寺社・文化財

門跡寺院とは――京都の門跡寺院の一覧

別の表記・呼び方門跡・門跡寺院・宮門跡・尼門跡・比丘尼御所・五箇室門跡・御所号

白砂の庭の奥に檜皮葺の宸殿が建ち、手前に唐破風の門、脇に紅葉と橘の木。回廊を小さな僧の姿が歩く門跡寺院の挿絵

要点

  1. 門跡は寺の格式を表す呼び名で、住職その人も門跡と呼ぶ

  2. 法親王・入道親王を住職に迎えた門跡寺院を、特に宮門跡と呼ぶ

  3. 明治4年(1871年)5月の達と6月17日の布告で、門跡号・比丘尼御所号などが廃止された

  4. 尼門跡の宝鏡寺(上京区)は春と秋の人形展のときに公開。2026年秋は11月1日〜20日

「門跡」の意味――寺の格式と、住職の呼び名

門跡(もんぜき)は、皇族や摂関家などの出身者が住職を務めてきた、格式の高い寺院を指す呼び名です。住職その人を門跡と呼ぶこともあり、仁和寺は皇室出身の歴代の住職を「住職(門跡)」と書き表しています。今も「青蓮院門跡」「曼殊院門跡」のように、寺の名に門跡を付けて名乗る寺があります。

門跡になった経緯は寺ごとに違います。山科区の随心院は、寛喜元年(1229年)に後堀河天皇から門跡の宣旨を受けて随心院門跡と称し、のちに九条・二条の両摂家から門跡が入ったと伝えます。大原の三千院は、平安後期以降に皇子・皇族が住持する門跡になったとされます。

三千院と大原青蓮院と青不動――将軍塚青龍殿の国宝と、粟田口の門跡寺院

宮門跡と尼門跡(比丘尼御所)

門跡寺院のうち、法親王や入道親王が住職を務めた寺は宮門跡と呼ばれ、その数を13か寺とする数え方もあります。京都市内では仁和寺・大覚寺・勧修寺・三千院・聖護院・実相院などが宮門跡とされます。天台宗では、青蓮院・三千院・曼殊院・妙法院・毘沙門堂が「五箇室門跡」として重んじられてきました。

皇女などが住職を務めた尼寺の門跡は尼門跡と呼ばれ、比丘尼御所(びくにごしょ)とも呼ばれました。御所号を持つ寺も多く、大聖寺は「御寺(おてら)御所」、宝鏡寺は「百々御所(どどのごしょ)」、霊鑑寺は「谷の御所」、林丘寺は「音羽御所」とも呼ばれます。宝鏡寺は「人形の寺」とも呼ばれ、尼門跡の寺院には多くの人形が伝わっています。

ししがたに鹿ケ谷

明治4年の門跡号の廃止と、その後

明治4年(1871年)5月、諸門跡・比丘尼御所の号をすべて廃止し、寺院はそのまま地方官の管轄とする達が、京都府などに出されました。続いて同年6月17日の布告で、仁和寺・大覚寺をはじめとする御所号・門跡号・院家・院室などの名称がすべて廃止され、坊官・候人などの名称も廃されました。

皇族の住職が還俗した例もあります。仁和寺は慶応3年(1867年)に、皇室出身の住職が続いた宮門跡の歴史を終えています。左京区北白川にあった照高院は、明治に入って門主の智成法親王が還俗して北白川宮と称し、宮家が東京へ移ると堂舎は取り壊されました。北白川山ノ元町には、これを記念する石標「照高院宮址」が立っています。

明治18年(1885年)には、真宗の本願寺などの門跡号の復旧を扱った公文書が残っています。

仁和寺金堂と紫宸殿西本願寺の国宝建築

京都市内の主な門跡寺院の一覧

下の表は、京都市内で門跡寺院として案内されている主な寺です。区分の欄は、寺や京都市などがその寺を宮門跡・尼門跡と明記している場合だけ書き、確かめられないものは「—」にしました。門跡寺院の数は数え方によって変わるため、すべてを挙げたものではありません。

