年中行事

事始め

別の表記・呼び方正月事始め・お事始め・事始

師走の祇園の石畳の路地を、鏡餅を載せた台を両手で持った舞妓が町家の前を歩いていく様子

要点

  1. 例年12月13日。2026年は日曜日にあたる

  2. 江戸時代、上方などは12月13日、江戸は12月8日に煤払いをして正月の準備を始めた

  3. 祇園甲部の芸妓・舞妓は鏡餅を持って家元を訪ね、家元から扇を受け取る

  4. 北野天満宮では事始めの日から大福梅の授与が始まる

事始めは12月13日――正月の準備を始める日

事始めは、正月を迎える準備に取りかかる日です。京都では12月13日を事始めとし、正月にやってくる歳徳神(としとくじん)を迎える準備をこの日から始めるのが習わしとされます。2026年の12月13日は日曜日にあたります。

京都の花街では、事始めは祇園甲部・宮川町・先斗町・上七軒・祇園東の五花街に伝わる伝統行事の一つです。芸妓や舞妓がお世話になった方々のもとへ鏡餅を納め、一年のお礼と新年に向けたあいさつをします。町の暮らしでも、古くは本家や目上の人のもとへ鏡餅を持ってあいさつに行く風習がありました。

京都の五花街――祇園甲部・宮川町・先斗町・上七軒・祇園東と「をどり」

「正月事始め」の意味――上方は13日、江戸は8日

「事始め」はもともと、物事に取りかかることを指す言葉です。その中で、年の暮れに煤払いをして正月の準備を始めることを「正月事始め」や「お事始め」と呼びました。江戸時代には、上方などでは12月13日、江戸では12月8日に煤払いをして正月の準備を始めたとされます。

江戸では12月8日と2月8日をどちらも「事の日」と呼び、どちらを事始めとするかは書物によって分かれていました。2月8日(旧暦)を、その年の農作業を始める事始めとする使い方もあります。

祇園甲部の事始め――鏡餅と「おめでとうさんどす」

祇園甲部の舞の流派は京舞井上流です。家元は代々「井上八千代」の名を継ぎ、今の家元は2000年に名を継いだ五世井上八千代です。

事始めの日、祇園甲部の芸妓や舞妓は、師匠である井上流の家元の稽古場へ鏡餅を持って訪れ、一年お世話になったお礼を述べます。年が明けるのを待たずに、ひと足早く「おめでとうさんどす」とあいさつを交わすのがこの日の習わしです。家元は「来年もおきばりやす」と声をかけて、芸妓や舞妓に扇を手渡します。2017年には、芸舞妓や京舞の弟子などおよそ300人が、朝10時ごろから午後3時ごろまでのあいだにあいさつに訪れたとされます。

芸妓や舞妓は、家元のほかにも芸事の師匠の家やお茶屋を訪ねて、一年のお礼と新年のあいさつをします。

おきばりやす

花街のあいさつの暦と、事始めから続く年末

花街には、節目ごとにあいさつに回る行事がいくつもあります。8月1日の八朔、12月13日の事始め、大晦日の「おことうさん」、年明けの1月7日(上七軒は1月9日)の始業式です。大晦日には祇園甲部・宮川町・祇園東の芸妓や舞妓が「おことうさんどす」とお茶屋に年末のあいさつに回り、夜には八坂神社でをけら火を受けます。同じ12月でも、事始めのあいさつは新年を祝う「おめでとうさんどす」です。

町の年末も、事始めから正月に向けて動き出します。上京区の北野天満宮では、12月13日の事始めから、境内で作られる「大福梅(おおふくうめ)」の授与(有料)が始まり、12月25日の終い天神のころまで続きます。大福梅は、元日の朝に白湯に入れて飲み、無病息災を祈る縁起物です。

八朔をけら詣り終い弘法・終い天神

見に行くときのマナー

事始めは、師匠やお茶屋へのあいさつのための行事で、見物のために開かれる催しではありません。祇園甲部の通りは住む人や働く人の暮らしの場です。子ども連れで歩くときも、あいさつに行き来する人の進路をふさがないようにしてください。

進路をふさぐ、つきまとう、手や服を引っ張るといった行為には、法律や条例で罰則が定められています。祇園町南側の住民やお茶屋組合、芸妓組合などは、ふだんから次のような迷惑行為をしないよう呼びかけています(2023年12月5日時点)。

  • 歩いている芸妓や舞妓を呼び止める、触る、つきまとう、無断で撮影する
  • 写真のために歩道で待ち構える、立ち止まる、車道にはみ出す
  • 店や道路以外の私有地や、寺社が立ち入りを禁じている場所に無断で入る
  • ごみを捨てる、大声で騒ぐ

祇園甲部への行き方と、舞を見られる場所

祇園甲部の中心にある祇園甲部歌舞練場(東山区祇園町南側)へは、京阪「祇園四条」駅6番出口から徒歩約8分、阪急「京都河原町」駅1番出口から徒歩約10分です。舞妓の京舞を見たいときは、祇園甲部歌舞練場の小劇場で開かれるギオンコーナーなど、有料の公演があります。

この項目のミニクイズ

  1. 12月13日の「事始め」に、祇園甲部の芸妓や舞妓が京舞の家元の稽古場へ持って行くものは?

  2. 事始めの日、祇園甲部の芸妓や舞妓が、年明けより先に交わす新年のあいさつは?

  3. 北野天満宮で、12月13日の事始めの日から授与が始まり、元日の朝に白湯に入れて飲む縁起物は?

出典・確認情報

内容確認日:2026年11月8日

更新日:2026年11月8日

  1. 京都市 京都をつなぐ無形文化遺産「花街に伝わる伝統行事」
  2. 京都市 京都をつなぐ無形文化遺産「花街が継承する伝統伎芸」
  3. 京都市観光協会 京都観光Navi「12月の季節の行事」(事始め。2017年12月13日京都新聞掲載の記事)
  4. 京阪電気鉄道「京都ツウのススメ 第五十六回 京の年末」
  5. コトバンク「事始」(精選版 日本国語大辞典)
  6. コトバンク「井上八千代」(デジタル大辞泉・日本大百科全書ほか)
  7. 北野天満宮「年中行事」
  8. 京都市観光協会「祇園町南側地区からのメッセージ」
  9. 祇園甲部歌舞会「アクセス」
  10. 京都伝統伎芸振興財団(おおきに財団)「ギオンコーナー」
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