寺社・文化財

京都の国宝の唐門

京都の国宝の唐門を表す和紙コラージュ風の挿絵。左に正面へ弓なりの唐破風を向けた彫刻の多い四脚門、右に横長の軒の両端に唐破風をもつ黒い扉の門が並び、土塀と松の前で小さな親子が門を見上げている

要点

  1. どれも桃山時代の門で屋根は檜皮葺。1952〜54年に相次いで国宝に

  2. 唐破風が前後にあるのが向唐門、左右の側面にあるのが平唐門。三宝院の唐門だけが平唐門

  3. 豊国神社の唐門は伏見城から、大徳寺の唐門は聚楽第から移したという言い伝えがある

  4. 西本願寺(北小路通側)と豊国神社(境内は拝観自由)では唐門の外観を無料で見られる。大徳寺の本坊は通常非公開

向唐門と平唐門の違い

唐門は、唐破風をもつ門をまとめて呼ぶ名前です。唐破風は中央が弓なりに盛り上がり、両端で反り返って水平に近づく曲線の破風で、垂木(たるき)も同じ曲線にそろえます。「唐」とつきますが中国風という意味とは限らず、この曲線の破風を使っていることを表します。門跡(もんぜき)寺院の入口や、方丈の前に置かれることが多い門です。

唐破風の付く位置で呼び名が分かれます。門の正面と背面、つまり通り抜ける向きに唐破風を見せるのが向唐門(むかいからもん)、左右の側面(妻側)に唐破風があり、正面からは横に長い軒が見えるのが平唐門(ひらからもん)です。京都市内の国宝では、本願寺・大徳寺・豊国神社の唐門が向唐門、醍醐寺三宝院の唐門が平唐門にあたります。同じ前後唐破風でも、本願寺と豊国神社の唐門は屋根の側面が入母屋(いりもや)造、大徳寺の唐門は切妻(きりづま)造の屋根の前後の軒に唐破風をつけた形で、細部は門ごとに違います。

向唐門と平唐門の違い(模式図)

左右2列の図。左の向唐門は門の正面と背面に唐破風があり、通り抜ける向きに唐破風の下をくぐる。右の平唐門は左右の側面に唐破風があり、正面には横に長い軒が見える。

国宝の唐門は4件

京都市内の国宝建造物のうち、唐門は本願寺唐門、大徳寺唐門、豊国神社唐門、三宝院唐門の4件で、時代区分はどれも桃山(1573〜1614年)、屋根はいずれも檜皮葺(ひわだぶき)です。国宝になったのは大徳寺が1952年3月29日、本願寺と豊国神社が1953年3月31日、三宝院が1954年3月20日です。

西本願寺・大徳寺・豊国神社の3件は「京の三唐門」と呼ばれます。醍醐寺三宝院の唐門は、この呼び名には含まれません。

移築の記録と伝承

唐門4件の移築の経緯

唐門(寺社)経緯
本願寺唐門(西本願寺)1618年(元和4年)に御影堂の前から今の場所へ移したとされる。伏見城から移したという伝承もある
大徳寺唐門聚楽第の門の一つで、秀吉が村上周防守に与え、のちに寄進されたと伝わるが、確かな資料はない。1891年(明治24年)には勅使門の西に東向きに建っていて、その後、明智門を金地院へ移した跡に移された
豊国神社唐門伏見城の遺構という言い伝えがある。二条城から南禅寺の塔頭・金地院へ移り、1880年(明治13年)の神社再興の際に今の場所へ移された
三宝院唐門(醍醐寺)1599年(慶長4年)に屏中門として建てられ、1615年と安永年間ごろの2度移築。伏見城の遺構という伝承もあるが、2010年の修理で、建てる際にほかの場所にあった門の部材を転用したことが確かめられた

4件の彫刻と彩色

本願寺唐門は、桃山時代の装飾彫刻を門全体に施した門で、彫刻の見事さに日の暮れるのを忘れることから「日暮らし門」とも呼ばれます。大徳寺唐門は、今は方丈の表門として南を向いて建ち、「日暮の門」の別名があります。

