よみおけらまいり
をけら詣り
別の表記・呼び方おけら参り・おけら詣り・をけら火・白朮祭・吉兆縄・火縄

ひとことで言うと
をけら詣りは、大晦日の夜から元日の早朝にかけて八坂神社で行われる年越しの行事です。薬草の白朮(をけら)とともに焚かれる「をけら火」を、吉兆縄とも呼ばれる火縄に移していただき、一年の無病息災を願います。神社の案内では12月31日午後7時半頃から元日の早朝5時頃までで、2026年は12月31日(木)に行われます。30秒でわかる要点
八坂神社で、大晦日の午後7時半頃から元日の早朝まで(例年)
をけら(白朮)はキク科の薬草で、燃やすと強い匂いがする
火縄に移した火は、かつて雑煮を炊く火種や神棚の灯明にした
今は火を消した火縄を、火伏せのお守りとして台所に飾れる
大晦日の夜、八坂神社で火をいただく
をけら詣りは、東山区の八坂神社で大晦日から元日にかけて行われる行事です。八坂神社の「正月祭事」の案内によると、京都の年末の風物詩として、12月31日の午後7時半頃から元日の早朝5時頃まで執り行われます。京都観光Naviの2026年の案内でも、2026年12月31日(木)に大祓式(15時〜)と除夜祭(19時〜)が営まれるとされています。
同じ案内によると、まず午後7時から本殿で一年を締めくくる除夜祭が営まれます。そのあと、境内に設けられた灯籠に神職が順に浄火をともし、白朮(をけら)のかけらと、氏子や崇敬者が一年の無病息災を願って書いた「をけら木」をいっしょに焚き上げます。火は夜を徹して元日の早朝まで焚かれ、元日には白朮祭(をけらさい)が営まれます。
「をけら」ってどんな草?
をけらは漢字で「白朮」と書く植物です。八坂神社の案内によると、キク科の植物で、根を乾かしたものを燃やすと非常に強い匂いがすることから、邪気を祓うとされてきました。江戸時代までは、年末の風物詩として一般の家庭でも行われていたと紹介されています。
京阪電気鉄道のサイトの連載「京都ツウのススメ」第五十六回「京の年末」(2012年)は、をけらは漢方薬にも使われ、胃や腸に薬効があるとされると紹介しています。同記事によると、当時は境内で明け方まで、をけらを使った珍しいお屠蘇「をけら酒」も授与されていました。授与の有無は年によって変わりうるので、その年の神社の案内で確かめてください。
火縄(吉兆縄)で火を持ち帰る
八坂神社の案内によると、参拝者はこの「をけら火」を火縄に移し、消えないように持ち帰りました。かつては、その火を新年の雑煮を炊く釜の火種や、神棚の灯明にして、一年の無病息災を願ったといいます。かまどで煮炊きしていた時代ならではの習わしで、京都ではかまどを「おくどさん」と呼びます。
国立国会図書館のレファレンス協同データベースに京都市図書館が登録した回答事例も、京都の歳時記などをもとに、元日の朝にその火で湯を沸かして大福茶を飲み、雑煮を食べるなどして一年の無病息災を祈ると紹介しています。
京都観光Naviは、この火縄を「吉兆縄」とも呼び、火を消さないように縄をくるくると回しながら持ち帰る新年の習わしと紹介しています。京阪電気鉄道の連載「京都ツウのススメ」(2012年)は、縄は火が消えにくいよう竹の繊維で作られていると説明しています。
今の八坂神社の案内では、火を消した火縄を火伏せのお守りとして台所に飾ることができるとしています。をけら詣り限定の授与品として「掛け火縄」(初穂料1,000円)があり、をけら火を移して一年の災厄除けと火伏せを祈願したもので、台所に吊るしてまつるよう案内されています。
火はどこから来る?ほかの神社でも?
をけら火のもとになる御神火は、大晦日に急にともされるわけではありません。八坂神社の案内によると、12月28日の午前4時に行われる鑚火式で、古式にのっとって火きり臼と火きり杵を使ってきり出されます。この火が大晦日の除夜祭のあと灯籠にともされ、をけら木とともに焚かれる流れです。
火縄で火をいただく行事は八坂神社だけではありません。同じ京都市図書館の回答事例によると、上京区の北野天満宮でも、摂社の火之御子社(ひのみこしゃ)で鑚火祭が行われ、おこした火を鉄の篝に移して火縄が授与されます。日時は北野天満宮の案内で確かめてください。
八坂神社の年末年始の主な祭事
| 日時 | 祭事 | 内容 |
|---|---|---|
| 12月28日 午前4時 | 鑚火式 | 火きり臼と火きり杵で御神火をきり出す |
| 12月31日 午後7時 | 除夜祭 | 本殿で一年を締めくくる祭典 |
| 12月31日 午後7時半頃〜元日早朝5時頃 | をけら詣り | 灯籠の浄火で白朮とをけら木を焚き、参拝者が火縄に火を移す |
| 1月1日 | 白朮祭(をけらさい) | 元日の祭典 |
| 1月3日 | 初能奉納・かるた始め式 | 能舞台で翁の奉納と、百人一首の手合わせ |
お参りするなら気をつけたいこと
八坂神社の所在地は京都市東山区祇園町北側625です。京阪の「京都ツウのススメ」は、祇園四条駅から東へ徒歩約5分と案内したうえで、電車内に「をけら火」を持ち込むことはできないと注意しています。火のついた縄を持って帰る場合は、乗り物に乗る前に必ず火を消す必要があります。
京都の年末は、をけら詣りまでにいくつもの行事が続きます。同記事は、12月初旬に千本釈迦堂や了徳寺で大根焚きがあり、12月13日の「事始め」から正月の準備を始めるのが京都の習わしだと紹介しています。そして大晦日の夜に八坂神社でをけら火をいただき、無病息災を祈りながら新しい年を迎える、と京の年越しを描いています。
祇園の花街にも、をけら火にまつわる年末の習わしがあります。京都市の「京都をつなぐ無形文化遺産」の「京・花街の文化」によると、祇園甲部・宮川町・祇園東では大晦日に、芸妓や舞妓がお茶屋へ「おことうさんどす」と年末の挨拶に回り、夜には八坂神社に詣でて、おけら火をもらいます。
この項目のミニクイズ
読んだ内容を、2問の四択で確かめてみましょう。
京都観光Naviによると、をけら詣りで「をけら火」を点し、火が消えないようにくるくる回しながら持ち帰るものは?
京都観光Naviによると、をけら詣りで持ち帰った火縄の燃え残りは、何のお守りとして台所に祀る?
出典・確認情報
内容確認日:2026年10月11日
更新日:2026年10月11日
