京都の御所・離宮と国宝

要点
御所の建物は指定外だが、仁和寺に移された慶長の紫宸殿は寺の金堂として国宝
指定しない理由は、宮内庁で大切に保存されているためと国会で答弁されている
同じ皇室用財産の正倉院正倉は1997年5月19日に国宝となり、1998年に世界遺産の一部に
4施設のうち有料は桂離宮だけで、小学生以下が入れるのは京都御所だけ
4施設は「皇室用財産」
国の財産は国有財産法で分けられ、行政財産の一つが皇室用財産です。法律では「国において皇室の用に供し、又は供するものと決定したもの」と定められ、皇居や御用邸、正倉院、陵墓などとともに、京都御所(大宮御所・京都仙洞御所を含む)、桂離宮、修学院離宮が皇室用財産として宮内庁の管理下にあります。宮内庁の2025年3月31日現在の皇室用財産一覧表では、京都御所(大宮御所・京都仙洞御所を含む)の土地は約20万2千㎡です。
4施設は文化財保護法による国宝・重要文化財の指定も、史跡・名勝の指定も受けていません。一方、慶長年間に造られた御所の紫宸殿は仁和寺に移されて金堂となり、寺の建物として国宝に指定されています。
指定されていない理由と国会での答弁
1960年(昭和35年)の国会では、当時の文化財保護委員会の事務局長が、宮内庁関係の離宮や庭園などは文化財保護法ではまだ指定していないと答弁しました。1968年(昭和43年)にも文化財保護委員会の事務局長が、宮内庁が保管する宝物や史跡などは宮内庁で非常に大切に保存されているので、国宝・重要文化財・史跡などに指定していないと述べています。
宮内庁は2017年(平成29年)の国会で、皇居や御所、離宮に残る石垣や建物などの歴史的な施設について、文化財的な価値にも十分留意して維持管理に努めてきたと答弁しました。陵墓(天皇や皇族の墓)については2002年(平成14年)に、皇室用財産として宮内庁が十分に保存・管理しているので原則として史跡に指定する必要はないとの考えを示し、文化庁も、陵墓を史跡に指定するなら管理する宮内庁の同意が前提で、宮内庁で十分な保存が図られているため緊急の必要性はないと答弁しています。
国宝になった正倉院正倉
宮内庁が管理する正倉院正倉(奈良市)は、1997年(平成9年)5月19日に国宝に指定されました。奈良の世界遺産の推薦準備で、東大寺と一体の正倉院も一緒に推薦するのが適当と判断されましたが、推薦には国内法による保護措置が必要でした。そこで文化庁が宮内庁と協議して同意を得て、国宝の指定と周辺の史跡東大寺旧境内への追加指定を行い、1998年(平成10年)12月に「古都奈良の文化財」の一部として世界遺産に登録されました。
宮内庁は同意した理由に、正倉院正倉がもともと東大寺に献納された聖武天皇遺愛の品々を納めた宝庫で、千年以上にわたり実態として東大寺が管理し、建物も東大寺の境内にあったという特別な関係を挙げています。京都の御所や離宮は、1994年に登録された世界遺産「古都京都の文化財」の17の構成資産には含まれていません。
4つの御所・離宮の成り立ち
京都御所は京都御苑の中にあり、今の建物は安政2年(1855年)の造営です。その東南の白い築地塀に囲まれた区域が京都仙洞御所・京都大宮御所で、後水尾(ごみずのお)上皇と東福門院以来の御所の地です。仙洞御所は嘉永7年(1854年)の大火のあと建物の多くが再建されず、御茶屋の醒花亭(せいかてい)と、玉石を敷き詰めた洲浜のある庭園が残ります。
桂離宮(西京区)は桂川の西岸にあり、八条宮家の初代智仁(としひと)親王が別荘として始め、元和元年(1615年)以降、寛文2年(1662年)頃までの約50年で今の姿に整えられたと考えられています。修学院離宮(左京区)は比叡山の西南のふもとにある後水尾上皇の山荘で、明暦元年(1655年)に作事を始め、万治2年(1659年)に完成披露が行われました。上・中・下の三つの離宮からなり、総面積は約54万㎡です。
京都の御所・離宮4施設の位置(模式地図)
参観の方法と料金
京都御所は通年公開され、清所門(せいしょもん)から入ります(地下鉄今出川駅から徒歩5分)。2016年7月からは事前申込なしで土・日曜も含めて公開されています。まわりの京都御苑は、毎日24時間無料で入れる公園です。
