京ことば

よみぶぶづけ

ぶぶ漬け

別の表記・呼び方ぶぶ漬・おぶ漬け・ぶぶ・おぶー・ぶぶ漬けでもどうどす

湯気の立つ急須とお茶漬けの椀、漬物の小皿が並んだ和室の卓上のイラスト

ひとことで言うと

「ぶぶ漬け」はお茶漬けのことで、「ぶぶ」は茶や湯を指すことばです。「ぶぶ漬けでもどうどす」と勧められたら帰ってほしい合図、という話がよく知られていますが、実際にそう言われた経験のある人はごくわずかだったという調査もあり、俗説として受け止めるのがよさそうです。

30秒でわかる要点

  1. ぶぶ漬けは茶漬けのこと。辞書は「京都など(関西)でいう」とする

  2. 「ぶぶ」は茶または湯を指す幼児語・女性語で、江戸時代の用例がある

  3. 京都市の京ことば辞典は「ブブ」を「お茶」と説明

  4. 「帰れ」の合図という話を実際に経験した人は約1000人に1人という調査がある

ぶぶ漬けはお茶漬けのこと

小学館の『デジタル大辞泉』は「ぶぶ漬」を「茶漬け飯。京都などでいう。」と説明しています。講談社の『世界の料理がわかる辞典』も「茶漬け」のことで「京都など関西でいう」としています。京阪電車の「京都ツウのススメ」(2010年)や京都市観光協会の「京都観光Naviぷらす」(2023年)も、ぶぶ漬けをお茶漬けのことだと紹介しています。

同じ『世界の料理がわかる辞典』には「ぶぶあられ」という項目もあり、茶漬けに使う細かい粒のあられで京都で用いられる、ぶぶ漬け用のあられという意味だと説明しています。ことばとしての「ぶぶ漬け」は、料理や食材の名前にも生きています。

「ぶぶ」は茶や湯のこと

京都市の「きょうとこども情報館」の京ことば辞典は、「ブブ」を「お茶」と説明し、「ブブでも飲もか。」という例文を載せています。

国語辞典でも、『精選版 日本国語大辞典』は「ぶぶ」を「茶または湯をいう幼児・女性語」とし、1721年の浄瑠璃『女殺油地獄』の例を挙げています。『デジタル大辞泉』も「湯または茶をいう幼児語・女性語」として、江戸時代の洒落本の例を載せています。

「ぶぶ」は江戸時代から文学作品に出てくる古いことばで、国語辞典では地域を限らない幼児語・女性語として載っています。京都だけのことばというより、古くからあることばが、京都では今も京ことばとして紹介されていると考えるとよいでしょう。

なぜ「ぶぶ」というの?

呼び名の由来には、いくつかの説明があります。「京都観光Naviぷらす」の記事は、「ぶぶ」はお茶をふーっと吹いて冷ます音から来た熱々のお茶のことで、飲み頃のお茶は「おぶー」と言うと紹介しています。

京阪の「京都ツウのススメ」は、花街では仕事がなく暇なことを「お茶をひく」と言ったため、「お茶」ということばを避けて「ぶぶ」や「おぶー」と言い、お茶漬けを「ぶぶ漬け」「おぶ漬け」とも呼んだと説明しています。どちらか一つに決まった語源があるわけではなく、ここでは紹介されている説明として受け止めてください。

「ぶぶ」まわりのことば

ことば意味確認した資料
ぶぶお茶(京ことば)。国語辞典では茶または湯をいう幼児語・女性語京都市 京ことば辞典、精選版 日本国語大辞典
おぶー飲み頃のお茶、または花街で「お茶」を避けた言い方京都観光Naviぷらす、京阪電車
ぶぶ漬け・おぶ漬けお茶漬けデジタル大辞泉、京阪電車
ぶぶあられ茶漬けに使う細かい粒のあられ世界の料理がわかる辞典

「ぶぶ漬けでもどうどす」は帰れの合図?

よく知られているのが、訪ねた家で「ぶぶ漬けでもどうどす」と勧められたら、そろそろ帰ってほしいという合図だ、という話です。京阪の「京都ツウのススメ」(2010年)は、客にぶぶ漬けを勧めるのは遠回しに帰宅を促す儀礼的な表現とされる、とこの話を紹介しています。

一方、「京都観光Naviぷらす」の記事(2023年)は、これを「ぶぶ漬け伝説」と呼び、実際に経験した話は聞いたことがないと書いています。日本経済新聞(2025年6月16日)は、京都で生まれ育った研究者の調査で、帰ってほしいという意味のぶぶ漬けを実際に経験した京都関係者は約1000分の1にとどまり、その全員が高齢者だったと伝えています。同記事は、京ことばの「意地悪」というイメージには誇張に基づくものも含まれていそうだと指摘しています。

俗説として読むのがよい理由

ここまでの資料から確かめられるのは、「ぶぶ」が茶や湯を指すことばであること、ぶぶ漬けがお茶漬けを指す京都など関西の言い方であることです。「帰れ」の合図という話は、紹介される機会こそ多いものの、実際の経験として確かめられる例はごくわずかです。

この話をもとに「京都の人は本音を言わない」とひとくくりにするのは、資料から言える範囲を大きく超えています。「京都観光Naviぷらす」の記事が、ぶぶ漬けの勧めは本来は控えめなやさしさの表現だと書いているように、受け取り方は人や場面によってさまざまです。勧められたら、その場の言い方や相手の様子で判断すれば十分でしょう。

おいでやす・おこしやすおいでやす・おこしやすおおきにおおきに

この項目のミニクイズ

読んだ内容を、2問の四択で確かめてみましょう。

  1. 「ブブでも飲もか。」京都市の「きょうとこども情報館」の京ことば辞典によると、ぶぶ漬けの「ブブ」とは何のこと?

  2. 『精選版 日本国語大辞典』は、茶や湯をいう「ぶぶ」の初出の実例として、1721年のどの浄瑠璃を挙げている?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月11日

更新日:2026年10月11日

  1. 京都市「きょうとこども情報館 京ことば辞典」
  2. 小学館『デジタル大辞泉』「ぶぶ漬」(コトバンク)
  3. 小学館『精選版 日本国語大辞典』・講談社『世界の料理がわかる辞典』「ぶぶ漬け」(コトバンク)
  4. 小学館『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』「ぶぶ」(コトバンク)
  5. 講談社『世界の料理がわかる辞典』「ぶぶあられ」(コトバンク)
  6. 京阪電車「京都ツウのススメ 第三十回 京ことば」(2010年)
  7. 京都市観光協会 京都観光Naviぷらす「『おこしやす』≠『おいでやす』!?奥深い京ことばの謎」
  8. 日本経済新聞「『ぶぶ漬け=帰れ』の意? 経験した京都人、1000人に1人のみ」(2025年6月16日)
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