まり
本願寺境内下京区史跡1994年西本願寺の境内
本願寺大書院庭園下京区史跡(特別名勝)1934年大書院の東の枯山水「虎渓の庭」
教王護国寺境内南区史跡1934年平安京造営のとき、都を守る寺として建てられた東寺の境内
西寺跡南区史跡1921年羅城門の西に、東寺と対で営まれた官寺の跡
御土居北区・上京区・中京区史跡1930年天正19年(1591年)に豊臣秀吉が京都の周りに築いた土塁と堀
平安宮跡(内裏跡・朝堂院跡・豊楽院跡)中京区・上京区史跡1979年平安宮の内裏・朝堂院・豊楽院の跡
嵐山右京区・西京区史跡(名勝)1927年大堰川をはさむ渓谷と山。古くから名所として知られる
琵琶湖疏水京都市ほか(大津市)史跡1996年明治時代に琵琶湖の水を京都へ引いた水路。舟運や水力発電などに使われた
指定年は最初に指定された年、種別のかっこ内は同じ場所のもう一つの指定です。
御土居平安京の都市設計と朱雀大路金閣・鹿苑寺の三層建築二条城と徳川将軍の京都

一覧(2)東山区・左京区・山科区・伏見区

左京区には、銀閣寺の庭と旧境内、南禅寺の境内、比叡山の延暦寺境内のほか、詩仙堂や岩倉具視の旧宅のような人物ゆかりの史跡が集まります。天明8年(1788年)の大火で御所が焼けたとき、東山区の青蓮院は後桜町上皇の仮御所に、聖護院は光格天皇の仮皇居になり、どちらも史跡です。

京都市内の史跡・特別史跡(2)東山区・左京区・山科区・伏見区の20件

名称区種別指定年何の跡か
高台寺庭園東山区史跡(名勝)1927年慶長10年(1605年)の創建のときに造られた、二つの池を中心とする庭
青蓮院旧仮御所東山区史跡1942年後桜町上皇の仮御所となった寺
方広寺大仏殿跡及び石塁・石塔東山区史跡1969年豊臣秀吉が建てた方広寺の大仏殿の跡と、石塁、耳塚などの石塔
慈照寺(銀閣寺)庭園左京区特別史跡(特別名勝)1925年足利義政が東山に営んだ山荘の庭
慈照寺(銀閣寺)旧境内左京区史跡1931年義政の山荘を寺にした慈照寺の旧境内
南禅寺境内左京区史跡2005年亀山天皇の離宮を寺に改めた南禅寺の境内
南禅院庭園左京区史跡(名勝)1923年亀山天皇がいたころに造られたと伝わる池の庭
賀茂御祖神社境内左京区史跡1983年下鴨神社の境内
詩仙堂左京区史跡1928年石川丈山が寛永18年(1641年)に建てた隠棲の住まい
石川丈山墓左京区史跡1928年詩仙堂の東南の山頂にある丈山の墓
岩倉具視幽棲旧宅左京区史跡1932年岩倉具視が文久2年(1862年)から慶応3年(1867年)まで身を潜めた家
栗栖野瓦窯跡左京区史跡1934年丘の斜面を使って瓦を焼いた登窯の跡
聖護院旧仮皇居左京区史跡1935年光格天皇の仮皇居となった寺
延暦寺境内左京区ほか(大津市)史跡1934年国家鎮護の道場とされた天台宗の本山・比叡山延暦寺の境内
随心院境内山科区史跡1966年小野流の根本・曼荼羅寺の旧跡に江戸時代初めに再興された寺の境内
山科本願寺跡及び南殿跡山科区史跡2002年蓮如が文明10年(1478年)から築いた寺内町と、隠居所・南殿の跡
醍醐寺三宝院庭園伏見区特別史跡(特別名勝)1927年慶長3年(1598年)に豊臣秀吉が自ら縄張りをした庭
醍醐寺境内伏見区史跡1967年聖宝(しょうぼう)が開いた醍醐寺の山上と山下の境内
鳥羽殿跡伏見区史跡1978年白河・鳥羽・後白河の3代の上皇が院政を行った離宮の跡(南殿跡)
荷田春満旧宅伏見区史跡1922年荷田春満(かだのあずままろ)の旧宅。当時の書院と門が残る
銀閣・慈照寺と東山文化天明の大火と焼けた京都豊臣秀吉の京都改造と聚楽第

一覧(3)右京区・西京区

右京区は嵯峨・御室・花園の寺が中心で、太秦には6世紀の天塚古墳と、巨石の石室が残る蛇塚古墳があります。西京区の樫原廃寺跡では、国内で見つかった例がごく少ない八角形の塔の跡が確認されています。

