年中行事

よみだいこだき

大根焚き

別の表記・呼び方大根だき・大根炊き・大根焚・だいこだき・成道会・報恩講

師走の寺の境内で、湯気の立つ大鍋に輪切りの大根と油揚げが炊かれ、参拝者が器を受け取るのを待つ大根焚きのイラスト

ひとことで言うと

大根焚き(だいこだき)は、12月を中心に京都の寺院で、祈祷した大根を大鍋で炊いて参拝者にふるまう行事です。食べると中風(脳血管障害)にかからないといわれます。千本釈迦堂(大報恩寺)では例年12月7日・8日の成道会に合わせて行われ、2026年は12月7日(月)・8日(火)の予定です。

30秒でわかる要点

  1. 京都では「だいこだき」と呼ぶ

  2. 千本釈迦堂は例年12月7・8日、お釈迦さまの成道会に合わせて

  3. 了徳寺は親鸞聖人の故事にちなむ報恩講の通称(2025年度は中止)

  4. 大根を食べると中風にかからないといわれる

大根焚きって何?

大根焚きは、冬の京都で寺院が大鍋で炊いた大根を仏前に供え、参拝者にもふるまう行事です。京都では「だいこんだき」ではなく「だいこだき」と読み、京都観光Naviの行事名も「大根(だいこ)焚き」と読みを添えています。

京都市交通局の広報誌「offtime」2018年12月号は、大根焚きはもともとお釈迦さまが悟りを開いたことを喜び感謝する行事で、意味合いや方法は寺院によってさまざまに変わってきたと説明しています。同誌によると、大根を食べれば中風(脳血管障害)にかからないといわれ、当日は健康を願う人でにぎわいます。

京都市の「京都をつなぐ無形文化遺産」の解説「京のほぼ300文字講座」も、大根焚きは悪病を取り除き健康増進を祈る行事で、その由来はお寺によってさまざまだと説明しています。同じ解説によると、梵字を書いてから煮込むもののほか、油揚げとともに煮込んだもの、塩味のものなどがあり、寺によって味わいも違います。

千本釈迦堂の「成道会と大根だき」

上京区の千本釈迦堂(大報恩寺)の年中行事の案内によると、大根だきは鎌倉時代、寺の第三世・慈禅上人が始めたとされます。お釈迦さまが12月8日の明け方、明星が現れると同時に悟りを開いたことにあやかり、上人は法要の際に大根へ釈迦の種子(梵字)を書いて供え、「悪魔除け」としました。この大根をほかの大根とともに炊いて参詣者にふるまったのが始まりといわれています。京都市の「京のほぼ300文字講座」は、この梵字を釈迦如来を表す種字「バク」と紹介しています。

同寺によると、この行事は江戸時代の末頃まで続き、その後、信徒の信心によって復活しました。今は「中風、諸病除け、健康増進」の祈祷法要を営み、煮込んだ大根を12月7日・8日の両日に参詣者に授与しています。京都観光Naviは、梵字を書いた大根を加持祈祷し、輪切りにしてお揚げとともに炊き込んだものがふるまわれると紹介しています。

京都観光Naviの2026年の案内では、日程は12月7日(月)・8日(火)、時間は10時〜16時、大根焚きは1,000円です。寺の案内によると、期間中は秘仏の本尊も開帳されます。

了徳寺の「大根焚」は親鸞聖人の故事から

右京区鳴滝の了徳寺(真宗大谷派)の案内によると、建長4年(1252年)、親鸞聖人が愛宕山中の月輪寺に師の法然上人の遺跡を訪ねた帰りに立ち寄り、村人に教えを説きました。感銘を受けた村人が塩炊きの大根でもてなしたところ、聖人はすすきの穂の束を筆代わりに、鍋の残り煤で「帰命尽十方無碍光如来」の十字の名号を書いて残したと伝えられます。この故事にちなむ報恩講の通称が「大根焚」です。

同寺は、例年12月9日・10日の報恩講で、京都府亀岡市篠町で作られた青首大根およそ3,000本を炊くと紹介しています。前日の早朝に掘り出した大根を境内いっぱいに並べ、門徒が切り出して、昼夜を問わず大鍋で炊き込みます。ただし、了徳寺は2025年12月の大根焚を諸事情により中止しており、京都観光Naviは2026年度も開催のめどが立たず中止としています(2026年10月時点)。

ほかの寺でも行われる?

