寺社・文化財

大徳寺の塔頭――いつでも見られる寺と特別公開の寺、大仙院・龍源院・瑞峯院・高桐院

別の表記・呼び方大徳寺・龍寶山大徳寺・大徳寺の塔頭・大仙院・龍源院・瑞峯院・高桐院・黄梅院・総見院・興臨院・聚光院・紫野

白い土塀と刈り込みの生け垣にはさまれた石畳の参道の先に、二層の大きな木造の山門がそびえ、手前には白砂に砂紋を引き大きな石を立てた枯山水の庭と色づいたモミジがある様子を描いた和紙コラージュ風の挿絵。参道に小さな参拝者

要点

  1. 境内には別院2か寺と塔頭20か寺(2026年10月時点)

  2. 大仙院は通年9時〜16時30分、大人500円・小中学生300円(2026年10月時点)

  3. 本坊(方丈・唐門)は通常非公開。曝凉展は修復工事のため2021年から中止で、2026年度も中止

  4. 東京国立博物館の特別展(2026年12月6日まで)で、龍光院の曜変天目と観音猿鶴図は11月8日まで(前期)、高桐院の山水図は11月10日から(後期)展示

大徳寺はどんな寺?――宗峰妙超の開創と、一休・利休・戦国武将

大徳寺は北区紫野(むらさきの)にある臨済宗大徳寺派の大本山で、山号を龍寶山(りゅうほうざん)といいます。鎌倉時代末期の正和4年(1315年)に、大燈国師(だいとうこくし)宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)が開いたとされます。花園・後醍醐の両天皇の帰依を受けて勅願所となり、「本朝無双禅苑」と称されました。2026年を開創700年とする数え方もあり、こちらは1326年を開山の年としています。

応仁の乱で荒れた伽藍は、一休宗純(いっきゅうそうじゅん)が復興しました。桃山時代には豊臣秀吉がここで織田信長の葬儀を営み、信長の菩提を弔う総見院を建てて寺領を寄進したことをきっかけに、戦国武将が相次いで塔頭を建てます。三門の2階部分は千利休が増築して金毛閣(きんもうかく)と名づけたもので、そこに利休の像を置いたことが秀吉の怒りを買い、利休が自害する一因になったといわれます。

京都の寺社の正式名称と読み方豊臣秀吉の京都改造と聚楽第

塔頭(たっちゅう)とは――境内に20か寺が並ぶ

塔頭は、もとは禅寺の開山や高僧の遺骨を納めた塔のある小さな建物で、やがて本山に属する子院になり、大名や豪商の菩提寺の役目も担うようになりました。2026年10月時点で、大徳寺の境内には別院2か寺と塔頭20か寺があります。

龍源院は文亀2年(1502年)に能登の守護・畠山義元らが、瑞峯院は天文4年(1535年)に大友宗麟(そうりん)が自分の菩提寺として、高桐院は慶長6年(1601年)に細川忠興(ただおき)が、龍光院は慶長11年(1606年)に黒田長政が父の菩提を弔うために建てました。ほとんどの塔頭はふだん拝観できず、表門から前庭をのぞくことになります。

曜変天目と龍光院

ふだん見られる塔頭と、特別公開の塔頭(2026年秋)

ふだんから拝観できるのは大仙院・龍源院・瑞峯院です。大仙院は永正6年(1509年)の創建で、永正10年(1513年)の本堂が国宝、書院が重要文化財です。本堂は龍源院の本堂と並んで最古の禅宗方丈建築の一つとされ、限られた広さの中に大きな石を数多く据え、山と谷川の流れを表した書院庭園は特別名勝です。瑞峯院の方丈の南の独坐庭(どくざてい)と、石組を十字架の形にした北の閑眠庭(かんみんてい)は、1961年に重森三玲(しげもりみれい)が作った庭です。

秋には、千利休の菩提寺の聚光院、秀吉が信長の追善のために建てた総見院、利休の作と伝わる直中庭(じきちゅうてい)がある黄梅院、前田利家が本堂の屋根を修復したという興臨院が特別公開されます。総見院の本堂には、秀吉が奉納した木造織田信長坐像(重要文化財)が安置されています。

大徳寺の主な塔頭の公開(2026年10月時点)

