湯葉
別の表記・呼び方ゆば・湯波・京湯葉・生湯葉・干し湯葉

要点
材料は大豆と水。凝固剤を加えず、温めた豆乳に張る膜を引き上げる
引き上げたままの生湯葉と、乾かした干し湯葉がある
「湯葉」のほか「湯波」「油皮」とも書く
たんぱく質は干し湯葉で約53%、生湯葉で約22%
豆乳の膜を引き上げて作る
湯葉を作るには、まず大豆を水に浸して臼でひき、弱火で煮て豆乳とおからに分けます。豆乳を四角い木枠をはめた鍋に入れ、湯せんや弱火で温めると表面に薄い膜が張ります。この膜を手や串ですくい上げたものが生湯葉です。にがりなどで固める豆腐と違い、凝固剤は加えません。
膜は最初の1枚のあと、さらに6〜7回ほど取れますが、回を重ねるにつれて表面のしわが粗くなり、質も下がっていくとされます。豆乳を濃縮したような食品なので、たんぱく質を多く含み、干し湯葉で約53%、生湯葉でも約22%がたんぱく質です。脂質やカルシウム、鉄も含みます。
生湯葉と干し湯葉
引き上げて水を切ったものが生湯葉で、「引き上げ湯葉」とも呼ばれます。干し湯葉(乾燥湯葉)は生湯葉を乾かしたもので、ぬるま湯で戻して使います。どちらにも、巻いたり結んだりした加工湯葉があります。
生湯葉と干し湯葉のおもな種類
| 区分 | 名前 | 形・作り方 |
|---|---|---|
| 生湯葉 | 引き上げ湯葉 | 引き上げた膜を大きく畳んだもの |
| 生湯葉 | 牡丹湯葉(東寺湯葉) | ぎんなんや百合根などの具を生湯葉で巻き込み、油で揚げたもの |
| 干し湯葉 | 板湯葉(平湯葉) | 引き上げ湯葉を平らなまま干したもの |
| 干し湯葉 | 結び湯葉・巻き湯葉 | 結んだり巻いたりしてから干したもの |
中国から伝わり、精進料理の食材に
湯葉が中国から伝わったのは鎌倉時代で、はじめは公家や寺院で食べられていました。肉を口にしない禅僧には大切なたんぱく源となり、精進料理に欠かせない食材として扱われました。天正年間(1573〜1592年)には茶の湯の懐石にも取り入れられ、千利休も好んだとされます。江戸時代後期になると料理本『豆腐百珍』にも載り、町の人々も食べるようになりました。
京都では、昆布やひじき、豆腐、生麩などと並ぶ加工品の一つで、禅宗の影響も受けて大切な食品になりました。有職料理や精進料理などが融合した京料理にも欠かせない食材です。
「ゆば」という名前の由来には、次のような説があります。
- 豆乳の表面に浮かぶ皮「浮皮(うわ)」から
- 豆腐の「上物(うわもの)」から。室町時代初めの『遊学往来』に「豆腐上物」の名で出てくる
- 膜の色やしわを老婆に見立てた「豆腐の姥(うば)」が略され、「うば」がなまって「ゆば」になった
「湯葉」と「湯波」
辞書では「湯葉」のほか「湯波」「油皮」の字も当てられ、「湯婆」と書くこともあります。古くからの湯葉の産地として、京都と並んで名前が挙がるのが栃木県の日光です。日光の湯葉も精進料理とのつながりの中で受け継がれてきたもので、こちらは「湯波」と書くのがふつうです。
京都でも、店の名に「湯波」の字を使う店があり、表記が土地ごとにはっきり分かれているわけではありません。表面が波打っているので「湯波」、葉脈のように見えるので「湯葉」と書く、という説明もあります。
京都での食べ方と錦市場
京都では、生湯葉をポン酢やわさびじょうゆにつけてそのまま食べるほか、鍋や味噌汁などの汁物に入れたり、えびや魚を包んで揚げたりします。干し湯葉は煮物や吸い物、ばらずしにも使われます。生湯葉は日持ちしないので、冷蔵して早めに食べきります。干し湯葉は長くもちますが、脂肪を含むため、古くなったり暑い場所に置いたりすると酸化して味が落ちます。
錦市場の湯波吉(中京区錦小路通御幸町西入)は、寛政2年(1790年)に錦市場に店を構えたと伝える店で、生ゆばと乾燥ゆばを作る、錦市場でただ一軒のゆばの製造販売店です(2026年11月時点)。錦市場では、買ったものは店の前や店の中で食べ、食べ歩きは控えるよう求められています。
この項目のミニクイズ
ぎんなんや百合根などの具を生湯葉で巻き込み、油で揚げた「牡丹湯葉」。京都の寺の名を付けた別の呼び名は?
出典・確認情報
内容確認日:2026年11月8日
更新日:2026年11月8日
