高台寺と圓徳院――ねねの寺と霊屋の蒔絵
別の表記・呼び方高台寺・圓徳院・円徳院・霊屋・おたまや・高台寺蒔絵・傘亭・時雨亭・ねねの道・石塀小路

要点
重要文化財の建物は霊屋・開山堂・表門・観月台・傘亭と時雨亭の5件(2026年10月時点)
高台寺庭園は1927年に史跡・名勝、圓徳院の北庭(旧円徳院庭園)は1975年に名勝
拝観料は高台寺が大人800円・中高生400円、圓徳院が大人500円・中高生200円。小学生以下は保護者同伴で無料
2026年の高台寺の秋の夜間特別拝観は10月23日〜12月13日
ねねが開いた寺――家康の援助と「高台寺」の名
北政所は秀吉の没後、慶長8年(1603年)に後陽成天皇から高台院の号を受け、これをきっかけに寺の建立を願ったとされます。慶長11年(1606年)、秀吉の菩提を弔う寺を東山の霊山(りょうぜん)のふもとに開き、造営は徳川家康が資金面で大きく支えたと伝わります。寛永元年(1624年)7月に建仁寺の三江紹益(さんこうじょうえき)を開山に迎えて高台寺と号し、北政所は同じ年の9月6日に亡くなりました。
寺は何度か火災にあい、今は表門・開山堂・霊屋・傘亭・時雨亭・観月台などが残ります。霊屋と開山堂の年代は慶長10年(1605年)とされ、開創とされる年の前年にあたります。境内には慶長11年(1606年)の梵鐘(重要文化財)も伝わります。
霊屋と「高台寺蒔絵」
霊屋は開山堂の東、臥龍池にかかる臥龍廊を上った中腹に建つ宝形造・檜皮葺のお堂で、1900年(明治33年)に重要文化財になりました。内陣に秀吉と北政所の坐像をまつり、北政所の像の下はその墓所です。
夫妻の厨子と須弥壇を飾る華やかな蒔絵は「高台寺蒔絵」と呼ばれ、桃山時代の美術の代表的な作例とされます。秀吉に仕えた蒔絵師・幸阿弥長安(こうあみちょうあん)の一門の作とされ、内部の障壁画は狩野光信と一派の筆と伝わります。寺には桃山時代の「蒔絵調度類」(重要文化財)も伝わります。
開山堂・観月台・傘亭・時雨亭と庭園
開山堂はもとは持仏堂で、開山の三江紹益を葬ってから開山堂になりました。天井には秀吉の御座船や北政所の御所車の部材が使われているといわれます。開山堂をはさんで偃月池(えんげつち)と臥龍池(がりょうち)が広がり、偃月池には秀吉遺愛と伝わる観月台が建ちます。小堀遠州の作と伝わるこの池庭は、1927年(昭和2年)に「高台寺庭園」として史跡・名勝に指定されました。
境内のいちばん上には、伏見城から移したと伝わる茶室の傘亭(からかさてい)と時雨亭(しぐれてい)が並び、土間の廊下でつながります。傘亭は天井板がなく、竹と丸太で組んだ屋根裏が唐傘を開いたように見えることからの名で、安閑窟(あんかんくつ)とも呼ばれます。時雨亭は2階が茶席です。年代は傘亭が桃山時代、時雨亭が江戸時代前期とされます(時雨亭も桃山時代とする説明もあります)。
高台寺と圓徳院の国指定文化財(主なもの)
| 名称 | 年代 | 文化財の種類 |
|---|---|---|
| 高台寺霊屋 | 慶長10年(1605年) | 重要文化財(1900年) |
| 高台寺開山堂 | 慶長10年(1605年) | 重要文化財(1900年) |
| 高台寺表門 | 桃山時代 | 重要文化財(1907年) |
| 高台寺観月台 | 桃山時代 | 重要文化財(1953年) |
| 高台寺傘亭(安閑窟)及び時雨亭 | 傘亭は桃山時代、時雨亭は江戸時代前期 | 重要文化財(1936年) |
| 梵鐘(高台寺) | 慶長11年(1606年) | 重要文化財(1978年) |
| 蒔絵調度類(高台寺) | 桃山時代 | 重要文化財(1907年) |
| 高台寺庭園 | 慶長10年(1605年)の創建時に造られたとされる | 史跡・名勝(1927年) |
| 旧円徳院庭園(圓徳院北庭) | 慶長年間に伏見城から移したとされる | 名勝(1975年) |
| 紙本墨画山水図〈伝長谷川等伯筆/大方丈襖貼付〉32面(圓徳院) | 桃山時代 | 重要文化財(1958年) |
圓徳院――ねねが晩年を過ごした塔頭
圓徳院は高台寺の塔頭です。北政所は慶長10年(1605年)、伏見城の化粧御殿とその前庭をこの地に移して住み、亡くなるまでの19年間を過ごしたとされます。寛永9年(1632年)、北政所の兄・木下家定の次男の利房が、木下家の菩提寺として圓徳院を開きました。
北庭は化粧御殿の前庭を移したもので、枯池に2つの島を置いて3つの石橋で結び、東の築山に枯滝を組んでいます。豪快な石組に桃山時代の書院庭園の特色が表れているとして、1975年(昭和50年)に「旧円徳院庭園」の名で名勝になりました。賢庭(けんてい)が作り、のちに小堀遠州が手を加えたと伝わります。
ねねの道・石塀小路と夜間特別拝観
