年中行事

京都の節分

冬の京都の神社とお寺の境内で、黄金の四つ目の仮面をつけた役が赤・青・黄の鬼を追い、別の舞台では赤・青・黒の鬼が松明や斧を手に踊り、手前では参拝者が豆をまく様子を描いた和紙コラージュ風の挿絵。大きな火炉の炎と露店の灯りも見え、小さな親子が豆の袋を手にしている

要点

  1. 日付は立春で決まるので一定ではなく、2025年は2月2日だった

  2. 吉田神社の鬼やらいは、平安時代初めの宮中の儀式を古式どおりに伝える

  3. 廬山寺の鬼おどりに出る赤・青・黒の三鬼は、人の三つの煩悩を表す

  4. 四方参りは、鬼が出るという4つの寺社を節分の日にめぐる風習

季節の分かれ目と追儺

節分はもともと季節の分かれ目のことで、立春・立夏・立秋・立冬の前日を指し、年に4回あります。春を一年の始まりとみる考え方では、立春の前日は年の最後の日にあたり、節分は今でいう大晦日の位置づけでした。この日に厄を追い払って新しい年の福を迎えようとする追儺の行事は、中国から伝わったもので、平安時代には宮中で行われていました。豆をまくようになったわけにはいくつもの説があり、豆まきが庶民の間でも行われるようになったのは室町時代のころとみられます。

立春は太陽黄経が315度になる日なので、節分の日付も年によって動きます。2025年(令和7年)は2月2日、2026年(令和8年)と2027年(令和9年)は2月3日です。恵方巻を食べるときに向く恵方は、その年の歳徳神(としとくじん)がいる方角で、毎年変わります。中京区の神泉苑にある「恵方社」は回すことのできるお社で、毎年、その年の恵方へ向きが合わせられます。

吉田神社の追儺式と火炉祭

吉田神社(左京区吉田神楽岡町)の節分祭は室町時代に始まり、節分の当日を中心に前後3日間行われます。例年約50万人が参り、節分の前日と当日には約800店の露店が並びます。前日の午後の追儺式は「鬼やらい」と呼ばれ、平安時代初めから宮中で行われていた儀式を古式に則って伝えるものです。黄金四つ目の仮面をかぶった方相氏(ほうそうし)が盾と矛を手に鬼を追い、最後に殿上人が桃の弓で葦の矢を放って疫鬼を追い払います。

当日の午後には、三ノ鳥居の前に設けた大きな火炉で、参拝者が納めた古い神札を焼き納める火炉祭(かろさい)があります。納められるのは古い神札とお守りだけです。節分の期間だけ、魔除けの梔子(くちなし)色の特別な神符と、抽選券付きの厄除け福豆も授与されます。

廬山寺の鬼おどりと千本釈迦堂のおかめ福節分会

京都御所の東、寺町通に面した廬山寺(ろざんじ、上京区)で節分の日の午後に営まれる節分会は「追儺式鬼法楽(おにほうらく)」といい、通称は「鬼おどり」です。松明と宝剣を持った赤鬼、大斧の青鬼、大槌の黒鬼が大師堂前の舞台に現れ、堂に入って護摩供のまわりを踊り、修法を妨げます。三鬼は人の善い心を損なう三つの煩悩、貪欲(どんよく)・瞋恚(しんい)・愚痴を表し、追儺師の法弓や福餅と紅白の蓬莱豆の豆まきに追われて門の外へ逃げていきます。この日に限り、元三大師(がんさんだいし)が鬼を退治したと伝わる独鈷・三鈷と、大師が宮中で使ったという降魔面も開帳されます。

千本釈迦堂(大報恩寺、上京区)では、本堂を建てた棟梁の妻おかめの伝説にちなむ「おかめ福節分会」が節分の日に営まれます。本堂での木遣(きやり)音頭の奉納とおかめ塚の前での法要、狂言による古式の鬼追いの儀のあとに、豆まきが行われます。