仙洞御所・桂離宮・修学院離宮は、事前申込(インターネット・往復はがき・窓口)か当日の整理券で、職員の案内について回ります。建物の中には入れず、参観者全員の本人確認書類(中学生・高校生は学生証など)が必要です。桂離宮には、参観許可のない子どもが待つ場所はありません。仙洞御所は地下鉄丸太町駅1番出口から徒歩15分、桂離宮は阪急桂駅東口から徒歩20分、修学院離宮は叡山電鉄修学院駅から徒歩20分です。休止日(月曜など)や参観の時間は宮内庁の参観案内で確かめてください。
京都の御所・離宮4施設の比較(2026年10月時点)
| 施設(区) | 参観の方法 | 料金と子ども |
|---|---|---|
| 京都御所(上京区) | 自由に回れ、職員の案内もある | 無料。どなたでも参観できる |
| 京都仙洞御所(上京区・京都御苑内) | 職員の案内で約60分 | 無料。参観できるのは18歳以上 |
| 桂離宮(西京区) | 職員の案内で約60分 | 18歳以上1,000円、中学生・高校生などは無料。参観できるのは中学生以上 |
| 修学院離宮(左京区) | 職員の案内で約80分(約3km) | 無料。参観できるのは18歳以上 |
この項目のミニクイズ
京都御所や桂離宮と同じく、宮内庁が管理する「皇室用財産」にあたるものは?
西京区の桂離宮を参観できるのは、どの年齢(学年)以上の人?
宮内庁が管理する正倉院正倉は1997年に国宝に指定されました。宮内庁が指定に同意した理由として挙げたのはどれ?
出典・確認情報
内容確認日:2026年10月19日
更新日:2026年10月19日
- 宮内庁「皇室用財産」(皇室用財産一覧表 令和7年3月31日現在)
- e-Gov法令検索「国有財産法」(昭和23年法律第73号)
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」第34回国会 衆議院文教委員会 第6号(昭和35年3月11日)岡田孝平文化財保護委員会事務局長の答弁
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」第58回国会 衆議院内閣委員会 第8号(昭和43年4月3日)福原匡彦文化財保護委員会事務局長の答弁
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」第193回国会 衆議院内閣委員会 第3号(平成29年3月10日)野村善史宮内庁長官官房審議官の答弁
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」第154回国会 衆議院決算行政監視委員会第一分科会 第1号(平成14年4月8日)山口均宮内庁書陵部長の答弁(陵墓)
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」第154回国会 衆議院決算行政監視委員会第一分科会 第1号(平成14年4月8日)銭谷眞美文化庁次長の答弁(陵墓)
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」第154回国会 衆議院決算行政監視委員会第一分科会 第1号(平成14年4月8日)銭谷眞美文化庁次長の答弁(正倉院)
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」第154回国会 衆議院決算行政監視委員会第一分科会 第1号(平成14年4月8日)山口均宮内庁書陵部長の答弁(正倉院)
- 文化庁「国指定文化財等データベース」(京都御所・仙洞御所・桂離宮・修学院離宮で検索)
- 文化庁「国指定文化財等データベース 正倉院正倉」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 古都奈良の文化財」(世界遺産)
- 文化庁「世界遺産一覧」
- 文化庁「国指定文化財等データベース 仁和寺金堂」
- 宮内庁「よくあるご質問」(京都御所について)
- 宮内庁 京都御所「参観要領」
- 宮内庁 京都御所「アクセス」
- 宮内庁 京都仙洞御所「京都仙洞御所について」
- 宮内庁「京都仙洞御所 参観申込要領」
- 宮内庁 桂離宮「桂離宮について」
- 宮内庁「桂離宮 参観申込要領(参観は有料です)」
- 宮内庁 桂離宮「よくあるご質問(Q&A)」
- 宮内庁 修学院離宮「修学院離宮について」
- 宮内庁「修学院離宮 参観申込要領」
- 宮内庁「宮内庁参観案内」
- 環境省 京都御苑「よくあるご質問」