京都市内の史跡・特別史跡(3)右京区・西京区の17件

名称区種別指定年何の跡か
龍安寺方丈庭園右京区史跡(特別名勝)1924年方丈の南の白砂に15の石を置いた石庭
天龍寺庭園右京区史跡(特別名勝)1923年夢窓疎石の開山とともに造られた前庭と内庭
妙心寺境内右京区史跡1969年花園法皇が開いた妙心寺の伽藍と塔頭
妙心寺庭園右京区名勝(史跡)1931年勅使門と山門の間の放生池と、大方丈・小方丈の庭
玉鳳院庭園右京区名勝(史跡)1931年妙心寺の玉鳳院の庭(江戸時代中期)
東海庵書院庭園右京区名勝(史跡)1931年文化11年(1814年)に作られた書院の枯山水
霊雲院庭園右京区名勝(史跡)1931年方丈と御幸の間の小さな庭(江戸時代中期)
退蔵院庭園右京区名勝(史跡)1931年方丈の西にある、絵のような構想の枯山水
桂春院庭園右京区名勝(史跡)1931年方丈から書院の前にかけての庭(江戸時代初期)
仁和寺御所跡右京区史跡1938年宇多法皇が御室(おむろ)を営んだ仁和寺の旧寺地
大覚寺御所跡右京区史跡1938年嵯峨天皇の離宮・嵯峨院を寺にした大覚寺の跡。大沢池や名古曽滝跡が残る
高山寺境内右京区史跡1966年明恵上人が後鳥羽上皇から賜った寺の境内
天塚古墳右京区史跡1978年前方後円墳
蛇塚古墳右京区史跡1977年嵯峨野で最大の後期古墳
西芳寺庭園西京区史跡(特別名勝)1923年夢窓疎石が中興した寺の庭。苔寺の通称で知られる
樫原廃寺跡西京区史跡1971年白鳳時代の寺の跡
乙訓古墳群西京区ほか(向日市・長岡京市・大山崎町)史跡1922年天皇の杜古墳(西京区)など13基の古墳をまとめた古墳群
うずまさ太秦あらしやま・とげつきょう・ちくりん嵐山・渡月橋・竹林と川の名前

公園や通りにある史跡

史跡の多くは寺社の境内や庭園で、拝観できるかどうかや料金は寺社ごとに違います。

  • 西寺跡(南区唐橋西寺町):最初に指定された土壇状の高まり(コンド山)は、いまの唐橋西寺公園にあり、石碑も立っています。市バス「西寺前」から約200m。
  • 鳥羽殿跡(伏見区中島御所ノ内町):鳥羽離宮跡は史跡公園になっていて、築山の「秋の山」が残ります。市バス「城南宮道」からすぐ。
  • 山科本願寺跡(山科区):山科中央公園に、東西75m・南北60mにわたって土塁が残ります。
  • 高瀬川一之船入(中京区木屋町通二条下る上樵木町):高瀬川の西側に入り込んだ堀割が一之船入です。
  • 御土居:北区平野鳥居前町や上京区の廬山寺境内などに指定地があります。北野天満宮の境内西側の御土居は「史跡御土居のもみじ苑」として公開され、2026年秋は10月31日〜12月6日、大人1,500円・子ども700円(茶菓子付き)です。
  • 平安宮跡:指定地は住宅地の中にあり、内裏内郭回廊跡には説明板があります。豊楽殿の遺構は地中に保存されています。

この項目のミニクイズ

  1. 国の特別史跡・特別名勝の醍醐寺三宝院庭園で、慶長3年(1598年)に自ら縄張りをした人物は?

  2. 西京区の史跡・樫原廃寺跡(かたぎはらはいじあと)で確認された、国内では見つかった例がごく少ない塔の跡は、どんな形だった?

  3. 天明8年(1788年)の大火で御所が焼けたあと、後桜町上皇の仮御所となり、いまは国の史跡になっている東山区の寺はどこ?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月22日

更新日:2026年10月22日

  1. 京都市文化財保護課「京都市内文化財件数」(令和8年4月1日現在)
  2. 文化庁「記念物」
  3. 文化庁「国指定文化財等データベース」(史跡名勝天然記念物、史跡・特別史跡、京都府で検索)
  4. 文化庁 国指定文化財等データベース「御土居」
  5. 文化庁 国指定文化財等データベース「平安宮跡 内裏跡 朝堂院跡 豊楽院跡」
  6. 文化庁 国指定文化財等データベース「鹿苑寺(金閣寺)庭園」
  7. 文化庁 国指定文化財等データベース「慈照寺(銀閣寺)庭園」
  8. 文化庁 国指定文化財等データベース「醍醐寺三宝院庭園」
  9. 文化庁 国指定文化財等データベース「西寺跡」
  10. 文化庁 国指定文化財等データベース「大徳寺境内」
  11. 文化庁 国指定文化財等データベース「青蓮院旧仮御所」
  12. 文化庁 国指定文化財等データベース「聖護院旧仮皇居」
  13. 文化庁 国指定文化財等データベース「樫原廃寺跡」
  14. 文化庁 国指定文化財等データベース「蛇塚古墳」
  15. 文化庁 国指定文化財等データベース「乙訓古墳群」
  16. 文化庁 国指定文化財等データベース「山科本願寺跡及び南殿跡」
  17. 文化庁 国指定文化財等データベース「鳥羽殿跡」
  18. 文化庁 国指定文化財等データベース「延暦寺境内」
  19. 文化庁 国指定文化財等データベース「琵琶湖疏水」
  20. 京都市「史跡 御土居」
  21. 北野天満宮「史跡御土居のもみじ苑」
  22. 京都市文化財保護課「京都市内の埋蔵文化財発掘調査速報 史跡西寺跡」(2021年)
  23. 京都市文化財保護課「京都市内の埋蔵文化財発掘調査速報 山科本願寺跡」
  24. 京都市文化財保護課「京都市内の埋蔵文化財発掘調査速報 平安宮豊楽院跡・鳳瑞遺跡」
  25. 京都市埋蔵文化財研究所・京都市考古資料館「リーフレット京都 No.91 古墳時代 京都の遺跡3」
  26. 京都市観光協会 京都観光Navi「西寺跡」
  27. 京都市観光協会 京都観光Navi「鳥羽離宮跡」
  28. 京都市観光協会 京都観光Navi「高瀬川一之船入」
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