塔頭公開の時期見どころ拝観料
大仙院通年(9時〜16時30分)国宝の本堂(1513年)、特別名勝の書院庭園大人500円・小中学生300円
龍源院通年重要文化財の本堂(1517年ごろ)と枯山水の庭有料(料金は寺に確認)
瑞峯院通年大友宗麟の菩提寺。重森三玲の独坐庭・閑眠庭有料(料金は寺に確認)
高桐院2026年は拝観休止中(再開未定)細川忠興の創建。楓の庭―
黄梅院秋の特別公開(10月9日〜12月6日)利休の作と伝わる直中庭大人1,000円・中高生500円・小学生以下無料(保護者同伴)
総見院春・秋の特別公開(2026年秋は10月10日〜11月30日)木造織田信長坐像(重要文化財)大人800円・中高生400円・小学生以下無料(保護者同伴)
興臨院秋の特別公開(9月5日〜29日、10月3日〜12月15日)重要文化財の本堂と方丈庭園大人800円・中高生400円・小学生300円(保護者同伴)
聚光院特別公開(9月18日〜12月6日)利休の菩提寺。狩野永徳らの国宝障壁画は複製で公開大人1,000円・小中高生500円(未就学児は拝観不可)
龍光院通常非公開国宝の書院、曜変天目を所蔵―
2026年10月時点。特別公開の期間中にも休止日があります(黄梅院は10月28日、聚光院は11月21日・22日・27〜29日など)。
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大徳寺の国宝は何があって、今どこで見られる?

建物の国宝は、本坊の方丈(寛永12年〈1635年〉)と玄関、方丈の正面に建つ唐門、大仙院本堂、龍光院書院です。唐門は聚楽第の遺構と伝わり、方丈の庭(方丈庭園)は特別名勝です。本坊は通常非公開で、寺宝の虫干しをかねて毎年10月の第2日曜日に開かれてきた曝凉展(ばくりょうてん)も、2021年以降は修復工事のため中止され、2026年度も中止です。

絵画では、牧谿(もっけい)筆の観音猿鶴図、大燈国師像、聚光院の方丈障壁画、高桐院の山水図などが国宝です。その一部は、東京国立博物館(東京・上野)の開創700年記念特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」(2026年10月14日〜12月6日)に出品されています。国宝14件・重要文化財69件が並び、前期(11月8日まで)と後期(11月10日から)でほぼ入れ替わります。観音猿鶴図と龍光院の曜変天目は前期、高桐院の山水図は後期で、聚光院の狩野永徳筆の襖は前期・後期に4面ずつです。

京都の国宝の唐門京都市内の国宝建造物京都市内の国宝の絵画

境内の位置関係――南北に並ぶ伽藍と、まわりの塔頭

境内は南を北大路通、北を今宮通、東を大徳寺通(旧大宮通)に囲まれ、2016年に「大徳寺境内」として国の史跡になりました。東の総門を入ると、勅使門・三門・仏殿・法堂が南から北へ一列に並び、その北に唐門と方丈があります。大仙院は方丈の北西、龍源院は勅使門の南西で、その南に黄梅院、西に瑞峯院があります。高桐院と龍光院は境内の西側、今宮門前通の東に南北に並びます。

大徳寺の境内と主な塔頭(模式図)

上を北とした大徳寺の境内の模式図。下の辺に沿って北大路通、上の辺に沿って今宮通、右の辺に沿って大徳寺通(旧大宮通)が走り、左寄りに今宮門前通が南北に通る。境内の右寄りに、南から勅使門・三門・仏殿・法堂が一列に並び、その北に唐門と方丈がある。方丈の北西に大仙院。勅使門の南西に龍源院、その南に黄梅院、龍源院の西に瑞峯院。境内の西側、今宮門前通の東に北から高桐院・龍光院。右の辺の下寄り(勅使門と同じ高さ)に総門、右下の北大路通沿い、大徳寺通との交差点のすぐ東に市バス「大徳寺前」。
北大路通・今宮通・大徳寺通(旧大宮通)に囲まれた大徳寺の境内で、南北に並ぶ本坊の伽藍と、大仙院・龍源院・瑞峯院・高桐院・黄梅院・龍光院の位置を簡単にした模式図です。建物の大きさや距離は実際どおりではありません。

今どこで見られる?/行き方

所在地は北区紫野大徳寺町53。京都駅から市バス206系統などで「大徳寺前」下車、または地下鉄烏丸線の北大路駅で市バスに乗り換えて「大徳寺前」で降ります。北大路駅から歩くと約20分です。