京都市内の主な門跡寺院

寺名(よみ)区宗派区分今の公開状況
仁和寺(にんなじ)右京区真言宗御室派総本山宮門跡常時拝観。御所庭園は有料(高校生以下無料)
大覚寺(だいかくじ)右京区真言宗大覚寺派の本山宮門跡常時拝観(有料)
勧修寺(かじゅうじ)山科区真言宗山階派大本山宮門跡庭園のみ拝観(有料)。建物内は非公開
随心院(ずいしんいん)山科区真言宗善通寺派大本山—常時拝観(有料)
醍醐寺三宝院(さんぼういん)伏見区真言宗醍醐派(総本山醍醐寺)—常時拝観(有料)
三千院(さんぜんいん)左京区天台宗宮門跡常時拝観(有料)
青蓮院(しょうれんいん)東山区天台宗—常時拝観(有料)
曼殊院(まんしゅいん)左京区天台宗—常時拝観(有料)
毘沙門堂(びしゃもんどう)山科区天台宗—常時拝観(有料)
妙法院(みょうほういん)東山区天台宗—通常非公開(令和9年まで庫裏の改修工事中)
聖護院(しょうごいん)左京区本山修験宗総本山宮門跡不動堂などは無料でお参りできる。宸殿などは秋の特別公開のみ
実相院(じっそういん)左京区単立(もと天台宗寺門派)宮門跡常時拝観(有料)
宝鏡寺(ほうきょうじ)上京区臨済宗単立尼門跡春と秋の人形展のときだけ公開
大聖寺(だいしょうじ)上京区臨済宗尼門跡—
光照院(こうしょういん)上京区浄土宗単立尼門跡—
三時知恩寺(さんじちおんじ)上京区浄土宗尼門跡—
霊鑑寺(れいかんじ)左京区臨済宗南禅寺派尼門跡通常非公開。秋に特別公開(2026年は11月20日〜12月6日)
林丘寺(りんきゅうじ)左京区臨済宗尼門跡非公開
2026年10月時点。「—」は出典で確かめられなかった欄です。
醍醐寺の国宝

今どこで見られる?/行き方

多くは拝観料が要りますが、仁和寺の御所庭園は高校生以下が無料で、聖護院は平時でも不動堂などに無料でお参りできます。2026年秋は、ふだん閉じている尼門跡の公開と、宮門跡の特別公開が重なります。

  • 宝鏡寺(上京区):秋の人形展は2026年11月1日〜20日、10時〜16時(受付15時30分まで)、大人600円・小人300円。市バス9・12系統「堀川寺ノ内」から徒歩1分
  • 霊鑑寺(左京区鹿ヶ谷):秋の特別公開は2026年11月20日〜12月6日、10時〜16時30分(最終入場16時)、大人800円・小学生400円。市バス32系統「上宮ノ前町」から徒歩約5分
  • 聖護院(左京区):秋の特別公開は2026年10月10日〜12月6日の金・土・日曜と祝日が中心(休止日あり)、大人800円。市バス「熊野神社前」から徒歩約4分
  • 大覚寺(右京区):2026年10月9日〜12月7日は寛永行幸400年記念の宸殿特別拝観で、ふだん入れない宸殿の牡丹の間に通常の参拝料だけで入れる。市バス・京都バス「大覚寺」からすぐ
  • 随心院(山科区):2026年11月1日〜30日は秋期本尊特別御開帳(11月2日は拝観停止)、大人500円。地下鉄東西線「小野」駅から徒歩約5分
  • 仁和寺(右京区):御所庭園は大人800円、高校生以下無料。嵐電「御室仁和寺」駅から徒歩約3分

この項目のミニクイズ

  1. 明治4年(1871年)6月17日の布告で、御所号・門跡号などの名称をすべて廃止したとき、はじめに名前を挙げられた寺は?

  2. 春と秋の人形展で知られる上京区の尼門跡・宝鏡寺が賜った御所号は?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月29日

更新日:2026年10月29日

  1. 国立国会図書館 レファレンス協同データベース「「門跡寺院」の一覧が掲載されている資料を探している。」
  2. 国立国会図書館デジタルコレクション「法令全書 明治4年」
  3. 国立公文書館デジタルアーカイブ「真宗本願寺以下門跡号復旧ノ件」
  4. 京都国立博物館「特集陳列「皇室ゆかりの名宝」 門跡寺院の名宝」
  5. 京都市「いしぶみデータベース SA044 照高院宮址」
  6. 京都市「いしぶみデータベース SA058 仮皇居聖護院旧跡」
  7. 京都市上京区「大聖寺」
  8. 仁和寺「仁和寺について」
  9. 仁和寺「拝観・交通案内」
  10. 大覚寺「大覚寺とは」(2026年10月12日のウェブアーカイブ)
  11. 勧修寺「勧修寺について」
  12. 勧修寺「拝観案内」
  13. 隨心院「隨心院の歴史」
  14. 隨心院「令和8年秋期本尊特別御開帳のお知らせ」
  15. 醍醐寺「三宝院」
  16. 三千院「三千院のご案内」
  17. 青蓮院「青蓮院について」
  18. 曼殊院「歴史」
  19. 毘沙門堂「毘沙門堂について」
  20. 聖護院「皇室と聖護院」
  21. 聖護院「拝観案内」
  22. 聖護院「秋の特別公開」
  23. 実相院「実相院の歴史」
  24. 知恩院「拝観案内」
  25. 宝鏡寺「宝鏡寺の歴史」
  26. 宝鏡寺「人形展のご案内」
  27. 京都コネクト「霊鑑寺 秋の特別公開」
  28. 京都市観光協会「旧嵯峨御所 大本山大覚寺」
  29. 京都市観光協会「寛永行幸400年記念・宸殿特別拝観【大覚寺】」
  30. 京都市観光協会「妙法院」
  31. 京都市観光協会「実相院」
  32. 京都市観光協会「光照院門跡」
  33. 京都市観光協会「三時知恩寺」
  34. 京都市観光協会「林丘寺」
  35. 京都市観光協会「霊鑑寺 特別公開」
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