大根焚きは千本釈迦堂と了徳寺だけの行事ではありません。京都市交通局の「offtime」2018年12月号は、ほかにも法住寺、三寳寺、華厳寺(鈴虫寺)の大根焚きを紹介しています。日程や料金は年によって変わるため、出かける前に各寺の案内で確かめてください。

京都の主な大根焚きと、そのいわれ

寺院宗派などいわれ・特徴
千本釈迦堂(大報恩寺)真言宗智山派成道会に合わせ、梵字を書いた大根を炊く。例年12月7・8日
了徳寺真宗大谷派親鸞聖人を塩炊き大根でもてなした故事にちなむ報恩講。例年12月9・10日(2025・2026年度は中止)
法住寺天台宗本尊・身代り不動明王に祈願した大根焚き
三寳寺日蓮宗祈祷会・御会式に合わせて。日蓮大聖人がゆずを体を温める良薬として珍重した故事から、ゆずご飯も添える
華厳寺(鈴虫寺)臨済宗一年最後の幸福地蔵菩薩の縁日に、来年の無病息災を祈る
大報恩寺「年中行事」、了徳寺「報恩講『大根焚』について」、京都観光Navi(2026年10月時点)、京都市交通局「offtime」2018年12月号をもとに作成。千本釈迦堂・了徳寺以外の日程は年ごとに確認が必要です。

なぜ冬に大根?

中風除けのいわれについて、京阪電気鉄道のサイトの連載「京都ツウのススメ」(2012年)は、作物のとれない冬は栄養不足になりがちだったため、保存のきく根菜などを食べて冬を健康に過ごそうという工夫だったようだ、と紹介しています。これは一つの見方で、千本釈迦堂のように、お釈迦さまの悟りの日を祝う法要と結びついた宗教的な由来を伝える寺もあります。

同じ連載は、12月初旬の大根焚きに続いて、12月13日の「事始め」から正月の準備が始まり、大晦日には八坂神社のをけら詣りで新年を迎えるという京都の年末の流れを紹介しています。大根焚きは、そうした師走の行事暦の入り口にあたる行事といえます。

千本釈迦堂を歩くなら

千本釈迦堂の正式名称は大報恩寺で、所在地は上京区五辻通六軒町西入溝前町です。寺の案内によると、承久2年(1220年)に義空が開いた寺で、戦禍や災害を免れた本堂は洛中最古の本堂として親しまれています。観光庁の多言語解説文データベースは、本堂を1227年に建てられた国宝としています。

寺によると、入山・境内の参拝は無料で、本堂と霊宝館は有料です。境内には、本堂の造営で夫の棟梁を機転で助けたと伝わる「おかめ」の塚があります。最寄りは市バスの上七軒バス停です。

この項目のミニクイズ

読んだ内容を、2問の四択で確かめてみましょう。

  1. 鳴滝の了徳寺の案内によると、建長4年に塩炊きの大根でもてなされた親鸞聖人が、名号を書く筆の代わりにしたものは?

  2. 京都市「京のほぼ300文字講座」によると、千本釈迦堂の大根焚きは、鎌倉時代に誰が大根に梵字を書いて魔除けにしたのが始まり?

出典・確認情報

内容確認日:2026年10月11日

更新日:2026年10月11日

  1. 大報恩寺(千本釈迦堂)「年中行事」
  2. 大報恩寺(千本釈迦堂)公式サイト トップページ(沿革・拝観案内)
  3. 京都市観光協会 京都観光Navi「成道会法要と大根(だいこ)焚き【千本釈迦堂】」
  4. 京都市 京都をつなぐ無形文化遺産「京のほぼ300文字講座 大根焚き」
  5. 了徳寺「報恩講『大根焚』について」
  6. 了徳寺「お知らせ」
  7. 京都市観光協会 京都観光Navi「大根焚・報恩講【了徳寺】」
  8. 京都市交通局「offtime」2018年12月号(No.218)特集「大根焚きで寒い冬を元気に過ごす!」
  9. 京阪電気鉄道「京都ツウのススメ 第五十六回 京の年末」
  10. 観光庁「地域観光資源の多言語解説文データベース 大報恩寺(千本釈迦堂)」
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