  • 境内の伽藍:総門から石畳の道を歩き、勅使門(重要文化財)を外から見られます。三門・法堂は非公開で、法堂は不定期に特別公開されることがあります
  • ふだんの拝観:大仙院(大人500円・小中学生300円)、龍源院、瑞峯院
  • 特別公開:表のとおり。総見院・黄梅院は小学生以下が保護者同伴で無料、聚光院は未就学児は入れません
  • 国宝の絵画と曜変天目:東京国立博物館の特別展(2026年10月14日〜12月6日)。曜変天目と観音猿鶴図は前期の11月8日まで、高桐院の山水図は後期の11月10日から。月曜休館(11月2日・23日・30日は開館、11月24日は休館)、一般2,300円・中学生以下は無料
子どもと無料で見られる京都の文化財

この項目のミニクイズ

  1. 大徳寺の三門の2階部分を増築して「金毛閣」と名づけ、そこに自分の像を置いたことが豊臣秀吉の怒りを買ったといわれる人物は?

  2. 豊臣秀吉が織田信長の追善菩提のために建て、本堂に秀吉が奉納した木造織田信長坐像(重要文化財)を安置する大徳寺の塔頭は?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月28日

更新日:2026年10月28日

  1. 大本山 大徳寺「概略」
  2. 大本山 大徳寺「境内」(大徳寺山内図)
  3. 大本山 大徳寺「交通」
  4. 臨黄合議所「大徳寺」(臨黄ネット)
  5. 京都市観光協会「大徳寺」(京都観光Navi)
  6. 京都市観光協会「曝凉展(ばくりょうてん)【大徳寺本坊】」(京都観光Navi)
  7. 京都市観光協会「大仙院」(京都観光Navi)
  8. 大仙院「拝観案内」
  9. 京都市観光協会「龍源院」(京都観光Navi)
  10. 京都市観光協会「龍源院」駒札(京都観光Navi)
  11. 京都市観光協会「瑞峯院」(京都観光Navi)
  12. 京都市観光協会「瑞峯院」駒札(京都観光Navi)
  13. 京都市都市緑化協会「京の庭を訪ねて 大徳寺・瑞峯院庭園」
  14. 京都市観光協会「大徳寺」(きょうと修学旅行ナビ)
  15. 京都市観光協会「高桐院」(京都観光Navi)
  16. 京都市観光協会「総見院」(京都観光Navi)
  17. 京都市観光協会「大徳寺塔頭 総見院 秋の特別公開」(京都観光Navi)
  18. 京都市観光協会「大徳寺塔頭 黄梅院 秋の特別公開」(京都観光Navi)
  19. 京都春秋「大徳寺 黄梅院」
  20. 京都市観光協会「大徳寺塔頭 興臨院 秋の特別公開」(京都観光Navi)
  21. 京都市観光協会「大徳寺 聚光院 開創460年 特別公開」(京都観光Navi)
  22. MIHO MUSEUM「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋」(2019年)
  23. JAANUS(日本建築・美術用語辞典)「tatchuu 塔頭」
  24. 東京国立博物館「開創700年記念 特別展『大徳寺 本朝無双之禅苑』」
  25. 東京国立博物館ほか「開創700年記念 特別展 大徳寺」(展覧会公式サイト)
  26. 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」出品目録(PDF)
  27. 文化庁「国指定文化財等データベース 大徳寺(方丈)」
  28. 文化庁「国指定文化財等データベース 大徳寺(玄関)」
  29. 文化庁「国指定文化財等データベース 大徳寺唐門」
  30. 文化庁「国指定文化財等データベース 大徳寺勅使門」
  31. 文化庁「国指定文化財等データベース 大仙院本堂」
  32. 文化庁「国指定文化財等データベース 大仙院書院」
  33. 文化庁「国指定文化財等データベース 龍源院本堂」
  34. 文化庁「国指定文化財等データベース 龍光院書院」
  35. 文化庁「国指定文化財等データベース 大徳寺境内」
  36. 文化庁「国指定文化財等データベース 大徳寺方丈庭園」
  37. 文化庁「国指定文化財等データベース 大仙院書院庭園」
  38. 文化庁「国指定文化財等データベース 興臨院本堂」
  39. 文化庁「国指定文化財等データベース 絹本墨画淡彩観音図〈牧谿筆〉」(大徳寺)
  40. 文化庁「国指定文化財等データベース 絹本著色大燈国師像」
  41. 文化庁「国指定文化財等データベース 方丈障壁画」(聚光院)
  42. 文化庁「国指定文化財等データベース 絹本墨画山水図」(高桐院)
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