年中行事

京都の重要無形民俗文化財

京都の町と山並みを背景に、木の舞台で仮面をつけて演じる人々、花を飾った大きな傘の行列と太鼓を打つ踊り手、山あいの神社で造花の灯籠を手に夜に踊る人々を並べて描いた和紙コラージュ風の挿絵。手前で小さな親子が見物している

要点

  1. 地域の行事・芸能を指定する制度で、わざを持つ人を認定する重要無形文化財とは別

  2. 最初の指定は1976年の壬生狂言、最も新しいのは1997年の久多の花笠踊

  3. ユネスコ無形文化遺産にも4件。山鉾行事は2009年、六斎念仏など3件は2022年に「風流踊」として

  4. 壬生狂言の春・秋の公開は大人1,000円・中高生500円、節分の公開は無料

民俗文化財と重要無形文化財の違い

民俗文化財は、衣食住や生業、信仰、年中行事などに関する風俗慣習や民俗芸能、民俗技術と、それに使われる衣服や道具など、人々が日々の暮らしの中で生み出し受け継いできた伝承です。国はこのうち特に重要な無形のものを重要無形民俗文化財に指定していて、全国で342件あります。

名前の似た重要無形文化財は、演劇・音楽・工芸技術などの「わざ」そのものを対象とし、わざを体得した人(いわゆる人間国宝)や団体を認定する制度です。重要無形民俗文化財は地域で受け継がれてきた行事や芸能を指定し、それぞれに保護団体があります。京都市内には国の指定のほか、京都府の指定・登録が3件、京都市の登録が60件あります。京都市の登録には、2012年に登録された建仁寺の四頭茶会があります。

京都市の文化財の件数

京都市内の6件を一覧で

6件のうち5件が民俗芸能、祇園祭の山鉾行事が風俗慣習に分類されます。壬生狂言は京都府内で最初の指定でした。

京都市内の国指定重要無形民俗文化財

名称指定保護団体
壬生狂言1976年5月4日壬生大念仏講中
京都祇園祭の山鉾行事1979年2月3日公益財団法人祇園祭山鉾連合会
京都の六斎念仏1983年1月11日京都六斎念仏保存団体連合会(15団体)
嵯峨大念仏狂言1986年1月14日嵯峨大念仏狂言保存会
やすらい花1987年1月8日やすらい踊保存団体連合会(4団体)
久多の花笠踊1997年12月15日久多花笠踊保存会

壬生狂言と嵯峨大念仏狂言

壬生狂言(みぶきょうげん)は中京区の壬生寺に伝わり、寺伝では正安2年(1300年)に円覚上人(えんがくしょうにん)が、融通念仏の教えを大勢の人に分かりやすく伝えるために始めました。正しくは「壬生大念佛狂言」といい、「壬生さんのカンデンデン」の愛称で呼ばれてきました。演者は全員が仮面をつけ、鰐口(わにぐち)・締太鼓・笛の囃子に合わせて、せりふを使わずに演じます。今上演される演目は30番で、演じる大念仏堂は安政3年(1856年)に再建された重要文化財の建物です。

嵯峨大念仏狂言は右京区の清凉寺(嵯峨釈迦堂)の狂言堂で演じられる無言劇で、壬生・嵯峨・千本の三大念仏狂言の一つです。能風の「カタモン」と狂言風の「ヤワラカモン」の演目があり、本尊の釈迦如来を題材にした「釈迦如来」は嵯峨だけの演目です。昭和39年(1964年)から後継者不足で一時途絶えましたが、昭和50年(1975年)に復活しました。3月15日のお松明式のころや春・秋などに上演されます。

六斎念仏・やすらい花・久多の花笠踊

六斎念仏(ろくさいねんぶつ)は、鉦や太鼓を打ち鳴らして念仏や和讃を唱える念仏踊が、能や歌舞伎の芸も取り入れて発達したもので、京都の15か所で伝承されています。「六斎」は月に6日ある斎日(さいにち)のことです。奉納は8月から9月上旬にかけて各地の寺社で行われ、多くは夜の時間帯です。五山送り火の8月16日の夜に奉納する寺もあります。