高台寺の門前を中心に南北にのびる石畳の道は、ねねにちなんで「ねねの道」と呼ばれます。円山公園の南から霊山観音の参道まで約460mで、平成10年に電線を地中に埋めて整備され、南は二年坂・産寧坂へ続きます。西の下河原通とを結ぶ石塀小路は、明治時代末期から大正時代初期に貸家の町として開かれた路地で、石畳と石垣が続きます。高台寺表門から円山公園までの道筋と石塀小路は、重要伝統的建造物群保存地区「産寧坂地区」の範囲です。
高台寺は春・夏・秋に夜間特別拝観の期間があり、日程は年ごとに変わります。2026年は春が3月13日〜5月6日(圓徳院も同じ期間にライトアップ)、夏は7月11日〜8月23日の「東山観月路」にあわせた夜の拝観(特別料金で一般1,500円、小学生以下無料)、秋は10月23日〜12月13日の夜間特別拝観です。秋は17時点灯・21時30分受付終了で、料金は昼と同じです。
高台寺のまわりの道と寺(模式図)
今どこで見られる?/行き方
高台寺は東山区高台寺下河原町526、圓徳院は下河原町530にあり、市バス「東山安井」から東へ徒歩7分です。霊屋・開山堂・傘亭・時雨亭と庭園は高台寺の拝観で見られ、竹林も庭園の中なので拝観料が要ります。
- 市バス: 京都駅から206系統で約15分、京阪祇園四条駅・阪急京都河原町駅から207系統で「東山安井」下車。100系統は東山安井に止まらないので「清水道」で下車
- 高台寺: 9時〜17時30分(17時受付終了)。大人800円・中高生400円。小学生以下は大人の保護者同伴で無料(児童5人につき大人1人以上)
- 圓徳院: 10時〜17時受付終了(17時30分閉門)。大人500円・中高生200円・小学生以下無料(小学生5人につき保護者1人)。支払いは現金のみ
- 高台寺・圓徳院の共通割引拝観券: 大人1,200円(中高生の券はない)
- 掌美術館: 京・洛市「ねね」2階。2027年1月27日まで秀吉の念持仏と伝わる大随求菩薩を公開
この項目のミニクイズ
高台寺の境内のいちばん上に建つ茶室「傘亭(からかさてい)」。名前の由来は?
高台寺の塔頭・圓徳院の北庭(国の名勝)は、もとはどこにあった庭とされる?
出典・確認情報
内容確認日:2026年10月28日
更新日:2026年10月28日
- 高台寺「高台寺の歴史」
- 高台寺「拝観」(拝観案内・境内案内・掌美術館)
- 高台寺「訪問」(アクセス)
- 高台寺「催事 秋の夜間特別拝観」(2026年)
- 高台寺「重要なお知らせ」(2026年3月10日、拝観料改定)
- 高台寺掌美術館「展示案内」
- 圓徳院「拝観」
- 圓徳院「圓徳院由来」
- 圓徳院「圓徳院の見どころ:北庭」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 高台寺霊屋」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 高台寺開山堂」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 高台寺表門」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 高台寺観月台」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 高台寺傘亭(安閑窟)及び時雨亭(傘亭)」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 高台寺傘亭(安閑窟)及び時雨亭(時雨亭)」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 梵鐘(高台寺)」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 蒔絵調度類(高台寺)」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 高台寺庭園」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 旧円徳院庭園」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 紙本墨画山水図〈伝長谷川等伯筆/大方丈襖貼付〉」
- 文化庁「国指定文化財等データベース」(国宝・重要文化財〈美術工芸品〉、所有者「高台寺」で検索)
- 京都市観光協会「京都観光Navi 高台寺」
- 京都市観光協会「京都観光Navi 2026年春の夜間特別拝観【高台寺】」
- 京都市観光協会「京都観光Navi 東山観月路【高台寺】」(2026年)
- 京都市観光協会「京都観光Navi 圓徳院特別展と夜間ライトアップ」(2026年)
- 京都市観光協会「きょうと修学旅行ナビ ねねの道」
- 京都市観光協会「きょうと修学旅行ナビ 石塀小路」
- 京都市「産寧坂伝統的建造物群保存地区保存計画」
