食と道具

京の伝統野菜

別の表記・呼び方京都の伝統野菜

竹のざるに並ぶ丸い賀茂なす、細長い九条ねぎ、葉の付いた大きな聖護院かぶ、縞のあるえびいも、太い堀川ごぼう、細長い万願寺とうがらし。背景に畑のうねと寺の屋根

要点

  1. 明治以前から栽培の歴史があり、京都市域に限らず府内全域が対象

  2. 昭和63年(1988年)に37品目を定め、準じるものを含めると40品目

  3. 京のブランド産品は2026年11月時点で31品目、うち野菜は21品目

  4. 「京の伝統野菜」の名は2007年に地域団体商標に登録

京都府が定めた「京の伝統野菜」

都が置かれた京都には、宮廷や社寺への献上品として全国から野菜が集まり、肥えた土と豊かな水、農家の技術で改良されてきたとされます。そのうち古い歴史を持つものが京の伝統野菜で、京都府が定めた定義は次の5つです。

  • 明治以前の導入栽培の歴史を有する
  • 京都市域のみならず府内全域を対象とする
  • たけのこを含む
  • キノコ類、シダ類(ぜんまい、わらびなど)を除く
  • 栽培または保存されているもの及び絶滅した品目を含む

品目数と種子の保存

定義は、昭和63年(1988年)3月に京都府農林水産部が発行した冊子で示されました(平成14年〈2002年〉3月に京のふるさと産品価格流通安定協会が改訂版を発行)。このとき37品目が京の伝統野菜と定められています(選定を1987年とする説明もあります)。これとは別に、万願寺とうがらしや花菜(はなな)など3品目が京の伝統野菜に準じるものとされ、準じるものを含めると40品目です(2026年11月時点)。

今は作られていない絶滅した品目も、京の伝統野菜に数えられています。京都府の農林センターは、伝統野菜の原種を守るため種子を低温で保管し、定期的に栽培して発芽率の高い種子に更新しています。2020年には、舞鶴かぶや桃山だいこんなどアブラナ科の根菜4品目の種子を更新しました。

京の伝統野菜という名前は、2007年8月に全国農業協同組合連合会と京都市農業協同組合を権利者とする地域団体商標に登録されています。

京のブランド産品(ブランド京野菜)との違い

京のブランド産品は、安心・安全と環境に配慮した京都こだわり生産認証システムで作られた京都産の農林水産物から、品質・規格・生産地を厳選したものです。公益社団法人京のふるさと産品協会が認証し、京都の頭文字のKを図案にした京マークを付けて出荷されます。野菜の認証は平成元年度(1989年度)に始まり、のちに果実や水産物、加工品などにも広がりました。

認証には、出荷に足りる量と、そろった品質・規格、他産地にない独自性などが求められます。2026年11月時点のブランド産品は31品目で、うち野菜は21品目です。

京の伝統野菜が明治以前からの歴史で決まる区分なのに対し、京のブランド産品は品質と産地を厳選して認証する区分です。賀茂なすや九条ねぎのように両方に入る野菜があり、すぐきのように伝統野菜でもブランド産品の一覧にない野菜もあります。金時にんじんや紫ずきんは、伝統野菜の定義からは外れるブランド産品です。

京の伝統野菜と京のブランド産品

左右二つの円が重なる図。左の円が京の伝統野菜、右の円が京のブランド産品。重なりに賀茂なす、九条ねぎ、京みず菜、聖護院かぶ、えびいも、堀川ごぼう、京たけのこと、点線で囲んだ伝統野菜に準じるものの万願寺とうがらし・花菜。左だけにすぐき・桃山だいこん、右だけに金時にんじん・紫ずきん。
京の伝統野菜は明治以前からの歴史で決まる区分、京のブランド産品は品質と産地を厳選して認証する区分で、両方に入る野菜が多くあります。