やすらい花は、紫野や上賀茂など洛北の4地区に伝わる春の行事です。花を飾った大きな風流傘を押し立てて行列し、シャグマをかぶった踊り手が鉦や太鼓を打ちながら町の辻々で踊ります。疫神(えきじん)を鎮める祭りで、鎮花祭(ちんかさい)の意味もあります。今宮神社のやすらい祭は4月第2日曜で、ほかの3地区は神社に立ち寄らず、それぞれの場所から遥拝して踊ります。

久多の花笠踊は、左京区の最北端、滋賀県境の山あいにある久多の5つの集落が上と下の2組に分かれて伝えてきた踊りです。「花笠」は菊や牡丹などの造花で飾った灯籠で、8月の夜に明かりをともして手に持ち、上の宮神社・大川神社・志古淵(しこぶち)神社で踊ります。16世紀ごろ京都を中心に流行した風流踊の姿をうかがわせる踊りです。六斎念仏・やすらい花・久多の花笠踊の3件は、2022年11月30日にユネスコ無形文化遺産「風流踊」の一つとして記載されました。

祇園祭の山鉾行事

京都祇園祭の山鉾行事は、7月2日のくじ取りから7月17日・24日の山鉾巡行、祇園囃子まで、八坂神社の祭で行われる一連の行事として1979年に指定されました。巡行する山鉾そのものも、1962年に「祇園祭山鉾」として重要有形民俗文化財になっています。2009年にユネスコの無形文化遺産に記載され、2016年からは全国の「山・鉾・屋台行事」の一つとして記載されています。

行き方と見られる時期

壬生寺(中京区壬生梛ノ宮町31)は市バス「壬生寺道」から徒歩約3分、阪急大宮駅・嵐電四条大宮駅から徒歩約10分です。壬生狂言の春の大念佛会(4月29日〜5月5日)と10月の連休の秋の特別公開は13時〜17時30分で、鑑賞料は大人1,000円、中学・高校生500円、当日券の自由席だけです(2026年10月時点)。2月の節分の前日と当日は「節分」だけを17時から毎時上演し、鑑賞料は無料です。

今宮神社(北区紫野今宮町21)は市バス「今宮神社前」からすぐ、清凉寺(右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町46)は市バス・京都バス「嵯峨釈迦堂前」から徒歩約1分です。久多は山あいにあり、最寄りのバス停からも約8km離れています。六斎念仏は日程と時刻を毎年の発表で確かめてから出かけてください。

京都市内の重要無形民俗文化財が見られる場所(模式地図)

京都市中心部の地図に、6件が公開される主な寺社と山鉾町を記し、地図の外の左京区久多へ矢印を向けた図
六斎念仏の会場は一部だけを示しています。

この項目のミニクイズ

  1. 中京区の壬生寺に伝わる重要無形民俗文化財「壬生狂言」の演じ方の特徴は?

  2. 左京区久多に伝わる「久多の花笠踊」で、踊り手が手に持つ「花笠」とはどんなもの?

  3. 清凉寺に伝わる嵯峨大念仏狂言で、嵯峨だけの独自の演目は?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月22日

更新日:2026年10月22日

  1. 文化庁「民俗文化財」
  2. 文化庁「無形文化財」
  3. 京都市文化財保護課「京都市内文化財件数(令和8年4月1日現在)」
  4. 文化庁「国指定文化財等データベース 壬生狂言」
  5. 文化庁「国指定文化財等データベース 京都祇園祭の山鉾行事」
  6. 文化庁「国指定文化財等データベース 京都の六斎念仏」
  7. 文化庁「国指定文化財等データベース 嵯峨大念仏狂言」
  8. 文化庁「国指定文化財等データベース やすらい花」
  9. 文化庁「国指定文化財等データベース 久多の花笠踊」
  10. 壬生寺「壬生狂言」
  11. 壬生寺「交通アクセス」
  12. 京都市観光協会「京都観光Navi 壬生寺」
  13. 京都市観光協会「京都観光Navi 今宮神社」
  14. 京都市観光協会「京都観光Navi 清凉寺」
  15. 京都市観光協会「京都観光Navi 志古淵神社」
  16. 京都総合観光案内所「2026年 六斎念仏踊り 一覧」(2026年7月10日)
  17. 京阪グループ「京都ツウのススメ 第176回 大念仏狂言」(2023年4月)
  18. 大本山 建仁寺「四頭茶会」
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