壬生寺・八坂神社・北野天満宮と「四方参り」

壬生寺(中京区)の節分会は、白河天皇の発願に始まるとされ、900年余りの歴史があります。壬生寺は京都の裏鬼門(南西)にあたる寺として、節分の鬼門詣りの一端を担ってきました。節分の前日から3日間、厄除けの法要が営まれます。参道で素焼きの炮烙(ほうらく)を求め、家族の年齢や願いごとを墨で書いて奉納する風習があり、奉納された炮烙は壬生狂言の「炮烙割(ほうらくわり)」で割られて、奉納した人はその年の災厄を免れるという信仰が伝わります。節分の前日と当日には壬生狂言「節分」が17時から20時の回まで、毎時0分に無料で上演されます。

八坂神社(東山区)では節分の前日と当日、舞殿で四花街による舞踊の奉納のあとに豆まきが行われます。北野天満宮(上京区)では節分の日、本殿での節分祭のあと、神楽殿で茂山千五郎社中による北野追儺狂言と上七軒の芸舞妓による日本舞踊が奉納され、最後に豆まきがあります。

表鬼門にあたる吉田神社から逃げ出した鬼はあちこちを逃げ回り、最後は北野天満宮の末社・福部社に封じ込められた、という言い伝えがあります。節分の日に、鬼が出るという吉田神社・壬生寺・伏見稲荷大社(または八坂神社)・北野天満宮の4か所をめぐってお参りすることを「四方参り(よもまいり)」と呼びます。

行き方と当日の注意

吉田神社は市バス「京大正門前」から徒歩約5分、京阪出町柳駅から徒歩約20分です。廬山寺(寺町通広小路上ル)は市バス「府立医大病院前」から約5分で、河原町通側からは入れません。壬生寺は市バス「壬生寺道」から徒歩約3分、阪急大宮駅・嵐電四条大宮駅から徒歩約10分です。千本釈迦堂は市バス「上七軒」で降ります。北野天満宮は市バス「北野天満宮前」で降りるか、嵐電北野白梅町駅から徒歩5分、八坂神社は京阪祇園四条駅から徒歩約5分です。

吉田神社は節分祭の間は境内の臨時駐車場が使えないので、公共の交通機関で行きます。廬山寺は境内への入場を制限する場合があり、脚立や三脚を使った撮影はできません。

京都の主な節分行事の寺社(模式地図)

鴨川と今出川通・四条通・千本通・烏丸通を目印に、6つの寺社の位置を記した京都市中心部の地図

この項目のミニクイズ

  1. 廬山寺の鬼おどりの日に開帳される独鈷・三鈷は、誰が鬼を退治したと伝わる法具?

  2. 壬生寺の節分会で、参道で求めて家族の年齢や願いごとを墨で書いて奉納し、のちに壬生狂言の演目の中で割られる素焼きの器は?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月22日

更新日:2026年10月22日

  1. 京都市観光協会「京都観光Navi 季節の行事 節分祭」
  2. 京都総合観光案内所「2026年 節分祭一覧」(2026年1月6日)
  3. 国立天文台暦計算室「令和7年(2025)暦要項 二十四節気および雑節」
  4. 国立天文台暦計算室「令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節」
  5. 国立天文台暦計算室「令和9年(2027)暦要項 二十四節気および雑節」
  6. 吉田神社「節分祭について」
  7. 吉田神社「アクセス」
  8. 廬山寺「節分会 追儺式鬼法楽(通称:鬼おどり)」
  9. 廬山寺「お問い合わせ・アクセス」
  10. 京都府 CO-KYOTO「京都府内のユニークな節分祭〜踊る鬼・鬼やろう・鬼は内!?〜」(2024年1月19日時点の内容)
  11. 壬生寺「節分会」
  12. 壬生寺「交通アクセス」
  13. 大報恩寺(千本釈迦堂)「拝観案内」
  14. 八坂神社「年中行事」
  15. 八坂神社「境内マップ・アクセス」
  16. 北野天満宮「年中行事」
  17. 北野天満宮「参拝時間・アクセス」
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