主な品目の産地と時期

代表的な品目の区分と、農協を通じた出荷の主な産地・時期です。

主な京野菜の区分・主な産地・時期

品目区分主な産地出荷の多い時期
賀茂なす伝統野菜・ブランド産品亀岡市、綾部市、京丹後市、京都市5〜10月
九条ねぎ伝統野菜・ブランド産品府内全域11月〜翌7月
京みず菜伝統野菜・ブランド産品府内全域11月〜翌7月
伏見とうがらし伝統野菜・ブランド産品精華町、京丹波町、南丹市6〜9月
万願寺とうがらし伝統野菜に準じるもの・ブランド産品府内全域(ブランドの産地は舞鶴市・綾部市・福知山市)6〜10月
京たけのこ伝統野菜・ブランド産品京都市、長岡京市、向日市3〜4月
堀川ごぼう伝統野菜・ブランド産品京丹後市、和束町11〜12月
えびいも伝統野菜・ブランド産品京田辺市、亀岡市、京丹後市11月〜翌2月
聖護院かぶ伝統野菜・ブランド産品亀岡市、京丹後市12月〜翌2月
金時にんじんブランド産品南丹市、京都市12月〜翌1月
産地と時期は農協を通じた出荷の目安です。前後の月にも少ない量が出回ります。

品目ごとの由来

名前や始まりに、京都の地名や歴史が残る品目が多くあります。

  • 九条ねぎ:奈良時代には深草で栽培が始まっていたとされ、九条で栽培が広まったのは平安時代前期といわれる。名前は、かつて今の南区九条が主な産地だったことにちなむ
  • えびいも:安永年間(1772〜1781年)に青蓮院宮(しょうれんいんのみや)が長崎から持ち帰った芋を宮家の菜園で育てたところ、えびの形をした大きな芋になったのが始まりと伝わる
  • 賀茂なす:北区上賀茂で古くから作られてきた丸なす。起源は不詳だが、貞享元年(1684年)の文献に記載がある
  • 京たけのこ:嵯峨天皇の時代に中国から持ち込まれ、江戸時代から栽培が盛んになったとされる
  • 万願寺とうがらし:舞鶴市が発祥の地とされる大型のとうがらしで、舞鶴市周辺のものは万願寺甘とうの名で出荷される

京漬物の材料と、買える場所

聖護院かぶは千枚漬に、上賀茂のすぐきはすぐき漬けにと、伝統野菜は京漬物の材料にもなります。

京都府で作られた野菜は、スーパーや八百屋で京野菜として売られ、ブランド産品には京マークが貼られています。京のふるさと産品協会は、京都の野菜を多くそろえる店を「ほんまもん京野菜取扱店」、旬の京野菜の料理を出す店を「旬の京野菜提供店」に認定しています。

千枚漬すぐき

この項目のミニクイズ

  1. 品質や産地を厳選した「京のブランド産品」に貼られるマークの呼び名は?

  2. 京都府の「京の伝統野菜」の定義で、含むと明記されているものは?

  3. 京の伝統野菜に準じるものとされる万願寺とうがらし。発祥の地とされる市は?

出典・確認情報

内容確認日:2026年11月8日

更新日:2026年11月8日

  1. 京都府「京の伝統野菜・京のブランド産品」
  2. 京都府「京都府の特産物は?<農業(1)>」
  3. 環境省 森里川海プロジェクト 取組事例「京のブランド産品を支える 京の伝統野菜」
  4. 京都をつなぐ無形文化遺産普及啓発実行委員会「京の食文化」ハンドブック
  5. 京都府農林水産技術センター 農林センター「伝統野菜の維持・保存のため種子を更新」(令和2年6月試験研究業務月報)
  6. 全国農業協同組合連合会京都府本部(JA全農京都)「食財図鑑」
  7. コトバンク「京野菜」(平凡社『百科事典マイペディア』・小学館『デジタル大辞泉』)
  8. コトバンク「京の伝統野菜」(日外アソシエーツ『事典 日本の地域ブランド・名産品』ほか)
  9. コトバンク「九条葱」(小学館『デジタル大辞泉』ほか)
  10. 農林水産省「うちの郷土料理 にしん茄子/茄子とにしんの炊いたん(京都府)」
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