豊国神社(とよくにじんじゃ。「ほうこくじんじゃ」とも)の唐門は、もとは門全体が黒漆塗りで、高く浮き彫りにした人物像には金箔や彩色が施されていましたが、今は色がわずかに残るだけです。門の中央の額には後陽成天皇の書が記されています。

三宝院唐門は、建てられた当時は門全体が黒漆塗りで、菊と桐の4つの大きな紋に金箔が施されていました。2010年(平成22年)7月に約1年半の修理を終え、その姿に戻されています。

4件の唐門の場所と拝観料

  • 西本願寺(下京区堀川通花屋町下る):唐門は境内の南側、北小路通に面して建ち、2021年9月に修復を終えた彫刻を通りから見られます。境内は5時30分に開門します(2026年10月時点)。JR京都駅から徒歩約15分、市バス「西本願寺前」下車。
  • 豊国神社(東山区大和大路正面茶屋町):唐門は本殿の正面に建ちます。宝物館は9〜17時(受付は16時30分まで)で、大人・高校生・大学生500円、小・中学生300円。京阪「七条」駅から徒歩約10分、市バス「博物館三十三間堂前」から徒歩約5分。
  • 大徳寺(北区紫野大徳寺町):唐門は方丈の正面に建ちますが、本坊はふだん公開されていません。本坊の寺宝を虫干しをかねて見せてきた曝凉展(ばくりょうてん)も、2021年以降は修復工事のため中止で、2026年度も行われません。前後に唐破風をもつ勅使門(重要文化財)は常時見られます。市バス「大徳寺前」下車。
  • 醍醐寺三宝院(伏見区醍醐東大路町):唐門は朝廷の使者を迎えるときだけ扉を開いたとされる門です。三宝院の拝観は大人600円・中高生400円、小学生以下無料(通常期)。地下鉄東西線「醍醐」駅2番出口から徒歩約10分。

この項目のミニクイズ

  1. 豊国神社の国宝・唐門は、もとは門全体が何で塗られていた?

  2. 唐門の名のもとになった「唐破風」は、どんな形の破風?

  3. 伏見城の遺構だという豊国神社の国宝・唐門は、明治に今の場所へ移される前、どの寺にあった?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月18日

更新日:2026年10月18日

  1. 文化庁「国指定文化財等データベース」(国宝・重要文化財(建造物)、京都府、国宝で検索)
  2. 文化庁「国指定文化財等データベース 本願寺唐門」
  3. 文化庁「国指定文化財等データベース 大徳寺唐門」
  4. 文化庁「国指定文化財等データベース 豊国神社唐門」
  5. 文化庁「国指定文化財等データベース 三宝院唐門」
  6. 京都市文化財保護課「京都市内文化財件数」(令和8年4月1日現在)
  7. JAANUS(日本建築・美術用語辞典)「karamon 唐門」
  8. JAANUS(日本建築・美術用語辞典)「mukaikaramon 向唐門」
  9. JAANUS(日本建築・美術用語辞典)「hirakaramon 平唐門」
  10. JAANUS(日本建築・美術用語辞典)「karahafu 唐破風」
  11. 豊国神社「神社について」
  12. 豊国神社「交通」
  13. 豊国神社「宝物館・見どころ紹介」
  14. 京都市観光協会「豊国神社」(京都観光Navi)
  15. 観光庁「地域観光資源の多言語解説文データベース 豊国神社 唐門」
  16. 本願寺「境内と建造物」
  17. 本願寺「参拝案内」
  18. 京都市観光協会「本願寺(西本願寺)」(京都観光Navi)
  19. 臨済宗黄檗宗連合各派合議所「大徳寺」(臨黄ネット)
  20. 京都市観光協会「大徳寺」(京都観光Navi)
  21. 京都市観光協会「曝凉展(ばくりょうてん)【大徳寺本坊】」(京都観光Navi)
  22. nippon.com「京都・大徳寺本坊:国宝の唐門や狩野探幽の天井画を特別公開」(2018年10月4日)
  23. 京都市・京都市埋蔵文化財研究所「京都歴史散策マップ9 伏見 桃山」
  24. 醍醐寺「三宝院」
  25. 醍醐寺「拝観時間 / 料金」
  26. 醍醐寺「交通案内」
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