かんにん
別の表記・呼び方堪忍・カンニン・かんにんえ

要点
意味は「ごめん」「許して」
「かんにんな」「かんにんえ」「堪忍しとくれやすな」などの形で使う
「堪忍」のもとの意味は、こらえる・がまんする
1108年の日記『中右記』に「堪忍」の例がある
「かんにん」の意味と例文
京ことばの「かんにん」は「ごめん」という意味です。例文の「迷惑かけてカンニンな。」は、迷惑をかけてごめんね、と謝る言い方です。「かんにんえ」も、ごめん、許してください、という意味で使います。
- 「迷惑かけてカンニンな。」:迷惑をかけてごめんね。
- 「かんにんえ」:ごめん。許してください。
- 「堪忍しとくれやすな」:ごめんなさい。「〜しとくれやす」は「〜してください」にあたる、ていねいな頼み方です(「見とくれやす」はご覧ください)。
- 「かんにんしとぉくれやす」:かんべんしてください。
「堪忍」のもとの意味
「堪忍」は、苦しい状況にじっと堪え忍ぶこと、こらえること、がまんすることを表す漢語です。古い例は1108年の日記『中右記』(ちゅうゆうき)にあり、北風が強く雪が舞い、寒さが骨にしみて堪忍できない、と書かれています。14世紀後半の『太平記』にも、京都には一日も堪忍なさるまいと思っていた、という使い方があります。
もう一つの意味が、怒りをこらえて人のあやまちを許すことです。1489年の記録に例があり、室町時代末から江戸時代初めの狂言「武悪」(ぶあく)には、できるかぎり堪忍してきたが、このたびはこらえられない、という台詞があります。
仏教では、梵語の「サハー(娑婆〈しゃば〉)」の訳語としても使われました。苦難に堪え忍ばなければならない世界、つまりこの世のことです。
謝ることばになった「かんにん」
耐え忍ぶという意味の「堪忍」から、「ごめん」「許してください」の意味で使うようになったのが、京ことばの「かんにん」「かんにんえ」です。
許しを請う「堪忍」は京都だけのものではありません。1832〜33年の人情本『春色梅児誉美』(しゅんしょくうめごよみ)には「堪忍しておくんなさいナ」という会話があり、共通語でも「悪かった、堪忍してくれ」のように言います。江戸時代後期の洒落本には、「堪忍」が変化した「かに」という形もあり、「あれさ、かにしておくんなんし」という一節があります。
似たことばと、まちがえやすい「ごめんやす」
「勘弁(かんべん)」も、人のあやまちを許すことで、「今度だけは勘弁してやる」のように使います。人のあやまちを許す意味では、「堪忍」と「勘弁」は辞書でも互いの言いかえとして挙げられています。
こらえるという意味は「堪忍袋(かんにんぶくろ)」にも残っています。がまんできる心の広さを袋にたとえたことばで、1713年の雑俳(ざっぱい)に「…切れる縁」という句があります。
まちがえやすいのが「ごめんやす」です。「ごめん」と同じ音を含みますが、「ゴメンヤス」は人を訪ねたときの「ごめんください」にあたるあいさつで、別れぎわの「ほな、ごめんやす」(では、失礼します)という使い方もあります。謝ることばではなく、謝るときの京ことばとしては「かんにん」があります。
この項目のミニクイズ
仏教で「堪忍」は、苦難に堪え忍ばなければならない世界を表す梵語の訳語にも使われました。その梵語を音で写したことばは?
出典・確認情報
内容確認日:2026年11月8日
更新日:2026年11月8日
